第12話 防具と杖を買ってもらったのである
まずは防具屋さんで衣装を調達する。
「お前は動きやすさを重視したほうがいいな。重さと防御力は……魔法が使えるからどうでもいいか」
「どうでもいいですよ。でも、軽い方が動きが阻害されないかな」
怪我をしたら……という心配はあまりないので、とにかくスピードと柔軟性で勝負したい。
よって、インナーは柔軟性の高く汗なども吸ってサラリと乾く生地のレギンスと長袖のカットソー、その上になんちゃら革のベストとスカートを着て、ブーツを履いた。スカートはミニだよ!
「ミニスカートって存在するんですね~」
感心して言ったら、当主様がうなずく。
「貴族様はぜってー身につけねぇけど、庶民はある。特に女の冒険者は、色気と防御を両立させたいとか抜かすんで、そういうのも作られてるよ。でも、下にズボンを穿いてりゃスカートまで穿く意味あんのかよ? ……とは思うがな。ま、でもかわいいか」
よしよし、と私を撫でる当主様。
マントは持っていたんだけど、新調してくれるとのことで完全防水、しかも湿気を逃がすとかいうゴ○テックスみたいなマントにしてもらった。
セラフ用に、タグをつけるための首輪と防塵マントも発注した!
動物に洋服を着せるの反対派なんだけど、急な雨とかでセラフが濡れたら、そっちのほうがかわいそうだもんね。
首輪は、つけてないと不勉強な者が魔物と間違うパターンがあるのと、野良だと言い張り奪おうとする輩が出るパターンがあるから、ということだった。
物騒だわー。
「よし、次は武器屋だ」
「やったー!」
バンザイしたら、苦笑された。
「……っつっても、剣も槍も弓も、俺の予備とはいえいいヤツなんだよ。そこらの武器屋じゃ売ってねぇ。……だから、杖を買ってやる。しっくりくるやつがあったらそれにするからよ」
「はーい」
杖だけでもうれしい!
もともとは棒術を習っていたのでそれが一番得意だし。
武器屋というか杖専門店に行くことになった。
武器屋も覗いていいって!
ウキウキしながら杖専門店に行くと……。
「おおお」
杖ばっかりだった。当たり前。
短いのから長いのまでいろいろあるけど、短いのが多い?
店主が営業スマイルで近寄ってきた。
「最近の主流は極短杖ですね。専門の魔法使いの方は、もう少し長い短杖を使います。長杖は、儀式用でしょうか。最近、儀式用でも減ってきていますが……」
って説明されたよ。
「ふーん……」
とうなずきつつ、見て回る。
「王都ローヤル学園に入学するお嬢様ですね? では、極短杖がおすすめですよ。王都ローヤル学園でもこちらを奨励しています。もしよかったら、気に入ったのを触ってみてください。杖も、素材によって癖があり、また相性によって魔力の通りが良いのもあれば悪いのもありますからね」
へーほー。そうなんだ。
でも私、杖なしで魔法ブッパのタイプだからなぁ。
悩みながら見ていると……。
「あ! あれがほしいです!」
「どれでしょう? ……え?」
私が指をさした杖を見て、店主が固まっている。
そして当主様にどつかれた。
「あれは杖じゃねぇ。鎚矛だよ」
やだやだほしいほしいほしいー! ……と駄々を捏ね、買ってもらった。やったね!
「ちゃんとした杖も買え」
って怒られたので選んだ。
「うーん……。あ、じゃあアレ!」
錫杖っぽい形の、先端部分に刃物の輪がついているという長杖をセレクトしたら、
「どうしてお前はそういう普通じゃない杖を選ぶんだ」
と、また怒られた。
だって、どうせなら鈍器になるか凶器になるかの杖がいいじゃん。
私、攻撃魔法はあんまり使えないしー。
そう思って口を尖らせたら、店主が口調を変えて言った。
「ははぁ。お嬢ちゃん、もしかして冒険者なのか。しかも魔法も使える遊撃タイプか……。なら、それはオススメだよ。それ、魔法を通すとその付いてる輪っかが外れて敵に飛ぶんだ」
「なんという浪漫砲! これに決めます!」
当主様が額を手で打ち天を仰いだ。
「いや、コイツは王都ローヤル学園の入学生だ。……俺は王都ローヤル学園に行ってないから知らないが、こういう杖を持って習ってもいいものなのか?」
と、当主様が店主に尋ねている。
「……私も王都ローヤル学園の出身ではないので分かりかねますが、杖を購入される生徒さん方は皆、極短杖を選んでいます」
と、店主が真顔で答えたので反論した。
「なぜ、大衆に迎合する必要があるのですか! 私は稀少な属性を持つ魔法使い。ならば! これだっていーじゃんか! これがいいー!」
私が叫ぶと、ハァ、と、ため息をつく当主様。
「……なんでこんなに俺に似ちゃったんだかなぁ……」
自分に似て、うれしくないんですかね?
当主様が「杖について何か言われたら、俺の名前を出せ。だいたいは通るだろ」って言ってくれて、素晴らしき浪漫砲杖を買ってくれた。
一応、弁明をしておく。
「だいたい、私にはアレがあるのですよ? ちっちぇー杖でやったらカッコ悪いじゃないですか」
「まぁな。あぁいったのは、大物じゃなきゃだな」
当主様も同意してくれた。
そう、私にはアレがあるのである!
度肝を抜くために、ぜひとも魔法の授業もしくは武術の授業で使うわ!




