第一話:十一回目の「おはよう」
勢いで作りました、整合性が合わないところは勘弁してください。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、僕の丸々と肥えた頬を照らす。
寝返りを打とうとすると、ベッドが「ギギッ」と悲鳴をあげた。十一回目ともなれば、この自分の重さにも慣れたものだ。
「……ふわぁ。また、この天井か」
アルファード・ベルンシュタイン、8歳。
世間からは「ベルンシュタイン家の汚物」「無能な樽」と囁かれ、つい先日、2歳下の義理の妹・セリカに継承権を奪われたばかりの元・嫡男。
普通なら絶望して荒れるところだろうが、十回も死んでいれば「どうぞどうぞ、爵位なんて面倒なもん、熨斗をつけて差し上げます」という気分だ。
どうせ四年後、魔法学園に入れば「運命」という名の強制力が働いて、僕は勇者に殺される。
ダイエット? 剣術? 魔法の特訓?
全部やったさ。血の滲むような努力をして、美形になって、聖騎士並みの剣技を身につけた回もあった。……でも、結果は同じ。勇者の「聖剣」が、僕の胸を理不尽に貫いて終わりだ。
だから、今世はもう頑張らない。
僕は、僕のやりたいことだけをやる。
「アルファード様、朝でございます。起きていらっしゃいますか?」
ノックの音と共に、聞き慣れた、そして僕がこの世界で唯一信頼している声が響く。
扉を開けて入ってきたのは、専属メイドのメイアだ。
「おはよう、メイア。今日も早いね」
「お早うございます。……あら、また寝癖がすごいことに。そのままですと、本当に大きなお餅に見えてしまいますよ?」
メイアは呆れたように笑いながら、手際よく僕の身支度を整え始める。
十回のループ。僕がどんなに醜く太っても、逆にどんなに英雄のように振る舞っても、彼女だけは最後まで僕の隣にいてくれた。そして十回とも、僕の巻き添えを食って処刑された。
(今世こそは、メイアだけは逃がしてあげないと……)
そのためには、四年後の学園入学までに十分な資金と、どこでも生きていける「薬」が必要だ。
「メイア、朝食のあとは離れに籠もるよ。今年の冬、流行りそうな風邪……いや、流行病の予防薬を完成させたいんだ」
「また怪しげな研究ですか? 旦那様やセリカ様からは、あまり目立つなと言われておりますが……」
「大丈夫。廃嫡されたデブが部屋でボトボト何かを混ぜてるだけだ。誰も気にしやしないよ」
僕は自嘲気味に笑う。
魔力だけは、なぜか前世までの分が積み重なっているのか、底が見えないほどにある。
複雑な術式を組み込んだ「超高純度ポーション」。
これが完成すれば、せめて僕の周囲の人間……メイアや、名もなき領民たちくらいは救えるかもしれない。
「……さあて、十度目の正直ならぬ、十一度目の正直といこうか」
僕はよっこらしょ、と重い腰を上げた。
四年後、僕を殺しに来る「勇者」とやら。
ヒロインも、聖女も、妹も、全部あげるから。
せめて僕の作るポーションの邪魔だけはしないでくれよ?
応援メッセージとかあると嬉しいです。




