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その女の、友達


  松川みどり



 英里はすごい子だ。何がとはうまく言えないけれど、とにかく。小さいころからすごかった。

私が初めて英里を見たのは小学校の入学式だった。大きな黒目とさらさらの黒髪。誕生日に買ってもらったお人形さんよりもかわいくて、我が家にやってきたばかりのニコちゃんはわずか一か月で第一線を退いた。


 初めて同じクラスになれたとき、私は何年かぶりにお父さんに感謝した(お母さんはいつでも大好き)。名前順で隣同士になれたのだ。セブンのもちふわパンケーキよりも柔らかな肌に触れたとき、彼女は黒目をぱちくりさせていた。それがとってもかわいくて、この子と会うためなら給食の牛乳だって我慢できると思えた。


 その容姿が災いしてつまらないいじめに合うようになった時も、英里は少しも気にしていなかった。いじめがつまらないことだと教えてくれたのも英里だった。そんなことに時間を割く女子たちを小馬鹿にして、彼女たちに割く時間は私にはないとよく言っていた。苺の匂い付きの練りけしが、英里のお気に入りだった。私は空手を始めた。


 中学でさらにつまらなくなったいじめっ子たちに、英里はカッターを突きつけた。校内はちょっとした騒ぎになり(関係ある人もない人も、上の階も下の階も、ありとあらゆる人間が呼び出された。『第二視聴覚室』とかいう、今まで存在すら知らなかったようなその教室には、大げさに埃をかぶった、どうしようもない大きさの機械が何台か捨て置かれていた。)、いじめがさらにひどくなるのではないかと心配したのだけれど、次の日から誰も英里に近づかなくなり、英里の行動は結果的に正解のようだった。私は都の大会で三位になった。

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