第34話 冒険者ギルドで依頼を受け取ったのである
冬季休暇に突入し、私はさっそく冒険者ギルドに向かった。
私と一緒に住んでいる冒険者たちも、数人しか残っていない。
「他の皆さんは里帰りですか?」
残っているメンツで、比較的会話をするギークリーさんに話しかけた。
ギークリーさんは、私の中では安全パイの人。
ここに住んでいる冒険者たちのまとめ役で、クランリーダーとかいう人だ。
そこそこの歳なのと、私をかわいがってくれて他の下心ありそうな輩から守ってくれてたりする。
「そうっちゃ、そうだな。冬は魔物も少なくなるから、競争率の高い王都よか、南のほうへ向かう連中が多いよ。あるいは、思いきって北だな。寒い地方は、寒さに強い魔物の活動が活発になる。そこは冒険者が歓迎されるよ」
へぇ~!
……寒い地方へ行こうかな?
って一瞬思ったけど、遠そうなのでやめておいた。
本格的な冒険者になってからだね。
今はまだ、学生の身分だもん。
「やっぱり、魔物は出にくいんですか?」
気になったので聞いてみた。
ギークリーさんはうなずく。
「魔物も巣穴に引きこもるのか、はたまた寒さで死ぬのか知らないが、ガッツリと減るぞ。……とはいえ、油断は禁物で、出ないと高をくくって森に入ったらとんでもない魔物に遭遇してやられる……ってことはある。縄張りが変わったりもするから、気をつけないとなんねーんだ。手に負えなさそうな魔物だったら、すぐ引き返せ。そして、ギルドに知らせろ。ギルドが倒せそうな冒険者を見繕って派遣させるから」
なるほどね。
私はうなずいた。
お礼を言って、その後すぐ冒険者ギルドに行った。
競争率が激しいのならば、なるべく早く行って良さげな依頼をゲットせねば!
ギルドに入ると受付のお姉さんが挨拶をしてきた。
「あらリリスちゃん。学園はどう?」
「なかなか退学までいかなくて~。冒険者に専念できなくて困ってます」
そう返したら笑われた。
ギルドマスターがやってきた。
「おう。退学になったか?」
「それが、なかなか難しいんですよね~。第一皇子を半殺しにしたらなるかなーって思ったんですけど、教師に説教されて思いとどまりました」
ギルドマスターがドン引きした。
「……冗談だったんだが、本気で返してきたか……。さすがガレスの娘だな」
冗談だったのか。
ブラックジョークかな?
「そんなことより、依頼です。なんかいい感じの魔物、いませんか? ちょっと無理そうなのでもやってみたいのでどしどしお願いしたいところなんですが」
「あー……。まぁ、嬢ちゃんなら大丈夫か。ワーベアがいけるんなら、ワーグもいけるだろ。ちょっと前に目撃情報が入って、そこは警戒区域になったんだ。ワーグは寒さに強い。いけるようなら倒してきてくれ」
「もちろんまいりますとも! リリスちゃんにお任せあれ!」
ワーグって、おいしいのかな?
手続きをしてギルドを出ようとしたとき、ふと見るとレイヴン・シルバーウインド嬢がいた。
レイヴン・シルバーウインド嬢も私を認めたようで、こちらにやってくる。
「……今、依頼を受けただろう」
「うん。受けたね」
「……私に譲る気はないか?」
「ないね!」
早い者勝ちだい!
私は父である当主様のコネやら何やらを動員して、良さげな依頼をゲットしますとも!
ハァ、と、ため息をつくレイヴン・シルバーウインド嬢。
「……わかっている。私の言葉はマナー違反だ。だが……その依頼を持っていかれるとは思わなかった。いくら王都とは言えこの時期は上位ランクの冒険者はいないだろうから、余裕かと思ったのに……」
「甘いね! うちは冒険者がけっこうな人数が暮らしているけど、クランリーダー他、ぼちぼちの数の冒険者が残っているよ。リーダーに話を聞いて、早めに来たんだもん」
私が返すと、ガクリと肩を落とした。
「伝手があるのか……」
「コネもあるよ。……ていうか、レイヴン・シルバーウインド嬢だってあるでしょうが。辺境伯令嬢のくせに」
「使いたくないんだ」
「じゃあ、正攻法でいくしかないよね。コネと伝手のある私には勝てませんわよ、オホホホホ」
笑ってやったら睨まれた。
その後、急に真面目な顔になって言われた。
「ならば、こういう手はどうだい? ……リリス、私と冒険者のパートナーを組んでほしい」
私は口をあんぐりと開けた。
「……依頼ほしさに、依頼を持ってる人ごと狙うってか」
「いい手じゃないか。私はそこそこの腕がある。冬場の狩りは勝手が違うだろうから、ソロより誰かと一緒のほうがいいぞ」
「えぇ~……。私もそこそこの腕があるからな~」
渋ったら、ギルドマスターが口を出してきた。
「いや、嬢ちゃんはソイツと組んで討伐に行ったほうがいい。万が一って事があるからな。そのほうがガレスも安心するだろ。……それに、話を小耳に挟んだだけだが、知り合いなんだろ? なら、一緒に行けって」
うーん、一人で行って暴れようかと思ったんだけど……。
「うん、わかった。しょうがないからパーティを組んであげるよ」
なんか、ツンデレのセリフみたいになっちゃったよ。




