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脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
1章 聖属性の魔法使い、貴族令嬢になる!

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第4話 家出しようとしたのである

「返しなさい! そして、離れなさい! 二度と会わせないわ!」

 大声で怒鳴りまくるので、どうしようかと思った。


 ……まぁ、たまに構っているだけだったので、お嬢様の持ち物だとは知らなかったよ。

 というか、どこで飼ってたの?


 使用人たちも呆気にとられている。

 だって、当主様が『私が飼うので、見かけても追い払うな』って、そう言ったのに。

 その娘さんが、私のものだって宣言しても……。


 奥様が飛んできた。

「お母様! アレは、私のものです! 取り返してください!」

「落ち着きなさい! どういうことなの!?」

 奥様はなだめるが、私のものだ返せの一点張り。


「……内緒で飼っていたとかですか?」

 それで、抜け出してきたから出会った当初はあんなに汚かったのか?


 私が尋ねたら……おっと、睨まれた。

「盗人!」


 カッチーン!

 ――面と向かって言ってきたな。

 今までは陰口や告げ口で、直接私に言ってこなかったので言い返せなかったけど、ようし、受けて立ってやろうじゃないのさ!


「セラフを飼え、って命令したのはアンタの父親だよ! なら、父親に盗人って言いなよ!」

 私が反撃してきたのに驚いたらしく、ケイラお嬢様は目を見開いて固まった。

 私は追撃をかます。

「そもそも、飼ってたなら周りに言っときなよ! どうせ、どっかに閉じ込めてたんでしょ!? このコと会ったとき、どうりでみずぼらしかったワケだ……! 飼うなら、ちゃんと責任もって飼え!」

 ガンガン言い返していたら、ケイラお嬢様は真っ赤になって目を吊り上げた。

「勝手に決めつけないでよ! 内緒で飼ってなんかいないわよ!」

「周りが知らなかった、ってことは、内緒で飼ってるのと同義なんだよ!」

「同義じゃないわ!」


 不毛な言い合いは、奥様に止められた。

「静まりなさい!」


 私はこの時点で、もう屋敷を出ようと思っていた。

 やっぱり冒険者になろう。

 当主様にいろいろ聞いておいてよかったー。


 奥様は、ケイラお嬢様に尋ねる。

「もう一度、貴女が説明しなさい」

「だから、それは私のもので――」

「そんなことは聞いていません。貴女がその獣とどうやって出会い、どこで飼っていたのかを説明しなさいと言っているのです!」

 奥様が厳しく尋ねると、ケイラお嬢様はそれ以上言わずに唇を嚙んだ。

 その様子に眉根を寄せた奥様は、さらに追及する。

「説明しなさい、と言っているのが聞こえませんでしたか? 貴女のものだと主張し、リリスを盗人呼ばわりするのなら、話しなさい!」

 ケイラお嬢様は、うつむいてしまった。

「…………本当に、私のものなんです」

 ボソボソと言うが、説明はない。


 奥様はイライラした様子で再度同じ事を言う。

「説明しなさい。……三回目ですよ。次に同じ言葉を言わせたら、貴女の話は聞かず、問答無用でリリスに謝罪させます」

 ケイラお嬢様が顔を上げて叫んだ。

「そんな!」

 ……だけど、それ以上言わないのよねー。


「ケイラ。もう一度、言わせたいのですか?」

「…………」

 ケイラお嬢様は、再びうつむく。


「ケイラ。説明――」

「夢で見たのです! その子は、私のものだった! なのに、なぜあの子が従えているのですか!?」

 奥様が最後通告しようとしたとき、ケイラお嬢様が叫んだ。


「「夢」」


 私は奥様と声を揃えてしまった。

 ……冗談でしょ? え、本気で言ってる?

「……え? 夢で飼ってたから、それを現実で私が飼いだしたから、私を盗人呼ばわりしたの? は?」

 私が低い声で唸ったら、ケイラお嬢様は睨んできた……が、

「ふざけんな!!!」

 と、思いきり怒鳴ったらビクッとした。


「今まで私を陰で盗人扱いしてきたのも、全部!! 妄想じゃねーのかよ!! やってもねーことを言いがかりつけて人を犯罪者扱いするほうが、よっぽど犯罪者じゃねーか!!」

 ブチ切れて怒鳴りまくった。

「あー! もーやだ! こんなのと一緒にいたくない! 我慢の限界だよ、ここから出てく!」

 ガチギレし、家出宣言した。


 お嬢様は私の剣幕に恐れを成して泣き出し、私は知ったことかと憤然と玄関へ向かおうとしたが、使用人たちに止められた。

 とにかく落ち着けと、厨房に追いやられる。

「夢!? 言うに事欠いて、夢とか言いだしたよ! 飼ってねーじゃん!」

「落ち着け」

 ダンさんが私に水を出しながらなだめる。


 プンスカ怒っていたら、ママンが慌てた様子で厨房にやってきた。

「リリス! どうしてお嬢様に暴言を吐いたりしたの!」

「盗人扱いされたからだよ!」

 ママンはぐっと詰まった。


「……それでも、我慢しないと。私たちは平民で使用人――」

「だから、ここを出る! 冒険者になる! 私の魔法なら、ここより冒険者になったほうがよっぽど役立つもん! もうやだ、あんなのと一緒にいて、始終睨まれて、挙げ句やってもいない犯罪を捏造されて、もう限界だよ! 別にここにいたくているわけじゃない!」


 ママンの声を遮って怒鳴った。

 すると、ママンが泣き出す。

「……ママン。私に泣き落としは効かないからね。泣いても、私は我慢しないから。そういう性格だから」

 たぶん、父親似。


 するとママンは泣きやんだ。

 そして、ちょっと笑う。

「……旦那様も、そういうところがあるわね」

 ……やっぱり父親似らしい。

 ママンが涙を流しながらも優しい顔で私の髪を撫でる。

「口が悪いところも旦那様に似て……。接点はないのに、血は争えないわね」


 ごめん、ママン。

 接点はあるんだ、そして、口調は伝染ったかもしんない。


「……わかったわ。ママンはリリスの意見を尊重するから。でも、早まらないで、旦那様が帰ってきてからにしましょう?」


 そう。

 元はといえば、当主様が悪い!


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2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
そうだ アイツ(父)が悪い
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