第59話 『リリスちゃんを守ろう』計画が始まったのである
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亭主から聞いた話を当主様に手紙で出した。
亭主が、書いたほうがいいってしきりに勧めるからさー。
もしかしたら当主様ならケルベロスの肉を取り返せるかもって期待もあったので、近況も含めて書いたよ!
『今レイヴンと魔物を狩ってるよ。レイヴンが蛇食べたいって言うんだけど、どっか良い狩り場知らない? あ、竜の角亭の亭主が手紙を書けってうるさいから、こっから本題なんだけど、転移陣で強奪されたケルベロスの肉、アレ、闇市で売ってたらしいのよ。亭主が闇ギルドが関わってるとかなんとか言ってた。当主様なら取り返せるのかな?』
っていうのをもうちょっと長く書いて、送った。
手紙は、カラドリウスという鳥が配達する。
白くて小さくてかわいく人に慣れていて、従魔もしくは使い魔として人気らしいよ。クラスメイトの使い魔も、カラドリウスがほとんどだったかなー。
配達鳥として訓練されたカラドリウスはとても賢くちゃんと届けてくれるとか。すごいよね。
――で、そのカラドリウスが私に手紙を持ってきた。
「ありがとー。ハイ、これお駄賃!」
ナッツをあげたら喜んだ。かわいいなー。セラフの他に飼ってもいいかも……って、狩りには不向きだから無理かな。
それに、セラフが食べちゃいそうだし。あの子、猫だもんね。
手紙を読んだら驚いた。
「レイヴンー! 大変!」
「どうした?」
「ケルベロスの肉について手紙を出したら、なぜか当主様が援軍を引き連れてこっちに向かったって返してきた」
レイヴンは瞬きをした後、
「もしかして、肉を取り返してくれるのか……?」
と言ったよ。
あ、うん。そういえばそれも書いたかもしんない。
シエラのお宅にお邪魔する計画は延期し、当主様の到着を待つことになった。
そして、なぜかギークリーさん他数人とパーティを組むことになった。
「ガレスに頼まれた。……一線を退いているが、索敵や連携はそれなりだからな。めんどうをみてやる」
「ありがとうございます?」
疑問形になっちゃった。
だって、ここにきてなんで急に、って思うじゃん?
「……なんか、あるんですか?」
尋ねると、ギークリーさんが逡巡した後にうなずく。
「お前が闇ギルドに狙われている可能性があるので、少なくとも狩りに行くときはついていてやってくれとガレスに依頼された」
依頼かぁ。
ならしょーがない。
ギークリーさんは、レイヴンを見る。
「お前さんは、できるなら違うクラスメイトの家で下宿したほうがいいぞ。『遊びにいく』って約束をしてたとか話していただろ。そこへ行け」
レイヴンはギークリーさんを見た。
うーん、この言いっぷりはけっこう危険だとみた。
「レイヴン、そうしなよ。シエラには『リリスはトラブってて無理そう』って伝えておいて」
私が言うと、レイヴンは肩をすくめる。
「バケーションの間、下宿させてもらえるかが確定しないと無理だな。ここなら気兼ねがない。子爵の屋敷に辺境伯令嬢が長い間泊まるのを外聞が悪いと捉えられたら結局ここに戻ってくることになる。なら、ここに居座ったほうがいいかな」
居座る気のレイヴンが返す。
そして男爵家の家に居座るのはいいのか?
「ここは、もともと冒険者に貸しているのだろう? 私はリリスのパートナーの冒険者だから、言い訳が立つ」
と、レイヴンが続けて言った。
そういうものなのかわからないけど、もしかしたらレイヴンも私を心配してくれているのかもしれないなと思ったのでうなずいた。
ギークリーさんは渋い顔だ。
「……俺たちが頼まれたのは、リリスだ。いくら辺境伯令嬢とはいえ、お前まで守れないかもしれんぞ」
レイヴンがフッと笑う。
「私はお姫様を守る側だと思うけどね?」
そう言うと、私の手を取り大仰なしぐさで手の甲にキスするふりをする。
私はレイヴンのおでこをペちっと叩いた。
「やりすぎ。……ま、大丈夫でしょ」
私が密かにレイヴンを守りますとも!
――というわけで、『リリスちゃんを守ろう』計画の始まり始まり~!
その守る側に私も入っているのですが、細かいことは気にしないのである!
再び全員を食堂に集めて、私は腰に手を当てて説明する。
「まずは飲料水ー。ここにある樽以外からは飲まないようにー。リリスちゃんが毎朝セットするからねー」
「「「うぃーっす」」」
「掃除もリリスちゃんが毎朝行いまーす。まぁ、魔法でだけど! なので、清掃業者の人は父様が許可するまで入れないようにしてくださーい」
「「「うぃーっす」」」
「あ! 納品物なんかは、家に持ち込まないようにね! ギルドに預かり所があったよね? そこに預けてね! なんか起きても責任取らないし、知らないからね!」
「「「うぃーっす」」」
何を言ってもこの返事だ。ホントにわかってるのかな?
……わからなかったら、当主様が怒るだけだからいいけど。あと、ギークリーさんね。
私はいったん退くと、ギークリーさんが前に出る。
「ここの家主でもあるガルフからの依頼だ。闇ギルドがリリスを狙っている可能性が出てきた。解決するまではこのクランは『リリスを守る』という依頼を受け続けることになる。不満がある奴は、解決するまでここから出てろ。あるいは脱退しろ。今なら行きたいクランがあれば話をつけてやる」
ギークリーさんの言葉を聞いて、みんなが真面目な顔になった。
「まず、当面は新規のクラン入団希望者を受け付けない。お前たちも決して入団させるな。入りたいという奴は時期が悪かったと諦めさせろ。また、今までなあなあだったが、『クランの人間以外はここへの立ち入りを禁止する』を徹底する。庭だろうがなんだろうが、敷地内に入れるな」
え。
……レイヴンは?
私が戸惑ったら、ギークリーさんが注釈した。
「ただし、リリスとそのパートナーは別だ。彼女たちは家主の客人扱いとなる。……だが、これ以上は入れないように。絶対に、知らない人間に声をかけられて親切心で連れてきたりしないでくれ。また、知っている人間も怪しんでくれ。……いや、その場合はその聖獣が判別つくか」
「なおーん」
ギークリーが最後に添えたら、セラフが得意そうに鳴いた。
セラフって、言葉がわかるの?




