第37話 久しぶりに級友と会ったのである
それから、私たちは連携の練習と称して魔物を狩った。
あんまりいないし、私たちばかりに回すわけにはいかないからと依頼がもらえないときもあるけど……。
それでも、思ったよりはもらえている。
レイヴンは、さすが戦いの地、辺境伯領の子だった。
魔法も使えるけど、何より弓と剣技がすごい。
魔法は補助的に使っているね。
シルバーウインド家は、遺伝的に銀の髪と風魔法を持つのだそうだが。
「もちろん多いってだけで、必ずそうなるとは限らない」
レイヴンが唇を歪めた。
「そんなものが遺伝しなくとも、本人のやる気と資質が問題だ。……だが、それがわからないバカも多いんだよ、辺境伯という田舎はな」
と、見事な銀髪を風になびかせながらレイヴンは言った。
……パーティを組み、話しているのでなんとなくわかってきている。
レイヴンは、何かしらのお家騒動が原因で家を出て放浪しているようだ。
探し物がそれに関連するのかどうかは解らない。
でも、探し物だけで家を出て放浪しているわけではないのは、今まで話してきた内容でうかがえる。
……残念ながら、まだそれを話してくれるほど仲良くはないし、探し物を手伝うとも言えない。
パーティも、冬期休暇中の話だしね。
でも、三年の間にもう少し仲良くなって、いつか話してくれるようになればいいなと願った。
*
冬期休暇が明けた。
まだ寒いし新芽も出ていないんだけど、神様は戻ってきたってことにしているらしい。
これはアレですね、いつまでも寒い寒い言って引きこもってないで働け! ……ってことですね!
ということで、今日から学園に通います。
帰省したり出稼ぎに行ったりしている冒険者たちは、まだ帰ってこない。
ギークリーさんいわく、皆帰る道すがら依頼をこなしているので、当分戻らないそうだ。
クラスに行くと……懐かしき顔ぶれが!
「久しぶり~」
「リリス! 会いたかったですわ!」
フレイヤを筆頭に熱烈歓迎された。
「家では、ずっとリリスの話をしていましたの」
ノエルも、モジモジしながら言う。
「私も……。最初に声をかけてくれたって言ったら『内気なあなたに声をかけてくださるなんて、親切な令嬢なのね』って言ってた……」
ありがとう……。『退学になろうとして王子をぶちのめそうとしている令嬢がいました』とか言われなくて良かったわ~。
春になると、戻ってきた神様に感謝し技能を捧げるという、なんのこじつけなのかサッパリ分からない催し物が行われる。
……もしかして、冬の間に動けなかったストレスを発散するとか?
とにかく、あっちこっちでさまざまな大会が開かれるのだ。
学園でも、貴族クラス、騎士クラス、魔法クラスとクラス別で大会が行われる。
貴族クラスは、人数が多いのと特にこれといった方向性で学んでいないため、そこからさらにいくつかの種類に分かれるらしい。
令嬢は刺繍や詩などで、子息は楽器演奏やスポーツなどだ。
騎士クラスは非常にわかりやすく、剣技を競う。
ただし、怪我をさせないように、剣は模擬稽古用の木剣に布を巻いたもの、防具も顔、首、胴体にプロテクターらしき鎧を着けて戦うようだ。
寸止めなどない世界なので、木剣に布を巻いたものでも生徒によっては大怪我どころか命の危険さえあるような大会だとか。
我らが魔法クラスは、戦わない。
魔法で戦うとシャレにならない事態に陥るから。ガチで死人がバンバン出ることになる。
なので、それぞれが得意魔法をお披露目するのだ。
的に魔法をぶつけたり、攻撃魔法じゃない場合は実演(前もって打ち合わせてどのように披露するかを決めておく)したりして、その素晴らしさで争うそうで……。
クラスでコーデリア・セイジクラウン先生からその説明を聞き、じゃあせっかくだし、リリスカッターにしようかなーと考えた。
別に私、一位を取らなくてもいいし。
それより本気のリリスカッターを出してみたい!
……って考えてたら、コーデリア・セイジクラウン先生に「リリス・ヴァリアントは攻撃魔法以外で」の指導が入ってしまった。
やる気が出ない……。
同じくレイヴンもやる気が出ない……というより、手の内を隠したいのでやる気を出さないらしい。
いや、私には見せたじゃん、って思ったけど、広く知らしめたくないようだ。
うん、そりゃそうか。人とだって戦う場合があるもんね。
……となると、私も出し渋ったほうがいいな。
レイヴンに倣おう。
それなら水芸でもしようかな、いや、火のほうがいいか。
フレイヤがいるから、火なら大したことないと誤魔化せそうだ。
小さな火で肉を焼こう。そうしよう。
私はレイヴンを見て尋ねた。
「レイヴンは、結局どうするの?」
「風魔法を補助にした、弓矢だな。弓の技術が高いのか、風魔法がすごいのかが判断がつかなそうでいいかな、と」
いやー、マジで誤魔化しに走ってるね。
「そっかー。私は火魔法でいくつもり。フレイヤがいるから、攻撃魔法は彼女に任せた。私は当日肉でも焼くよ。『絶妙の火加減でおいしく焼けます!』とでも言うわ」
「焼いた肉の試食と批評は、私に任せて」
なぜかドヤ顔で胸を叩くレイヴン。
いや、それは点数付ける先生方に配るわよ。




