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脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
2章 聖属性の魔法使い、貴族学園に入学する!

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第17話 王都で魔物討伐をしたのである

 抗議の声を上げようとしたら、そこに何やらすごい音が割り込んできた。

 そちらを見ると……。

「デッッッッカ!」

 その名に恥じない、大きな猪っぽい魔物が現れた!

「うっわー。でっかいなー」


 当主様が、困ったような声で言う。

「予想よりも凶悪なヤツが出たな。……どうする? 俺がやるか?」

「ご冗談を! リリスメイスの初デビューですよ!?」

 私はそう言うと、ビッグすぎるビッグボアに向かって走った。

「リリース、ジャーンプ!」

 すでに身体強化魔法はかけているため、私のジャンプ力は某ゲームの竜騎士並みだよ!

 ピョーンと飛び上がったら、ビッグボアが戸惑い足を緩めた。

 獲物が消えたと思ったんでしょう。


「『聖杖』」

 槌矛に魔法を流す。

 槌矛が光り輝いたよ!

 これは、初だわ。さすが杖、魔力の浸透が早い!


「リリース、クラーッシュ!」

 振りかぶり、ビッグボアの脳天めがけて鎚矛を叩きつけた。


 ドゴォ!


 ……というものすごい音がして、ビッグボアの頭がい骨が陥没したわよ。

 叩きつけた槌矛を軸にくるりと一回転し、走り抜けるビッグボアの尻を蹴り、さらに一回転して無事着地。

 ビッグボアは、足をもつれさせて倒れこんだ。


 私は振り向いて当主様に言った。

「ヤバーい! この杖、すごい破壊力ですよ、当主様!」

「杖として使ってねーだろが。どう見ても鎚矛だ」

 当主様が返した。

 でも、他の武器に聖属性をつけてもこうはならないよ。

 杖は魔法が浸透しやすい。

 だからこれは、杖!


「俄然、もういっこの杖の期待値も上がりますね!」

 そう言ったら、当主様に諭された。

「危険だから、誰一人いない広くて見通しのいい平原で試せ」

 確かに、刃物だから危険だよね。

「そうしまーす」


 ビッグボアの魔石を取り出し、洗ってしまうと私は詠唱する。

「『聖納! リリスフック』」

 現れたるは、丈夫なロープにつながった大きめのフック。

「えいっ!」

 これをブスッとビッグボアに刺す。

「よいせーーーー!」

 それを引っ張る!

「いや、無理だろ」

「何をおっしゃる!? これくらい、冒険者になった私なら余裕でしょう!」

「なんで冒険者になったら余裕になるんだよ? 俺が引っ張ってやるから貸せ」

「いーやーでーす! 当主様が領に戻られたら、私だけでやるんですよ!? ここで甘えてどうするんです!?」

「そりゃそうだが、そもそもビッグボアの討伐を諦めればいいじゃねーか」

「いーやーでーす!」

 だって儲かりそうなんだもん!


 うんせうんせと引っ張っていたら、セラフが立ちふさがった。

「ん? どいてねセラフ。遊んでるんじゃないから」

「なーん!」

 セラフが鳴く。

「……え? 自分に任せろ? いやいや、セラフはまだ子猫でしょうが」

「なわーん」

「無理じゃないナメんな、って言われても……」


 セラフが貸せ貸せ言うので、しかたがないからロープを渡した。

 セラフがロープを咥えると……。

「「ハァ!?」」

 ビッグボアがほんのり浮いたんですけど!?


 セラフはビッグボアを引っ張り、さらに私と当主様を乗せて軽やかに走る。

「セラフ、魔物じゃないのになんでこんなことが出来るんだろう……」

「魔物じゃないが、普通の動物でもねーんだろ。……そのうちハッキリするから、セラフの成長を待て」

 成長しないとハッキリしないんだ。


 ビッグボアは、冒険者ギルドに丸ごと買い取ってもらった。

「お前、本当に手伝わなかったのか?」

 疑いのマナコでギルドマスターが当主様に尋ねた。

「俺が買ってやった鎚矛の一撃で仕留めたよ」

 当主様がそう言うと、ギルドマスターが呆れた顔をする。

「……血の気の多さが、お前譲りなんだな……。見た目は虫一匹で悲鳴を上げそうなのに……」

「だから怖ぇんだよ。冒険者の連中に、くれぐれも絡むなっつっとけよ。一応コイツも貴族だから、絡んできた連中を殺したってお咎めなしだぞ」

「よーく言い聞かせておく」


 失礼な! 殺しはしませんよ、たぶん。


 当主様は、この後遅れてやってくるケイラお嬢様と奥様と合流し、私のことについて念を押してくる、と、言って別れた。

 当主様、頑張ってねー。

 私はケイラお嬢様が絡んできたら、我慢せず張り倒して出奔しますので!


          *


 とうとう入学式。

 クラス分けは済んでいて、私は魔法Ⅰクラスだ。

 ケイラお嬢様は貴族Ⅲクラス。


 学園では、習う授業により傾向分けをしていて、騎士クラス、魔法クラス、貴族クラスとある。

 騎士クラスはその名の通り騎士を目指す生徒が割り振られる。

 魔法クラスは魔法使いを目指す生徒が割り振られるクラス。

 貴族クラスは、どちらでもない生徒が貴族としての教養を深め、勉学を学ぶクラス。ここが一番多い。

 騎士クラスと魔法クラスは生徒が少なく一クラスだけだが、貴族クラスは三クラスもあるよ。


 ケイラお嬢様に会いたくないので出来るだけ早めに行って式場に入り、魔法クラスの座る辺りを探すと、最後尾に一人ポツンと座っている女の子がいる!


「お隣、いいですか?」

 と、話しかけるとめっちゃ驚かれた。

「ヒェ!? あ、い、いいです……」

 では、遠慮なく。

 どう考えても同じクラスなので、愛想良く話しかける。

「初めまして。私は魔法Ⅰクラスに入る、リリス・ヴァリアント、男爵家の庶子です」

「え? あ、はい! 私も魔法Ⅰの、ノエル・ルーンメイカーで、男爵家です……」


 話した感じは悪くない。

 おとなしそうな雰囲気そのまんまの性格みたいだ。……互いに猫を被っている可能性アリだけど。


「お友だちが一人もいなかったので、仲良くしてくださるとうれしいです」

「…………! わ、私も実は、そうで……。よかったら仲良くしてください!」

 わぁい、さっそく友だちをゲットしたぞー。

 当主様が見たら絶対『怯える子羊に狙いをつけて襲いかかる、羊の皮を被った狼』とか言われそうだけどー。


 そのあと、恐る恐るといった感じで前の席にまた女子が座り、こちらをチラチラと見ているので、挨拶を交わす。

 前の席の子はレティシア・ミストヴェールという子爵家の令嬢だそう。

 魔法クラスの女子はおとなしげでかわいい子が多いな!


 さらに、おずおずといった感じでおとなしげな女子が話しかけてくる。

「……あのー……。ここに座ってもよろしいでしょうか……?」

 そうして私は幸先よく、三人のお友達をゲットしたのである!


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2026年2月16日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
疑似餌 擬態 囮
絡んでくるバカは蹴り潰せばヨロシ
さあ、化けの皮が剥がれた後に距離を置かれないよう、今のうちにできるだけ仲良くなるんだ!!笑
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