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脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
5章 聖属性の魔法使い、退学騒動に便乗する!

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第50話 査問にかけられたのである

 当主様が、チラリと男子二人を見る。

「……ソイツらが、娘に相手にされない腹いせに言いがかりをつけてきたって聞いたが……」


 はい、当主様のセリフで二人がブチ切れたね。


「そんなこと、あるワケがない! 気があるのはそっちだろう!?」

「ふざけるな! そんな暴力女に何か思うことなどあるワケがないだろう! 其奴が私の気を引こうと、魔物を召喚したんだ!」


 当主様が私を見るので、手を横に振った。

「ないない。あんな弱っちいの。私、父様の娘だよ? 全てが父様より劣るのに、どこを好きになるって言うのよ? もしかして、愚かさ?」

 とたんに当主様がご機嫌になった。

「そうか! そうだよなー。ヒョロヒョロのチビッコはお呼びじゃねぇよな! せめて俺くらいカッコよくねぇとな!」


 そう言うと、私の頭をワシワシ撫でてくる。

 チョロい。


「……っていうか、なんでそんなに自分に自信があるんですかね……? 身分からいったら、周りの女子は気を引きたいんじゃなくて気を遣って持てはやしてるって解らないのかな?」

 首をかしげて疑問を提示したら、真っ赤になっていた。


 だが、第一王子は持ち直した。

「フッ、そんな手を使っても無駄だ」


 ヤバいね、話が通じない。


「いやソッチこそ、そんな幼稚な手でちょっかいかけられても、より嫌うだけだから」

 切り返して当主様に助けを求める。


「ねぇ父様。父様はモテまくってたから、きっとアレのあの状態が理解出来るでしょ? どうやったら諦めさせられるの?」

「ぐっ……! ……いや、父さんはな、モテたっつーか、好きな女を口説いてただけだから、ちょーっと違うんだよ。だいたい、惚れたならストレートに口説けよ。好きな女に嫌がらせしてどーすんだよ、嫌われるだけだろ」


 当主様が胸を押さえながら私に弁解した。


「知らないよ。何を言おうが何をやろうが俺のことが好きなんだーって勘違いするんだもん。頭がおかしいと思う」

 父と軽蔑のまなざしを送ったが、それにも怯まない第一王子。

 ……すごいよね、その思い込み。

 だけどもう一人は、自信が揺らいでいるようだ。


 ――と、陛下の脇に控えている貴族が、咳払いした。


「不毛な発言はそれで終了するように。……これ以降は、事実だけを聞き出し、裁定する。故に、ここから先、嘘は許されない。嘘をついたことが発覚したら、厳罰に処す。それは、決して甘い処罰ではないことを覚悟して回答するように」

 と、指示をしてきたので、彼は司会進行役の人だなと判断した。


「まず、事の発端は魔法大会の表彰式を行おうとした際、召喚の魔法陣が現れてケルベロスが召喚され襲いかかってきたことから始まる。――リリス・ヴァリアント、君はケルベロスを召喚したかね?」

「いいえ」

 やり方すら知らんわ!


 ……とはいえ、召喚出来るか? と聞かれたらどうしよう?

 召喚の魔法は知ってるのよねー。

 ……ん? でも、アレってホントに召喚の魔法なのかな?

 セラフしか呼べないなら、セラフを転移させてるだけじゃない?

 つまりはセラフ専用の転移の魔法だな! ……今のところはね。

 まだ他に試してないからわかんないもん。


「嘘だ!」「アイツがやった!」「嘘をついている! 処罰しろ!」ってヤジが飛んだけど、考え込んでて反応が遅れたわ。


 私が言う前に、司会進行役が怒った。

「お前たちは、陛下の御前での審議をなんだと考えている? ……これは、正式な裁定の場であり、軽々しくヤジを飛ばしていいような場ではない! 発言権は、私及び陛下が問わない限りはないと思え! ――いいか、これ以降、よけいな発言をした場合、嘘とは別に刑罰を与える!」


 これで、三人が黙った。

 一人だけものすごく不満顔だけどね。言わずともしれた、第一王子がね。

 陛下はギロリと王子を睨むと、王子がその視線に気づいて決まり悪そうな顔をしてうつむいた。


 司会進行役の人が質問を続ける。

「君の属性は聖属性で合っているかね?」

「はい」

「他の属性の魔法が使えるかね?」

「いいえ……」

 どうやっても使えませんでした! 当主様の嘘つき!


 私が当主様をジロッと睨むと、当主様が苦笑して私の頭を撫でる。

「属性無しじゃねーといろんな属性の魔法が使えない、なんて知らなかったんだよ。許せって」

 いいですけどね。


「報告では、聖属性とは思えない魔法が使えるようですが、そのすべてが聖属性の魔法ということですか?」

「はい」

 淡々と答える。


「火魔法、水魔法が使えるようですが、それは、あくまでも聖属性ということか。……今、見せてもらってもいいかね?」

 陛下が割り込んできた。

 見せるくらいならいいけど……。

「『聖火』」

 ポゥ……と片手に火を灯す。

 そして、

「『聖水』」

 片手に水球を浮かべる。


 司会進行役の人が、片手にグラス、片手にロウソクを持って近づいてきた。

 そして、聖水をグラスに汲み、ロウソクを聖火にかざし……。

「ん?」

「あ、『聖火』は普通の火じゃないので燃え移りませんよ」

「は!?」


 司会進行役の人は、何度も聖火にロウソクを突っ込む。

 うん、だから燃えないから。


 ロウソクを指定しようかと思ったけど、父が目で合図してきたのでやめた。

「その聖なる火は、魔を焼くためにあるんだよ。聖属性ナメんな」

 父が言ったので、司会進行役の人はうなずいた。

「なるほど。確かに聖属性だ。……こちらの聖水も、もしや教会にある聖水と同じ効果が……?」

「浄化はあった。治癒に関してはそこまで期待出来ねぇって感じだ」

 父が説明しているわ。

 私に余計なことをしゃべらせないようにしているんだろうね。

 嘘をついちゃいけないらしいから。

 ただ、効能に関しては「知らない」が正解なのよ。

 そもそも教会の聖水がどんなのか知らないしー。


 司会進行役の人がものすごく感心した顔をして、

「なるほど。確かに聖属性だ」

 と、うなずいていた。


「これは、魔物は喚べないだろう。彼女の魔法は、完全に聖属性に特化している」

 司会進行役の人が言い切った。


 ……そうでもないんだよね。セラフは喚べるもん。

 ――ん? セラフは聖水や聖火で炙ったものをバクバク食べているよね?

 もしかしてセラフって、聖属性なのか?

 聖属性の魔物って、聖物……いやちょっと違うな。


「……そっか」


 当主様が、セラフは殺せないって言って私に飼うように指示したのは、セラフは聖獣だったからなのか。


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2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
魔物を浄化したり生きたまま収納に突っ込んだらどうなるんだろ?浄化は嫌がらせくらいの効果かな?
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