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右利き逆サイド


 生徒たちの滲み出る期待や興奮とは裏腹に、それから毎日結局何事もなく我が校は放課後を迎えていた。退屈な日常はすぐに戻ってくる。


 約一年半やってきてはいるものの、ハンドボールのことを好きなのかどうか、僕にはよくわからなかった。陰キャにはなりたくなくて、そのためには運動部に入るのが一番手っ取り早いだろうと考えただけだった。バスケ部が強すぎるので、元バスケ部としてバスケットボールに近そうなスポーツを選んだ。実際に近いのかどうかも、よくわからない。体験会での先輩の「元バスケ部なら上達早いよ!」という口車にまんまと乗せられただけなのかもしれない。


 ハンドボールは『空中の格闘技』と呼ばれていて、意外に接触プレーが多い。身体が小さく投力もさしてない自分にはあまり向いていなかった。辞めてしまおうかと考えたことも何度かあったが、この部活のメンツと今まで通り絡めなくなると思うとそれは惜しかった。


 ハンドボールは、世間の思うハンドボールらしい動きをする『上』のポジションと(「ハンドボールらしい動き」と聞いてそれを想像できる人間が世間にいったいどれほどの数いるのか、それ自体がまず不明だけれど)、パスを受け取りシュートを決める『下』のポジションとに分けられる。


 入部してすぐに行われたハンドボール投げで最下位だった僕は逆サイドという、本来左利きがやるはずの『下』のポジションを任されてしまっていた。


 『上』と『下』というのは実力の上下とは関係ないのだが、逆サイドからシュートが打てない僕に(これがまた難しい。一度やってみてほしい。女子とキスをするよりは簡単だが、手を繋ぐよりは難しい。)そこを任せるというのは、そのポジションは捨てたという宣告に等しかった。


 そんなわけでこの一年半かなり苦労してきた僕だったが、流石にシュートもそれなりの確率で入るようになってきていた。そして新たに気づきを得たのだが、僕はハンドボールに向いていない。

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