彼の名はシド
迷宮の闇に足音と魔法の詠唱が響く
「穢れなき天の爆炎よ今すべてを焼き払え」
青年の手のひらに小さな燈火が灯る
「上級爆破魔法 フレアボム」
保持〈STAY〉
彼の手のひらの燈火は消え、指先に十字の光が現れた。
そして彼はボス部屋への重厚な扉を開け中に入る
部屋に明かりが灯り、ボスが現れる
発射〈SHOOT〉
彼がそう呟いた瞬間、眩い閃光とともにボスは爆ぜ、消滅した。
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「11層!?」
王都の外れの街、ヴェルドのギルドに声が響く。
「ごめんね 大きい声出しちゃって」
ギルドの受付嬢は申し訳なさそうに謝る
「俺そんなやばいことしちゃいました?」
青年は不思議だという顔で問う
「君、ギルドの掟覚えてる?」
「えっと…」
「1つ目 迷宮内での殺人は禁止
2つ目 ギルド内の情報を他人に流さない
3つ目 迷宮10層からはソロでの攻略禁止
でしょ!? なのに君は…」
受付嬢は呆れたように呟く
「魔法の詠唱はすぐ覚えるのにね」
「すみません…」
青年は恥ずかしそうに頭を掻いた
「本来なら即ギルドカード剥奪なんだけど今回は特別に見逃してあげるね」
受付嬢は何かを思い出したような顔をして
「あ!そうだ!」
そう言って受付嬢は奥の棚をゴソゴソし始めた
「これ!」
受付嬢が出してきたのはパーティー登録書だった
「これがあればパーティーを組んで10層以上に行けるよ」
「本当ですか!?」
青年は身を乗り出して質問した
「うん、じゃあパーティーを作るんだね?」
「それならここに名前を書いて、あとは私がやるから」
青年は急いで名前を書いた
〈シド〉
それが彼の名である