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最後の生き残り系JK

JKが世紀末のゾンビの世界で奮闘する話です。

いっぱい書いて完結目指します!!

「やっと見つけた〜〜!!」


棒のようになった足を引きずりながら宵ノ暮子は乾き切り焼け落ちそうな喉で叫んだ。

何キロ程歩いたかもう当の前に分からなくなっている。水も食料も底をつき、自分のなかに微かに残されたエネルギーの残滓を感じながら半ば意思を介在せず前に動き続ける足だけを頼りに壊れかけの傀儡のように暮子は歩いていた。


「まじ死ぬかと思った〜。てか、あと一時間見つからんかったらスカスカの自分の腹切って死んでたわ、ね〜カマボコ」


生命の気配を微塵も感じない荒廃したビル群のなかで笑えない冗談を腰に携えた日本刀を触りながら呟く。

話し相手が誰もいない、心臓の鼓動すら感じないなかで一年以上暮らしてきた暮子は独り言が癖になってしまっていた。


しかし、今この場にいるのは一人ではない。

正確には一人と一体だ。


サッカーボールほどの大きさの鉄のような物質で出来た球状の物体。

球状の中央辺りには長方形の液晶があり、そこには今は何も写っていない。

球の上部には兎の耳のようなものが付いている。一見首を落とされた機械兎のようだ。


「カマボコ復活しな喜びを共有する相手がおらんからつまらんわ」


無機質な画面に向かって暮子はいじけたように語りかける。

カマボコと呼ばれているその機械も心なしか申し訳なさそうだ、少し耳が項垂れているように見える。


「まあとりあえず行こか、やっと見つけたまだ荒らされきってないはずのコンビニ!もしなんもなかったら恨むからねカマボコー!!」


カマボコの電源が完全に落ちる前に暮子は食料が残っている目星があるコンビニの位置を教えてもらっていた。

まさか、こんなに遠いとは暮子は想像していなかったがなんとか見つけることができた。

いつもは手動で発電できるバッテリーを持ち歩いているため充電することができるのだがそのバッテリーを3日前に壊されてしまったため暮子は途方に暮れながら最後に教えてもらった情報を頼りに歩き続けていた。


目の前にあるコンビニに向かい足を進めようとすると微かな唸り声のようなものが聞こえてきた。


「ゔぅぅあぁ、ゔぅ、、うがぁぁあ」


爛れた肉から腐敗した禍々しい色の血液を垂らした人の形をした何かがこちらに迫ってくる。

足は関節があらぬ方向に曲がってしまっているが気にも留めずゆったりとこちらに向かってきている。眼球も爛れてしまっていて今にも落ちそうだ。歯は鋭く変化していて半開きの口から涎を垂らしている。

人間が根源的に恐れ慄く見た目--

所謂、ゾンビである。


「はあ、めんどくさ。さっき大声出しちゃったから私に気づいてもうたんかな、反省、反省」


しかし、暮子は野良猫でも飛び出してきたかのような薄い反応で腰の日本刀に手をかける。

ボロボロではあるが一般的な長袖のセーラー服を着ている暮子には日本刀はひどく不似合だ。


「すぐ終わらせてあげるからね〜、暴れないでね。いい子、いい子」


日本刀の柄に手をかけた暮子は居合の姿勢をとる。ゾンビが暮子を捉え欲望のまま向かってくる瞬間、


一閃---


目にも留まらぬ速度でゾンビの背後に暮子は移動していた。

「あっぶね、足挫きそうやったわ」


「ゔぇ?」

声にもならぬ声を出した後、ゾンビの首が地面に落ちる。暮子は刃についた腐敗した血を払うように刀を振る。

ゾンビは何が起きたかも理解する間もなかったであろう。


「よし行きますか」


ゾンビが跋扈し、荒廃した世界のなかでたった一人のJKである宵ノ暮子は相棒である機械を紐で引きずりながら歩き出すのであった。

主人公宵ノ暮子の読み方はよいのくれこです

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