第49話 父に連れられて王城へ行ったのである
貼り紙の内容について釈明しに、王城へ行かないといけないという。
当主様はその迎えに学園に来ていて、私と一緒に行くそうだ。
「えーと、他の生徒も一緒にですか?」
私の退学運動を起こしているケイラお嬢様と?
しかも人前だから「義姉様」って呼ばないといけないんでしょ?
いや、やれと言われればやりますが、到着する前に揉めますよ?
「いや、俺はお前の保護者で証人だから一緒に行くんだよ」
なるほど、とうなずいたけど、ケイラ様はいいのかな?
あ、でも、私は被疑者に当たるから、告発しているほうに弁護人はいらないのか。
馬車に揺られて王城へ入る。
騎士の方が、まず控えの部屋へ案内してくれた。
「――当主様。私、作法がわかりません」
「安心しろ。俺もわからん」
何も安心できないでしょ!
コーデリア・セイジクラウン先生の付き添いを求む!
私は助けを求めるように騎士様を見たら、騎士様が教えてくれた。
基本、騎士様の案内で場に進み、その場で頭を下げる。
陛下が「面を上げ、楽にせよ」と言ったら頭を上げる。
「付き添いますので、安心してください」
って笑顔で言ってくれたよ!
「わぁあ~ん! ありがとうございます~! ポンコツの父親がアテにならなくてどうしようかと思いました~!」
「ざけんな! やる必要がねーんだよ! 俺がなんで頭をさげなきゃなんねーんだよ!」
当主様が俺様発言したし。
「巻き込まないでください。私は常識人です。謂われなき仕打ちを受けたならしばき倒しますが、普通に陛下には敬意を払いますよ」
「俺にも払えっての。俺は救国の英雄だぞ」
「え?」
当主様がなんか言いだした。
「ドラゴンが王都を襲ったんだよ。そのドラゴンを討伐したのが俺だ。他にも仲間がいたけど、メインは俺。――で、いろいろあって、冒険者を引退するついでに手ごろな爵位をもらって、コンスタンスが領地経営を請け負うって契約で結婚したんだよ。だから、コンスタンスと離婚する場合は、また冒険者に戻るか別の国に行くかする。金はあるし」
当主様がのんびりと言った。
「なるほど、それで英雄様って呼ばれているんですね。でも、それとこれとは別。国を治めるのは大変なので、相手に敬意を表しましょう。当主様だって、領地経営が出来なくて義母様にやってもらっているんでしょう? その義母様を敬ってますよね?」
私が反論したら父様が肩をすくめる。
「それはそうだ。だけども、それとこれとは別だな。俺は、この国にいたいワケじゃねーんだ。どっちかっつーと、出ていきたいんでね」
おっとぉ。
騎士様が固まっちゃったわよ。
「それを陛下も上の連中も知っている。だから俺のことを好きにさせてんだよ。何も、陛下を見下してるワケじゃねぇ。お前の言ってることもちゃんと理解した上で、逆に俺を見下されないための振る舞いだ。嫌なら即出ていくさ」
うーん、なるほど。
だから傍若無人に振る舞っているのかー。
……あれ? デジャヴ。
なんか、第一王子へ傍若無人に振る舞っている男爵令嬢がいましたっけね……。
「……わかりました。父様はそれでいいと思いますよ? でも私は別ですよね?」
「ところがそうでもない。それをわからせるため、わざわざ俺が出張ったんだよ。お前の価値が解らねー連中のいいようにはさせねーし、お前がどうしてもこの国が嫌だってんなら、もちろん出ていかせる。コンスタンスはこの国の貴族として、お前の価値が解っているから、実の娘を修道院に送ってでもお前を男爵家令嬢にしておきたいんだ」
えええええ。
なんか大層な話になってきたなと思っていたら、別の騎士様が現れて、
「審議の間で開催しますので、ご案内いたします」
って告げてきた。
*
私たちは最後だった。
騎士様は小声で指示を出そうとしたが、当主様が声を出して止めた。
「やらなくていい。お前の価値が解らないってのなら、お前をこの国から出す」
全員がフリーズ。
もちろん私もネ!
マゴマゴしていたら、陛下が制した。
「そのままで良い」
ありがとう陛下!!
困ったちゃんの父親ですみません!!
謝意を述べようとしたら……。
「俺の娘に対して、アンタの息子とその腰巾着がやらかしたそうだな」
当主様がいきなりぶっ放したので、どうしようかと思った。
だけど、もっと驚いたのが、
「……制御できず、申し訳なかった」
と、陛下が謝ったのだ!!
第一王子ともう一人が、呆然として陛下を見ているよ。
あ、ゴメン。私もだった。
父が腰から鞘ごと剣を抜いた。
「……これが、ドラゴンを斬ったときにその血と呪いで魔剣に成り果てた、かつての愛剣だ。それが、現在こうなった」
誰かが寄ってきて、詠唱し……あ、鑑定の魔法だ! 鑑定の魔法を使ってるよ!
「間違いなく、属性は聖。浄化と破邪、魔属性の無効化……さらには、魔力を流すと聖属性の切れ味と威力上昇となっております……素晴らしい。これは間違いなく、聖剣です!!」
最後、気合いを入れて言ったよ。
「これを、うちの娘がやった。で? その娘がケルベロスを召喚したって? 魔を祓う属性を持つ娘が、魔を召喚出来るってか?」
第一王子とその隣、どっかで見たことのあるようなないような気がする男子が、ものすごく戸惑っているな。
いや、むしろ不満そうなのか?
当主様、ものすごい不遜な態度だもんな~。
当主様の話している内容より、口調が気になってしかたがないんじゃないか?




