依存症 SS
相思相愛…。多分、誰もが欲しいものだと思う。好きな人に愛されたいし愛したい。皆から羨ましがられるもの。だけど、私は今、全然幸せじゃない。
「茂徳……」
此れは多分、依存症だ。目前に居る彼、茂徳が私から離れようとしない。其れを拒まない私も、ある意味依存が入ってるのかも知れない。
誰かが言った。今はまだ良い。でも、何れは依存から脱出さないと、生活に支障が出るって。今しか、後戻りが出来ないって。最初は、意味が分らなかった。でも今なら分る。
あの時、其の人の言うとおりにしてれば良かった。そうすれば、こんなに胸が苦しくなる事は無かったもの。若さゆえの過ち。後悔したって、もう戻れない。だって、私も茂徳に依存していたからだ。年月と言う、まるで薬物を投与し続けた結果だと思う。
私達は、もう体の自由がきかない程に、年老いてた。何時、死んでもおかしく無い年齢だ。依存症…ある意味恐い病気、うんん、精神状態なんだって事、最近になって実感した。
茂徳の姿が見えないと、不安で不安でしょうがない。帰って来ない時は、眠れない日々が続いた。私は、親に甘える子供に近い状態にまで陥っていた。もう、還れない。
一生、依存し合う夫婦。どちらかが先立ってしまったら、多分後を追っていくのかも知れない。何時かは成り得る未来だけど、私達には子供がいる。もしもそういう気持ちになってしまった時は、子供の顔を思い浮べて、生甲斐を見付けなくてはならない。其れは、私と茂徳の、暗黙の約束である。
終
初出【2011年2月6日】




