第65話 私の凄さを思い知らせてやったのである
現在、闇ギルドと交戦中のリリスちゃん御一行様です。
初撃のリリスムーンカッターでだいぶ減らしたけど、それでもまだ敵の数はかなり多い。
「そりゃ!【聖防】」
私だけでなく、ギークリーさんたちにもかけた。
「…………!?」
「神々しくなった!」
ギークリーさんたちが薄っすらと輝く。
「本気を出した聖属性の魔法使いがどれくらいの実力か、敵味方なく思い知れ!」
ギークリーさんたちが呆れた顔をしているよ。
でもマジで言ってまーす。
確かに当主様よりは強さはないよ?
でも私、ちょっとやそっとじゃ死なないので!
それこそが聖属性の魔法使いの戦い方なのさ!
いわゆるゾンビアタッーク!
「どんどん死んできて! 生き返らせるからさ!」
私が親指を立てると、ギークリーさんたちがもっと呆れた顔になったよ。
だが、ギークリーさんが気を取り直した。
「……つまり、ちょっとやそっとじゃ死なないってことか。……わかった」
冷静になったらしいギークリーさんが突っ込んでいく。
そして防御をいっさい考えずに攻撃しまくってる。
斬られたりしているっぽいけど、多少の攻撃なら【聖防】で防げるのでー。
「では、前に出なければ倒してもいいということで」
私はリリスメイスに持ち替えた。
すでに【聖闘】は唱えているので、リリスメイスをくるりと振り回す。
「全方位に向けて、私の本当の実力を見せてつけてくれるわ!」
私、本気を出したら凄いんです!
*
レイヴンが部屋から出て食堂兼大広間に向かうと、ロムルスしかいない。
軽く眉根を寄せつつキッチンに向かうが誰もいない。
「……どういうことだ?」
朝食は用意してある。
だが、リリスがいない。
『今日が狩りの日だ』と言っていたし、部屋を出るときは特に変わった様子はなかった。
ということは、朝食時に何かあったのだ。
レイヴンが考え込んでいると、ロムルスがキッチンにやってきて告げた。
「リリス嬢たちはもう出た」
レイヴンは振り向きざま、あからさまに眉根を寄せる。
「どういうことだ」
「リリスに頼んで、少しでいいから二人きりにしてもらったからだ。お前と話をしたい」
レイヴンは激しくに舌打ちした。
「あれほど首を突っ込むなと言ったのに……!」
「リリス嬢は聡い。彼女は、私とお前の想いがすれ違っていると指摘し、そこをすり合わせろとアドバイスしてきた。だからこそ、話し合いが必要だと思ったのだ。完全な第三者の意見だからこそ、聞く耳を持った」
「私にはない」
短く告げると歩き出す。
「私にはある。お前がどう思おうが、お前は私の後継者だ」
「お断りだ。私は冒険者。貴様の言うなりにはならない」
「いつまで意地を張るつもりだ?」
横を歩くロムルスがそう尋ねたので、レイヴンがフッと笑う。
「むろん、死ぬまでだ」
それ以上、ロムルスも説得できなかった。
だが、後継者はレイヴンにするしかない。
辺境伯家というのは、そういうところだからだ。
サデウス――レイヴンの兄ではダメなのだ。
ロムルスは、レイヴンに強い口調で言う。
「レイヴン。これ以上は当主として従わせることになるぞ」
「なら、当主になったとたん家臣全員のクビを切って、その後当主を引退するか」
レイヴンが嘯くと、ロムルスがうめく。
「レイヴン――」
「どうしても私を従えたいのなら、当主にさせるな。どうしても私を当主にしたいのなら、報復を覚悟しろ。私からはこれ以上話すことなどない」
そう言いきると口を閉ざし、いっさいロムルスを見ずにクランハウスを出た。
そのままリリスのあとを追う。
ロムルスも説得の言葉が思いつかず黙り、レイヴンの後ろを歩いた。
二人はそのまま王都の門を抜け、リリスのいる狩り場に向かったが――。
レイヴンもロムルスもふいに立ち止まった。
なぜなら、行く手を塞ぐように殺気が押し寄せてきたからだ。
ロムルスは素早く剣を抜きながらレイヴンを庇うように前に出た。
「レイヴン、下がれ」
ロムルスがそう言ったとたん、レイヴンはロムルスのさらに前に立つとギラリとにらんだ。
「下がる? コイツらは明らかに足止めだ。つまりは、リリスが襲われているということだぞ!?」
最後を怒鳴り、レイヴンは剣を抜き放った。
※発売から1か月経ちまして……。
書泉様では(とよた瑣織先生の色紙効果で)バカ売れしましたが、他が微妙な塩梅です。
シルヴィアが発売前売り切れで追加発注の嵐だったのにもかかわらず、今回は書泉様以外『在庫あり』のままでしたからね……。
購入まだの方、ご購入の検討をお願いいたします! 続きが書きたいよー!




