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脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
3章 聖属性の魔法使い、攻略対象をしばき倒す!

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第25話 魔法の実技で杖をお披露目したのである

 コーデリア・セイジクラウン先生が来た。

「実技では、選択で魔法を取っている生徒とも合同でやることがあります。仲良くやりましょう」

 と、釘を刺された。


 最初は、杖の使い方だそう。

 魔力をこめて杖を振ると、魔法が飛ぶそうな。

 それを的に当てろと言われた。

 ふむふむ。これは……アレを試せるとな?


 私は挙手した。

「私は最後にしまーす」

「いや、私が最後だ」

 と、私を睨んできた男子が遮って言ってきた。


 コーデリア・セイジクラウン先生はチラリと私を見ると、

「リリス・ヴァリアントが最後になります。オーレン・レグナードは最初に行ってください。他、魔法クラス以外の生徒は、先に行うように」


 オーレン・レグナードと呼ばれた生徒は赤くなった。

「先生、私は」

「学園では、教師の指導は絶対です。もしも従わないというのであれば、習う必要はない、と解釈しますよ、オーレン・レグナード」

 コーデリア・セイジクラウン先生に言い負かされ、奴は唇を嚙んだ。


 ……なんかさー、魔法クラス以外って、コドモが多くない?

 あるいは、高位貴族がワガママ坊ちゃんばっかりなのか。

 マジ、大人になれと言いたい。

 そして当主様のモテ要素がもう一つ分かった。

「父のモテ要素、今、もう一つ判明しました。……こんなワガママ坊ちゃんばっかりなら、そりゃあモテるわよ。父は鷹揚な大人だもん」


 とたんに女子生徒がウットリした顔になった。

「英雄様、鷹揚な大人なんですのね……」

「格好よくて強くて大人、素敵ですわ……」

 他クラスの女子生徒までがウットリしている。

 あ、当主様のファンの方ですか。そうですか。だけど女癖悪いですよ? チン道中の話、聞きます?


 オーレン・レグナードとやらは、怒り心頭に発す、といった顔で杖を思いきり振った。

 ……と、魔法が飛び出して的に当たる。

「いいですね。合格です」

 コーデリア・セイジクラウン先生がうなずくと、フン、とこちらを見て鼻で笑うんですけど。

 なんのアピールなんだろう?

 もしや、こじらせ気味の父のファンとか? 娘に当たるタイプの。


 その後、続々と他クラスの生徒がチャレンジしたが、当たらない。

 杖との相性が悪いのか、魔力の込め方が悪いのか。

 ……いや、違うな! 手首のスナップだな!

 ちょい、ってやるからでしょ!

 もっと振りかぶれ!


 その後は魔法クラス。

 意外と当てられなくて驚いた。

 当てられたのは、フレイヤと、男子生徒二人のみ。

 順番が回ってきたので気合いを入れた。

「よっしゃ」

 手にペッと唾を吐くと、わぁっと盛り上がる。


「リリス、格好いいですわ……」

「本当に、中身は英雄様に似ていらっしゃるのですね」

「間近で見たいばかりに、魔法を選択しましたの」

 と、女子生徒にモッテモテの私。

 これが、血は争えないというヤツか……!


 とか、考えながらも詠唱します。

『聖納。リリスロッド』

 魔法陣が現れ、長杖がそこからゆっくりと出てくる。


「なんですの、アレ!?」

「格好よすぎません!?」


 フッフッフッ。

 魅せるためだけの無駄仕様!

 魔法陣に手を突っ込んで取ればいいんだけど、こっちのほうが格好いいからね!


 コーデリア・セイジクラウン先生も啞然としているが、ハッと気づいて慌てた。

「リリス・ヴァリアント。手加減なさい。貴女の内包魔力は測定不能なほど大きいのです。少ーしだけ込めて振るだけでいいのですからね!」

 指導がきてしまった。

 ちぇっ。


「いや、全力でいけ。貴様が判定機を誤魔化して偽の情報を見せ、殿下や私を籠絡しようとしていることはすでに掴んでいる。ここには、貴様の正体を暴くために来ているだけだ。今日、ここで、貴様の正体を暴いてやる!」

 ……と、オーレン・レグナードとやらが宣った。


 …………。

 私は長杖に魔力を注ぐ。


「リリス・ヴァリアント! 落ち着きなさい!」

 コーデリア・セイジクラウン先生がめっちゃ慌てているわ。


「全力が見たいって言ったね? なら、もっと近くへ来なよ。そんな遠くじゃ見えないだろ、寄りなよ!」

 杖に魔力を注ぎながらオーレン・レグナードとやらに近づくと、なぜか怯えた顔で下がる。

「何下がってんのよ? もっとよく見なよ」

「そ、そんな真似して、私の気を引こうと……」

「下らねぇこと言ってないで間近で見ろっつってんだよ、このいくじなし!」

「ヒィ!」


 杖が白金にかがやき、さらには先に付いていた輪が凶悪に大きくなっている。

 あ、セラフが興奮してグルグル回っているわよ。


 必死に逃げようとするオーレン・レグナードを追いかけ回す。

「まだ全力じゃないんだけど? 半分以下……って、なんで逃げんのよ。近くに寄って確かめるべきでしょ、大口叩いたんだから! 逃げんな!」


 コーデリア・セイジクラウン先生が必死に止める。

「リリス・ヴァリアント! それ以上大きくしたら、学園が吹き飛びます! やめなさい!」

「だってコイツ、私が判定を誤魔化したって言ったから。なら、実力を見せつけいないと」

 コーデリア・セイジクラウン先生が叫んだ。

「オーレン・レグナード! 直ちにリリス・ヴァリアントに謝罪し、二度と疑わないことを誓いなさい! 全ては貴方のせいですよ!」

「なっ……!?」

 反発しようとしたので、トドメを刺してやった。

「判定を誤魔化したってことは大したことない魔力なんでしょ? なら、アンタにコレをぶつけたってどうってことないよねー? 誤魔化した程度の魔力だもんねー?」

 そう言って振りかぶる。

「わぁあー! やめてくれー! 悪かった! 私が悪かった!」

「よく聞こえませーん」

「ごめんなさい! 許してください! もう言いません!」


 ……まったく。

 ここまでやらないと、謝らないのか。

「次に同じことを言ったら、マジで当ててやるからね!」

 そう締めくくり、魔力を注ぐのをやめる。

 杖に注いだ魔力は……あ、セラフがもの欲しそうにしているので、大半をあげる。


「よし、こんなもんならいけるかな? ……ではいきます。リリース、ムーンリング!」

 そう言いながら杖を思いきり振った。

 白金の三日月型の刃が飛んで行き、的を真っ二つ……いや、もっと切り刻んでるな、バラバラに裁断した。


 バラバラになった的を見ながら、コーデリア・セイジクラウン先生が尋ねた。

「……リリス・ヴァリアント。他の杖はないのですか?」

「父に買ってもらったのはこれと……あと、コレです!」

 リリスメイスを出して自慢したら、なぜかコーデリア・セイジクラウン先生が額を押さえて首を横に振った。


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2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
先生の胃に治癒魔法かけてあげてwww 多分今後も続くだろうから永続するオートリジェネてきなやつを頼む(真顔)
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