第39話 大会の話し合いをしたのである
大会で披露する魔法についてクラスで話し合った。
「……ということで、私は火を使う魔法にします。お肉をおいしく焼く実践をしますわ」
オホホ、と笑いながら言ったら、クラス中が呆れ返った。
「――私が非常にやりづらい気がしますの。気のせいでしょうか?」
フレイヤがつぶやくと、クリス君がフォローした。
「フレイヤは最初に披露するといいよ。あるいは、最後か」
クリス君は苦労性だね。
「むしろ、フレイヤは最高火力で的を燃やし尽くしてよ。私、目立たなくていいから」
「……それだと、また王子殿下が何か言ってきそうだけど、いいの?」
シエラがつぶやいたので、私はニッコリと笑顔で言った。
「そうしたら、王子を的の前に立たせて、リリスカッターを最大出力でお見舞いするわ」
「先生に伝えておくよ」
「そうね、それがいいかも!」
クリス君とシエラが言った。
「シルバーウインド様はいかがされるのですか?」
フレイヤが尋ねると、レイヴンは気のなさそうに答える。
「……風魔法で、弓矢を操作する」
全員が、それって大したことがあるのかないのか判らず、反応に困ってるね。
私が付け加えてあげた。
「辺境伯的に、あまり魔法を披露してはいけないみたいな感じだってさ」
「あら。それは失礼しました」
フレイヤが口元を押さえ、謝罪した。
「いや謝罪には及ばない。そういう理由があるのに魔法クラスに入った私にも問題があるから」
まぁ、そうなんだよね。
「なんで騎士クラスに行かなかったのよ?」
「騎士になるつもりもないし、そもそも剣も弓もすでに修めているというのに、今さら学園で基礎を習ってどうする」
……言われれば、確かに?
じゃあ……。
「貴族クラスは?」
「刺繍したくない」
ズバッと答えたな。
*
大会が始まった。
貴族クラスは、アレだね、文化祭みたいな感じ。あ、スポーツもあるので球技大会的なノリもある。
スポーツは、弓と馬術がある。
文系だと、速記や暗算など。
女性は優雅に、刺繍作品を飾り、投票して決める。
また、詩を作って当日に音読して発表するとかもある。
あ、楽器演奏もあるみたい。
貴族クラスが最初に行い、次に魔法クラス、最後は騎士クラス。
貴族クラスは、ぶっちゃけ大会をしなきゃいけないので体裁を整えましたーみたいな感じで、馬術が一番危険ではあるけれど、怪我を極力しないような形で行われるそうだ。
ところが、魔法クラスと騎士クラス……特に騎士クラスは本気度が違う。
魔法クラスに関しては、三年生の跡継ぎ以外は就職活動に関わってくるっぽいよ。
『実家で雇われます』って人以外はどこかに雇ってもらうしかないので、そういう生徒たちはガチでお披露目する。
逆に、決まっている人は遠慮して手を抜くというのが暗黙の了解だと、ノエルから教わった。
つまり、私は冒険者になると決まっているので、手を抜くのである!
レイヴンも決まっているから手を抜くのね、わかります。
そういう意味では、冒険者になりたいフレイヤは手を抜くべきなんだろうけどね~。
でも、将来の志望は三年間のうちに変わるかもしれないので、今は全力でぶっ放したほうがいいのかもしれない。
そして、騎士クラス。
こちらはもっと本気度が違う。
騎士としての強さ、名声などが関わってくるので、就職先が決まっていようがなんだろうがカンケーねぇよ、全力でぶっ倒す! ……っていう、怪我上等死人を出さなきゃ文句ねーだろの修羅の大会なのである!
トーナメント形式なので対戦相手の当たり運があるだろうけど……いや、その辺は教師が忖度するだろうな。
いきなり優勝候補同士が一回戦で当たりました、とかはないでしょ。
三年生ともなると、騎乗しての戦いになる。
落馬もあり、これが本当に危ないので不参加というか棄権を認められるとか。
そうとうの実力がない限りは参加しないし、落馬させないように気を遣って戦うので華やかさは皆無。
ただ、騎乗戦が出来るという箔がつくので、就職には有利らしい。
なので、騎士クラスの大会は実質二年生までらしいよ?
三年生は……うん、まぁ、やっぱり就職活動みたいだね!




