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一難去ってまた一難

難って畳み掛けてくるよね、トホホ

野良のゾンビを要領良く片付けた宵ノ暮子はまたしても困難に直面していた。


「そうや、完全に忘れてた。カマボコがおらなコンビニの扉開けられへんやんかぁ」


今から30年ほど前には車や家、金庫などほとんどの物が電子キー化した。物質的な鍵は過去の遺物となり、網膜や指紋、顔認証などによって開かれる電子キーが一般的であったが、ゼクス社が開発した機械のセンサーに認識されるだけでDNAを一瞬で鑑定することができる発明により電子キーシステムは格段に強力になった。


このシステムは爆発的に普及し、ほとんどの電子キーを不法に破ることはほぼ不可能となった。しかし、人類が絶滅した今はこの画期的なシステムも暮子の邪魔をするだけのガラクタとなった。


「わたしゃカマボコがいないと刀を振ることしか能のないポンコツだよ。トホホ、、」


昔、レトロ好きの父親に見せてもらったアニメの主人公の言い回しをサンプリングしながら暮子は肩を落とした。


なぜ、カマボコと呼ばれている兎の頭の形をしたロボットが電子キーを破れるかを説明するとこのカマボコと呼ばれているロボット、正式名称KM-b005はゼクス社のとあるプロジェクトの試験のために作られたものであり、ファニーな見た目ではあるがゼクス社の一大プロジェクトの根幹を任されるロボットであったため、ゼクス社のマザーコンピュータにアクセスが可能なのだ。


いや、可能になったと言うべきだろう。

実際、試験当時はそこまでのアクセス権限は認められていなかったが、人類が絶滅し暮子と行動を共にするようになってからゼクス社の電子キーに阻まれることが致命的となり、KM-b005通称カマボコの高度な機械学習能力と不必要なほど高度に設定されていたハッキング能力によりゼクス社のマザーコンピュータにアクセスし電子キーを破ることが可能になった。


これによって、暮子は九死に一生を得、今まで生きながら得ていると言っても過言ではないだろう。


説明が長くなったが時を今に戻そう。


「あ〜、どうしよう♪どうしよう♪腹が減っては頭も回らないよう♪」


八方塞がりになり、とうとう頭がおかしくなった暮子は体を揺らしながら腕を波状に揺らし、おかしな歌を歌いながら途方に暮れていた。


「なんでよりによって、ゼクスマートやねん。これやったらガラス割って入るんも厳しいしなー」


急に我に帰った暮子は改めて思索にふける。

しかし、八方塞がりなことに気付いて絶望する

ゼクス社は多岐に渡るビジネスを展開しており、そのなかに飲食業やコンビニまで手を回している---


ゼクス社が手掛ける店舗のガラスには特殊な強化ガラスが使用されており、これもゼクス社の研究者、ちなみにDNA鑑定電子キーを作った研究者と同じなのだがこの話はまた次の機会にしよう。


ともかく、ゼクス社が手掛ける強化ガラスは2tトラックが250kmで突っ込んでもびくともしないような非常に高い耐久性を誇る。今、暮子の目の前にあるゼクスマートももちろんその強化ガラスが使用されている。


そのため並大抵のことでは破壊することはできない。


「どうしたら♪どうしたら♪どうしたらええんやろ♪」


またとち狂い奇妙な踊りを踊り始めた暮子であった。


「あっ、そうだ良いこと思いついた」


踊りをやめると暮子はスっと目が据わり、不適な笑みを浮かべるのであった。

暮子が関西弁なのは作者が大阪出身だからかも?

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