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4.2.01 ‐ 調査遠征


「それで、カレンダーって?」


 今日は「カレンダーを作るから」と呼び出されている。

 

「こっちきて」

 まゆ……じゃなくて、ストームが、テーブルにオレと未希を手招きする。


 置いてあったのは、3枚の小さな木札。

 木札の中央の木目が盛り上がり、「2」と読める。


「わたしが、魔法で作ったカレンダー。テスト済み」


「これが……カレンダー?」


「昨日が、わたし達の1日目。今日は2日目だから『2』。明日になったら3になる……ハズ……」


 言いながら、ストームが、木板を未希に手渡した。 


「え……すごい……どうお願いしたの?」


「世界の時計を参照。

 日周期単位で、表面の数字を加算。

 初期表示は『1』、更新は上書き」


「ながっ……みきには、そんなの絶対ムリ」


「その言葉が魔法なのか?」


「この世界の魔法は、魔法というより命令?

 ただしく命令を思考すれば、それが具現化する。

 でも、余計な思考が入ると、正しくならないみたい」


「ぜんぜん、わらかん」


「あ、みきさん、総司の建物への入出許可だけお願いしていい?」


「あ、うん、わかった」


 未希が、玄関に向かって歩いて行った。

 それを目で追いながら、ストームが言う。


「魔法は、みきさんの方がすごい。神レベル」


「人によって違うのか?」


「わたしにもよくわからないけど……

 魔法は、呪文とかじゃなくて、思考の精度。

 意思や思考が、クリーンじゃないと、結果がブレるし、酷い結果にもなる」


「オレでも、できそうか?」


「総司は……やめたほうがいいかも……ヤバそう。世界が壊れる……」


 なんでだよ……


「おにいちゃん、ちょっとこっちきて」


 言われて、扉に近づく。

 扉は閉まっている。


「ドア開けられる?」


 オレはドアに触れようとしたが……

 触れることができない。

 見えない壁に、阻まれる。


「じゃあ、ちょっとまってて」


 未希が扉に触れて目を閉じた。

 すると、出入口の扉が、わずかに歪んで見える。


 そのまま何秒かして、未希が目を開ける。

 扉の歪みも治まっていた。


「ドア開けてみて?」


 言われて、再び扉に手を伸ばす。

 扉に触れることができる。

 ノブを回して、押すと扉が開いた。


「すごいな……これも魔法か?」


「みきさんは、すごい。天才」


「えへへへ」


「魔法にも、分野があるのか……」

「みきは、ストームさんみたいな、複雑なことはできないよ」


 オレは、なんにもできないんだが……




 その後、オレ達は長テーブルに座る。

 ストームが「今後の目標」だと前置きして、話を始めた。


「わたし達には、経験が必要。だから、遠征に参加する」


「遠征? どこへだ?」


「噴水広場で、エレメント・コアの調査チームの募集してたから、応募した」


「エレメント・コア?」


「この世界は、3つの世界に別れてる……」


 ストームの長い説明を、頭で要約する。



 『メモリア・ノード』

 オレがさんざん、苦労した世界。

 ログインデバイスの数だけ存在し、そこで活動できるプレイヤーは、そのデバイスの所有者だけ。

 ほかの住民は全てNPCの世界だ。


 『エレメント・ノード』

 オレ達が、今、会話しているのが、知恵のエレメント・ノード。

 ここ以外にも、3つ存在し、全部で4つ。

 プレイヤーによって、社会が構成されている。

 記憶の回廊を通じてメモリアと行き来することができる世界。

 しかし、最初に選択したエレメントにしか、入ることができない。


 『ルミナス・ノード』

 これが、3つ目の世界。

 まだ行ったことのない世界。

 エレメント・ノードから渡ることができる最奥の世界。

 4つのエレメント・ノードのプレイヤーが集結する場所。

 ゲームクリアを目指すには、ルミナス・ノードへ渡らなくてはならないらしい。


 そしてその、ルミナス・ノードへ渡るための装置。


 それが『エレメント・コア』なのだそうだ。




 ひととおり、ストームの話を聞いてから、最初の質問を投げかける。


「エレメント・コアのある場所は、安全なのか?」


「めっちゃ危険。だから、エレメント・ノード全体で、計画を立てて攻略する」


「どこかに、誰か指揮官でもいるのか?」

「いる。知恵のエレメント軍本部」

「軍? そこにオレ達も組み込まれると?」


「残念ながら違う。わたし達は初心者でザコ。役に立たない。戦力として数えられていない」


「なるほど……要は、売り込み……みたいなもんか?」


「それもあるけど……今回はとにかく経験を積む。初心者を卒業する」


「経験積むのはいいが、死なずに帰ってこれるのか?」


「……3人生還、それが最重要。ヤバかったら、わたし達だけでも逃げる」


「そうか……それは賛成だ」


 オレ達の最終目標は、全プレイヤーの中で、1人しか得られないという『シェイプシフトデバイス』の入手。


 いずれは、全てのプレイヤーを裏切ることになるのだろう。


 今すべきことは、エレメント・コアに辿り着き、ルミナス・ノードへ渡ること。

 それが最優先だ。

 その為に、知恵のエレメント・ノードの組織に紛れ、集団の力で前へ進む。


 そういうことだろう。


「それで、その遠征の出発は、いつだ?」


「明日の朝に、噴水広場に集合、行ける?」


「未希はいけるのか?」


「うーんと……何日くらいで帰ってこられるかな?」


「20日くらいかかるとして……現実世界で5時間」


「じゃあ大丈夫かな」


「未希は、どこからログインしてるんだ?」

「まゆさんちだよ。すっごい広い家」


 おまえら、すっかりお友達だな……


「ストームだってば!」

「あぁ、ごめん」


「オレは問題ないが……じゃあこれから、旅の準備か」


 ふと……スピカの街までの長旅を思い出す。


「食糧とかは大丈夫なのか?」

「……え?」


「この世界の旅は過酷だぞ。未希は、この世界の旅を経験したことはあるのか?」


「ううん、ないよ」


「ストームは?」

「リアルで、キャンプの経験ならあるけど……」


 まて……


 わかってるのか、この2人……?



 この世界の旅が、どういうものか?


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