第54話 退学出来なかったのである
【お詫び】
昨日の投稿で、間違えて『脳筋聖女、発売中!』って入れてしまいましたが、間違いです!
発売日は2月16日になります!
申し訳ありませんでした!
――ということで、貼り紙事件は犯人たちの保護者が叱責され、親が子どもに説教することになった。
ケイラお嬢様の夢見がちな性格、治るかなぁ……。
でも、マジで治したほうがいいと思うんだよね。
男爵家を継ぐのはケイラお嬢様だし、「夢で領民が反逆したから」とかいう理由で処刑するとか本気でやりそうだもの。
今の標的は私だけど、私はいつまでもいるわけじゃない。
私がいなくなった後、気に入らない人を次の標的にし始めるのなんて簡単に予想出来る。
しかも、自分より立場の弱い人をね!
そう当主様に言ったら、何とも言えない顔をした。
「……現時点ではお前がターゲットになってんだぞ? いいのか?」
「その前に。――そもそもの原因って、当主様が結婚してるのにもかかわらずママンと私をこさえて、さらには私を男爵家の一員にしてしまったことにあるんですよ? 私は最初ッから家を出て旅をしようと思ってましたし、だからこそケイラお嬢様には強く出られないんです。いいですか? ケイラお嬢様と私って一見対立しているように見えますが、その目的は『私が男爵家と学園から出ていく』って方向で一致してるんです。わかります?」
当主様がうなだれる。
「当主様のやるべきことは! ケイラお嬢様に誠心誠意謝って、男爵家はケイラお嬢様に継がせるし、私は冒険者として旅立たせるからそれまで我慢してくれと説得し、だからもう夢を現実と混同するな、それは頭のおかしな子がすることだと説教することです!」
私は片手を腰に当て、片手を当主様に突きつけてビシッと言った。
当主様はしばらくうなだれていたが、顔を上げた。
「……分かった。お前もケイラも、大事な俺の娘だ。腹を割ってケイラと話すよ。……俺はこんなだから、ちゃんとした貴族のケイラに遠慮してた。コンスタンスも、自分が教育するからいいって言ってくれてたから甘えて、逆にあんまり関わっちゃいけねぇって考えてた。……そうじゃねーよな。お飾りでもヴァリアント男爵家の現当主は俺で、ケイラの父親も俺だ。ちゃんとするよ」
真面目な顔で言ったので、ちゃんとするっぽいなと思った。
……あと、分かっちゃった。
やっぱり当主様って、ケイラお嬢様のことが苦手なんだな、って。
私も苦手だから気持ちは解るけどさ……。
そう差別するから、ケイラお嬢様がより夢見がちになっちゃうんじゃないかな?
この際、奥様に怒られようとも令嬢教育うんぬんもうっちゃって、もう少しお父さんとしてケイラお嬢様を構ってあげたほうがいいと思うよ?
*
「「あ」」
登校途中でレイヴンにばったり会ったので、そのまま一緒に登校する。
「残念だったね」
レイヴンが半笑いで私に言ってきたよ……。
「ホントだよね。……あーあ、いっそのこと、自作自演でしたーとか言えば良かったかな~。そうすればさすがに退学になっただろうし」
天を仰いで嘆いたら、レイヴンも空を見た。
「焦りなさんな。長くてもあと二年ちょっとで卒業出来るさ。そうしたら飛び出せばいい。リリスをここに縛りつけておく理由がなくなるからね。……私も、長くて二年ちょっとだ。我慢するさ」
私はレイヴンを見た。
聞こうかどうしようか悩み、でも尋ねる。
「……探し物は、いいの?」
「…………。今すぐ手に入れなけりゃいけないものでもないんだ。ただ……そうだな、それは私の贖罪であり、単なる自己満足である。なんとしてでも探し出すけれど、前みたいに余裕をなくして血眼になって探すことはない。それに気づいたよ」
そっか。
「それなら、よかった」
そう言って前を向いた。
すると、
「「「――リリスーッ!」」」
と、私を呼ぶ声がする。
フレイヤ、ノエル、レティシア、シエラ、他にも。
……私もまだ、このままここにいてもいいかな。
いつか絶対に冒険者として旅立つけどね!!




