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脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
4章 聖属性の魔法使い、魔法大会に出る!

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第43話 新たな肉をゲットしたのである

 いつもの流れと変わってしまった大会だったけど、表彰式はある。大会だもの。

 一位。トップバッターの先輩。

 空気を読まない審査員ではなかった。

 ……というか、審査員のほうがこの辺はわかってらっしゃるようだ。


 ただ、次からが番狂わせだった。

 二位、私。

 三位、レイヴン。


 ……待て。

 私は肉を焼き、レイヴンは矢を放っただけだぞ。

 普通の魔法をお披露目した人たちで、もっとカッコいい魔法を使った先輩がいるでしょ!?


 ……と、抗議したかったんだけど、思いのほか焼き肉で胃袋を掴んでしまったようだ。

「絶品だった」

 と、声をかけてくださったのが恐らく国王陛下。

「恐れ入ります」

 と返したけど、絶対にお世辞だと思う。

 なんなら、もっと絶品の食堂を紹介しますよ?


 レイヴンも不満そうだ。

 三位に入ると思ってなかったんでしょうね。

 だけど、

「身体強化以外の魔法で武器の威力を高める、その創意工夫を評価した」

 って言われちゃったので、もうどうしようもない。

 諦めて表彰されるか……って前に出たとき。


 突然、魔法陣が現れた。


 全員が呆気にとられる。

 私や他の一年生は、へー、表彰式ってこういうものなのかーって思っていたんだけど、

「皆、下がりなさい! ――護衛の方々、陛下を避難させてください!」

 コーデリア・セイジクラウン先生がいつになく取り乱した声で怒鳴ったので、あ、アクシデントなんだなって分かった。


 魔法陣から、凶悪そうな魔物が現れた。

 えーと、三つの頭を持つ巨大な犬……前世で言うケルベロスじゃない?


 呆気にとられつつも、

「『聖納。リリスメイス』」

 と詠唱し、魔法陣から取り出した。

 あ、レイヴンはすでに弓に矢をつがえてるわ。

「『追い風』」

 と詠唱して矢を放つ。

 だが、ケルベロスの皮膚には刺さらず弾いてしまった。

「……思ったより硬いな」

 弓を捨て、剣を抜き放つレイヴン。

「リリスカッターのほうが良かったかな? ……ま、これでダメだったらリリスカッターにするか。『聖闘』」

 ケルベロスが咆哮し、私を見据えた。

「おっとぉ、リリスちゃんとの戯れをご所望かい、ワンちゃん。でもゴメン。私、猫派なんだ!」

 レイヴンが笑う。

「君一人で楽しむ気かい? つれないな、ぜひとも私も混ぜてほしい」

「ナンパ口調、やめい!」

 レイヴンに言い返しているうちに、ケルベロスがこちらへ向かってきた。

「よっしゃ、来い!」

 リリスメイスをぐるぐる回し、タイミングを見計らって、

「リリース……ジャーンプ!」

 上に飛び上がる。

 見失い戸惑ったところにレイヴンの剣戟が足を切り裂いた。

 ……うーむ。

 レイヴン、剣になんか魔法をかけてる気がするな。

 レイヴンは風属性だから、風の付与魔術かなんかかな?


 とか考えつつ、詠唱する。

「『聖杖』」

 リリスメイスが凶悪に輝いた!

 おっと、ケルベロスがこちらに気づいたな。だが、遅い!

「リリース、アターック!」

 ドゴォン!

 ケルベロスの頭を一つ潰す。


 ……と。

「わっ! 『聖防』!」

 残り二つの頭に嚙みつかれそうになったので慌てて結界を張った。

 バチィン!

 と音がして、嚙みつきを弾いたけど、私も弾き飛ばされてしまった。

 ゴロゴロっと転がり、なんとか跳ね起きる。

 あ、レイヴンが相対している。

 というか、首を斬り落としたよ。


 うーん……やっぱりレイヴンは何か魔法を使っているモヨウ。

 剣の長さと斬った長さが合わない。

 レイヴンは素早く立ち位置を変えているが、残った頭はレイヴンを狙ったようだ。

 私はその隙に死角から最後の頭を狙おうとしたら……。


 コッチを見た!

 狙いはあくまでも私か!

「なら、囮になってやるわゴラァ!」

 突っ込んでいくわよ!

 どうせ結界を張ってるし、ぶっ飛ばされようが怪我しないもん!


 走っていったら……ケルベロスの横っ腹に何かがぶち当たり、ケルベロスが横転した。

 ぶち当たった何かは私の前に躍り出て……って。

「セラフ!?」

 今日は家で待機してるはずなのに!

 どっからどう来た!?


 ビックリしていたら、後方から詠唱が聞こえた。

「『杖よ、我が魔力を糧に応えよ! 泥の手!』」

 コーデリア・セイジクラウン先生の声だ。

 とたんに、ガチで泥の手が地面から無数に生えてケルベロスを掴む。


「『雷の魔力よ、杖から解き放たれよ! 雷一閃!』」

 一位の先輩が、さっきとちょっと違うわりと普通の詠唱をしたと思ったら……稲妻が走り、ケルベロスがビリビリしてるし!

 やっぱさっきのは魅せ魔法だったか!


 それから、次々と魔法が飛んでいった。

 魔法クラスの生徒全員が、試し打ちとばかりにケルベロスを的にしている。

 さっきの大会で披露したのはなんだったの……という感じで、ボッコボコにしているがな。

 我らが一年生まで、的がデカいからとガンガン大技を繰り出してるわよ。

 それでも起き上がろうともがくケルベロス。

「大技いきまーす!」

 私が挙手した。

 リリスメイスからリリスロッドに持ち替えた私は出力マシマシで思いっきり振りかぶった。

「リリース……ムーンカッター!」

 杖から刃が飛んでいき、ケルベロスの頭、四肢、尾を切り落とした。


「よっしゃー! ケルベロスの肉、ゲットォ!」

 ガッツポーズをしたら、レイヴンもガッツポーズを決めて言った。

「『竜の角亭』に持ち込んで調理してもらうよう交渉しよう」

「いいね、いいね!」

 思いっきり同意した。


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2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
敵「(俺も焼肉食べたいしケルベロス出すのはもうちょっと後にするか...)」
何故か証拠は失われてしまった!・・・モグモグ
ハッハッハ!誰だか知らんが、襲撃するならアンデッドを使うべきだったな!www
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