第61話 当主様がやってきたのである
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貴族の坊ちゃんが「クランに入りたい」と駄々を捏ねようが、ダメなものはダメ。
ギークリーさんはキッパリと、
「それ以上騒ぐなら憲兵に捕縛してもらうと伝えろ」
そう言い切った。
「わかりました!」
揉め事の内容を伝えにきた彼は戻っていき、さっそく実行したっぽい。
何かを告げると、少年は青い顔をして去っていった。
「意外〜! おとなしく引きましたね!」
私が驚くと、ギークリーさんが言った。
「憲兵に突き出すと言って開き直るのは破落戸か犯罪を揉み消してきた過去を持つ奴かだ。そういった連中も、ガレスの名を出せば引く。逆に引かない場合は闇ギルドの関係者だな。憲兵に捕まえてもらって徹底的に洗ってもらったほうがむしろいいだろう」
「なるほど!」
そうなんだ!
ギークリーさん、さすが当主様から信頼されているだけあるわー。判断がすごい。
……その少年、その後も来たらしく、とうとう憲兵のお世話になった。
少年の友人が身元引き受けにきて、その後は現れないそうだよ。
「変な奴だった」
と、憲兵さんが言っていたそうな。
ちなみに、侵入者は何度かある。
そもそも、闇ギルドの話が出る以前にもちょいちょいあって、セラフが撃退している。
クランの人たちも慣れた感じで、逃げられたら深追いはしないけど可能な限り捕まえるという方針らしい。
……が、侵入者が闇ギルドということになり、手加減無用情けをみせたらこちらが殺られる、ということで侵入者は問答無用でキルすることになった。
でもって、侵入されてセラフが襲いかかりクランが総出で殺しにかかったことが数回。
何か仕掛けられたとしても、私が聖浄を唱えればお掃除完了! 爆破物だろうが猛毒だろうが全てお掃除されるのである!
そんなこんなの数日間、ぶっちゃけちょっと楽しくなってきていたら当主様が援軍を連れてやってきた。
*
「無事だったか」
「そりゃあ、もちろんですとも」
私の属性魔法を知ってますよね?
怪我したとしても瞬時に治りますわよ。
当主様が苦笑する。
「闇ギルドに狙われてるってのに、元気いっぱいだな」
「そんな、少年時代の痛々しい歴史を大人になっても抱えているような集まりに狙われていると言われても……」
私が返すと、当主様がポカンとした。
「『闇に潜み、闇に生きる』とか言ってる集団でしょ? ……私と同い年くらいならお年頃で済むけれど、大人になったらちょっと厳しいですね」
当主様の隣にいる方が噴き出しそうになってこらえている。
「……いや、まぁ、そう言えばそうなんだけどよ。でもな、言ってるだけじゃなく実際それをやってたら、痛々しいだけじゃ済まねーんだよ」
当主様が困った声で擁護している。
どうやら当主様にもそういう時代があったっぽいね!
……で。
気になったのは当主様の隣にいる方。
当主様の言っていた『援軍』らしいんだけど……。
私、似ている人を知ってるんだよなぁ。
現在、私とパートナーを組んでいる女子なんだけどさー。
ジーッと見ていたら、当主様が苦笑して隣の方を親指で雑にさす。
「コイツが『ナンパ野郎』、お前のパートナーの父親だよ」
ナンパ野郎が当主様をジロリと睨んだ。
私はスカートを持ち上げつつ頭を下げる。
「お初にお目にかかります。辺境伯当主様。私はリリス・ヴァリアントと申します」
偉い人なのでキチンと挨拶した。
辺境伯当主様はしばらく黙る。
……え? ドユコト?
私が思わず頭を上げて辺境伯当主様を見ると、我に返ったように挨拶を返した。
「失礼。あまりの可憐さについ見惚れてしまった。私は君の友人であるレイヴンの父、ロムルス・シルバーウインドだ。娘が君の世話になっているようで申し訳ないね」
おぉっと、いきなりのジャブが飛んできたよ。さすが親子。というか、レイヴンがお父さんを真似したんだっけ。
当主様がギラッと辺境伯当主様を睨む。
「……娘に手を出したら、タダじゃおかねぇぞ」
「こっちのセリフだ」
うわー、仲が悪そう!
なんで彼を援軍として呼んだのかなー?
私が表情で尋ねると、当主様が説明し始めた。
闇ギルド関連は、痛々しい名前ではあるもののやることはえげつないみたいで、依頼完遂のため手段を選ばない。
ゆえに、当主様が知る強い男を選んだのだそうで……。
「いや、だからって国境の護り手を引っぱってきます?」
「戦争してねーだろ。魔物から守ってるっつったって、魔物はどこにでも出るわ。国境だけ間引きしたってしょーがねーだろうが。やるなら国中回れ」
って言い放ったし!
……まぁね、当主様は国中回ったんでしょうし……。
すると、辺境伯当主様が宣った。
「確かに今は私が抜けてもどうということはないから、そのかわいい顔を曇らせないでくれ」
「ワーヲ。レイヴンが言いそうなセリフだわー。まさしく親子だわー」
乱暴な言葉遣いを直すためじゃないでしょ。単に遺伝子がそうなんでしょ。
それで娘の様子が気になったのか、辺境伯当主様がさりげなく辺りを見回す。
「あ、もしかしてレイヴンですか? こういった場を嫌うので、部屋にいますよ。呼んできます?」
そう言ったら、首を横に振る。
「あとで会うから、心優しい君が思いわずらうことはないさ」
「思いわずらってはいませんねー。辺境伯当主様に気を利かせただけです!」
一応ツッコんだよ。
ヤバいわー。マジで言うことがソックリだわー。




