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避難

「きゃ……、きゃーーーっ!」


 黄泉野くんが女の子みたいな悲鳴をあげた。


「駒子さん!」

 谷くんがカメラ撮影をしながら私に訴える。

「メルちゃん、ゾンビ化しました!」


 んなこたわかってるっつーの!


 もみじが一人駆け出して、八番目の扉を開け、急いで中へ駆け込んだ。

 私たちもそこへ逃げ込もうとすると、中から鍵をかける音が聞こえた。


「こらーーっ! 何、鍵かけてんの!」

 開けようとしてもびくともしない。


「いらっしゃい!」

 そう言いながら、メルちゃんが私の頭を正拳突きで破壊しようと突進して来る。


 松明の火を前に掲げると、正拳を引っ込めて後ろへ飛び退いた。やはりコイツら火が怖いんだ。


「ストーブの部屋に戻るわよ!」


 私がそう言うよりも先に、黒乳首が走り出していた。

 全力疾走で辿り着き、扉を開閉すると、またもや中から鍵をかける音が廊下に響く。自分さえ助かりゃいいってのか!


 ゾンビたちが中からユラユラとした動きでどんどん出てくる。

 谷くんも黄泉野くんも松明を前に掲げてそいつらを遠ざけてる。二人とも同じ方向を向いている。


 メルちゃんが素速い動きで二人の後ろに回り込んだ。


「谷くん! 後ろ後ろーーッ!」


 間に合った。二人は背中を合わせて互いを守った。最初っからそうしろっつーの、バカ!


 さっき開けて来た扉の中はどれも安全なはずだ。

 私は二人に背中を守らせ、駆けた。


 六番目の扉のハンドルを掴むと開き、中へ飛び込む。扉を開いたまま、二人を待った。


「早く! 早く!」


 背中合わせに松明を掲げてゆっくりと回転しながら二人が歩いて来る。


「早くーー!」


 二人が素速く中へ入り込むと、私は扉のロックを下ろした。



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もみじちゃん、まさかの行動。
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