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悪魔の仮面を被った正義の話

作者: 秀の要の誠

「きゃーーーーー」

そんな声が聞こえた。

その声を聞いた時、俺の身体はもう動いていた。

俺が現場に着いた時すでに多くの人が一人の女性を取り囲んでいた。

「大丈夫ですか?」「どうかしました?」

そんな声が響き渡る。もちろん俺もこれをかける。

ただ何故だろう。その女性に目立った外傷は無いし、周りに俺ら以外の人がいるわけでも無い。

凡そ、虫とかに驚いて叫んだのだろう。……きっもちわる。


「辞めくれ!」「どうしてくれるんだ」

また別の場所でそんな声が聞こえる。次こそは、と俺たちはダッシュでそっちを目指すことにした。

走って、走って走って……その光景を見て俺は目を疑った。

「なんだよ、これ」

大破した乗ってたであろうバイク。そのバイクに当たったのか少し傷が付いてる高級車。

……そして、血を流し大柄の男に胸ぐらを掴まれている、弱々しい男性。

俺は、俺たちは瞬間的に思った。こいつからこの男性を助けないと…

「おい。辞めろよ」

俺が声を出す。ただ俺だけじゃなかった。

「そうだ。なにしてる」「お前があのバイクを壊したんだろ」「なんてことするんだ」

あぁみんなで協力する。いくら巨体でも、強そうでも、俺たちがここで負けたら、この男性は傷つけられてしまう。だからなんとか声を出す。街を行く会社員も、歩いていた子供も協力してくれる。少しずつその輪は大きくなっていく。

あぁ、あったかい国だな。一人の男性のためにここまで協力的になれるのだ。

証拠を撮っていてくれる人、それを世間に流してくれる人、一緒に声を出してくれる人。あぁ分かる。こいつがどんなに強くても今の俺らなら負ける気がしなかった。

「なんのつもりだお前ら」

大男が叫ぶ。でも屈するわけには行かない。

「ーーーーーー」

あ?なにを言っているのか。でもいいだろう。俺たちは声を出す。

でも、大男の手が男性を離すことはなかった。このままではまだダメだ。きっとまだ大男は男性を傷つける。

と、そんな時。俺らの仲間が大男を引っ張る。どうにか男性から引き剥がす。

その人だけじゃダメだ。そう考えると既に多くの人の手が大男に伸びていた。強く、大変だったがなんとか引き剥がし、押さえつけることに成功した。

「なんでこんなことをしたのか」「なにがあった」

「ーーーーーーーーーーーーーーーー」

多くの人が声をかけるが大男の言ってることはまだわからない。きっと反省なんてまだしていないのだろう。大男の目はしっかり男性を捉えていた。

まだ足りない。こいつにしっかり反省させないと。

俺たちはこいつの乗ってたであろう高級車に目をつけた。

バイクは壊れたのだ、こっちだけ残っているのは不平等では無いか?君もそう思うだろう。

こうして壊す。あ〜まだ足りない。きっとなんも反省していない。……そうだこいつは、この男性を殴ったのだ。

あれ?俺たちが殴ってもいいんじゃ無いか?口でなにを言っても意味なんてなかったのだ。身体に恐怖を叩き込まないといけないんだ。俺たちがどんなことをしても屈することをしなかった男はやっと諦めた。そして逃げようとしたけど、世界中のどこにいても、もう逃げ場なんてない。拡散された事実の情報。それから逃げることなんてできるわけがなかったのだ。

そして世間はそれを正義と言った。正義の声が大男に逃げ場を与えなかった。ま〜当然のことだろうな。


いきなり俺たちの間にさっきの女性が入ってきた。

そして、あろうことか、男性のカバンを奪い取った。

俺たちはまた怒りが湧いたが、その前に女性が声を荒げた。

「これは私のカバンだよ」

と、そこから女性は事の真相を語り始めた。

この女性が信号が青になり横断歩道を渡っていた時のことだった。そこには青にもかかわらず猛スピードで女性に迫るバイクがあった。そしてそのバイクは女性が持っていたバックを奪い去っていったと言う。あぁ、ひったくりだ。きっと女性はそれに追いつけるだけと、体力はなかったのだろう。そして誰もが諦めた。ただ一人その現状を見ていた、高級車に乗った男を除いたわ。

その男はその現場を見て、怒りバイクを追いかけた。最初は声をかけたりしていたのだと言うが、言うことを聞かず、逃げ続けるバイクを止めるために少し車をぶつけたと言う。

その時もなるべく怪我ができないようにしたのだ。でもそんな優しさは意味を成さず腕に少しの擦り傷をつけてしまった。そこからすぐにカバンを取り返そうとした男だったが、抵抗してくるその男性と取っ組み合いになっていたようだった。

その女性の証言からまた新たな事実が広まった。新聞にも載り、ネットでも拡散された。………そして大男が自殺したと言う事実も報道された。

その事実は俺たちの心を動かし、俺たちは黙祷を捧げ、その男を称えた。

でも俺たちは気に食わなかった。そんな時、新たな事件の匂いが鼻を刺した。

「あぁ、お前がひったくり犯だったんだな。お前が悪かったわけだ」

俺たちの標的はそこにいた……その男に変わった。そして俺たち()()()()()()は正義の剣を取り出すのだった。


 ーーなんで、あの男性は死んだのにお前は生きてるの?

      それって…不平等…じゃ無いか?ーー

読んでくださった方。ありがとうございます。


さて普通ってなんだと思いますか?一般常識ってなんだと思いますか?

世間ではそれを多数派と考えることが多いと僕は思います。ただの中学生がなに言ってるんだって感じですね。

どうかみなさん。自分を持ってください。多数派が流す嘘は強大です。あなたから見た悪魔がその人から見る悪魔とは限らないと言うことを考え、尊重してみることもたまにはありかもしれません。

ときに恐ろしいのは……悪魔の仮面を被った普通なのでしょうね。

ただの中学生の主張でした!

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― 新着の感想 ―
[一言] ネットで有名になったオジサンが、数人の男性に取り押さえられてそのまま圧迫死かなんかでお亡くなりになったのを思い出したよね
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