第66話 レイヴンと合流したのである
はい、こちら現場のリリスちゃんです。
いやー、大変なことになっております!
厨二病者ども、前世のGを彷彿とさせるほど湧いて出るんですけど。どんだけ罹患者がいるのよ?
攻撃は、聖防でホボホボ防げているんだけど、持続ダメージみたいな多段ヒットを同じ箇所に当てられると、さすがに突破されてしまう。
まあ、即座に癒やせるし、なんなら私には効かないんですけどね!
厨二病者どもも、一向に仕留められない私たちにイライラしてるっぽい。
確かに強さは相手のが上っぽいし、さらにこの大人数。たかが少女と護衛三人、どうして倒せないのかって不思議に思っているでしょう。
とはいえ、現実は非情、こちらは死者ゼロ人、敵は数え切れないほど倒されていて周りは死屍累々だし、何度か血の臭いに惹きつけられた魔物がやってきて、それらも倒すことになってるし。
ギークリーさんたちも私が死なないのがわかったらしく、私を守るよりも厨二病患者どもを殲滅する方向性に変えた。
私を守るのは、セラフ。
とはいえ、セラフも縦横無尽に駆け巡っているので守っているかというと……。
あ、でも、一度敵が私を攫おうとしたときは、即座にそいつを爪で切り裂いた後、首を嚙みちぎったけどね!
おっと、ギークリーさんが目に矢を受けた!
「【聖癒】」
とたんに、矢が吹っ飛び、目が再生される。
周囲が一瞬啞然として動きが止まる中、ギークリーさんがその隙を逃さず敵を殲滅していく。
「どんな怪我を負ってもリリスが回復してくれる! そしてリリスはどんな攻撃を受けても死なない! お前ら気合いを入れて倒せ!」
「「「おう!」」」
ギークリーさんが怒鳴り、ドーバーさん、エイツさん、パーズさんが景気のいい返事をした。
もちろん私も参戦しております。
リリスメイスでなぎ倒しているからね!
生きている敵より死んでる敵のほうが多くなったなと思ったころ、敵が指笛を吹き撤退の合図を出した。
私は思いきり怒鳴る。
「逃げられると思ってんのか、この、おっきなガキどもがあ!」
ケルベロスの恨み、思い知れ!
すかさずリリスロッドに持ち替え、
「リリース……ムーンカッター!」
と、錫杖を振り回した。
厨二病どもは置き土産とばかりに毒煙玉を投げつけてきたが、
「んなモン効くか! 【聖浄】」
すぐさま浄化してやったわ!
指笛を吹いたリーダーっぽいのが、凄い目で睨んでますけど。
「遠くから睨んでないで、かかってこいやあ! リリース、ムーンカッター!」
怒鳴って再度お見舞いしたら、慌てたように撤退する。
普通は去るままにするのでしょうが……。
「フゴゴゴゴァア!」
詰まった掃除機みたいな鳴き声を出したセラフが猛スピードで追いかけていった。
私は見送った後、ギークリーさんたちに声をかける。
「生きてますかー?」
「「「「おぅ」」」」
生きてはいるらしい。
さてと。
私は腕を組んで周囲を見渡す。
死屍累々。
さて、この後始末ってどうするんでしょうね……と考えていたら、
「……リリスーッ!」
と、声がしたので振り返った。
「あ、レイヴン。……ごめーん! 先に謝っとくわー!」
レイヴンが厳しい顔つきで走ってこちらに向かってきた。
そして私の肩を掴む。
「無事か!?」
「ご覧のとおり。私、よっぽどじゃなければ死なないし」
そう返したらガクリとうなだれた。
「……死んだかもしれないと思った……」
心配してくれたらしい……。
そりゃそうだよね、置いてかれて、自分のいないうちに敵に囲まれていたんだもんね。レイヴンの性格なら心配するよね。
反省したので謝った。
「うん、ごめん。ちょっと軽率だった……いや、一網打尽かな! こんだけの人数に狙われてたのならさ、そのまま学園に行ったらヤバかったわ、かなりの人が巻き込まれたでしょ」
この厨二病者どもが巻き込む相手を忖度するとも思えない。
うちの学年、王子サマとかいるのよ?
巻き込んだら大変だろうね。国外追放ならばっちこいだけど、私も処刑されそうだわ。
レイヴンが大きく息を吐いた。
「……確かに、そこはそうだな。クラスの誰かが人質にとられたら、私はともかくリリスは敵の指示に従うだろうし」
確かにそうかも。
「と、なると、やはり仕留めて正解だね! 偉いぞセラフ!」
逃げた全員を血祭りにあげたセラフが、次々と厨二病どもをくわえて得意げに私の前に持ってきたよ。
猫だなあ。




