第三話
『よーし、やっとこの辞書が読める…。なんで人なんか探そうと思ったのだろうか、まあいいか。』
辞書は分厚く、重い為地面に置いたまま読み始める。
辞書の内容はこの世界についての様々な情報、さらにモンスターの情報や種族の詳細、国家の名前にそれぞれの国の特色まで書かれていた。
『ふむ、亡者の楽園…そこで死した物は二度と外に出る事は叶わず永遠に地下深くで徘徊し続ける…か。
今まで亡者なんて一度も見てないんだが。』
先程思い出したこの洞窟の名前を調べてみると情報が載っていた為、詳細を確認する。
しかし、亡者の楽園と言っておきながら亡者がいないとはとんだ詐欺だ。
そう思いながらページをめくっているとしおりが挟まっていた、かなり色褪せておりかなりの年月が経っている事が伺える。
『何だこのしおり、文字が見えないじゃない……かッグッ、グアッ、がァァァァァァァ』
辞書を読み進めていたら突然しおりに邪魔をされた、しおりはただ前の持ち主がそこに挟んでいただけであって、自ら彼の邪魔をしているつもりでは無いが、彼は人が誰一人おらず無駄な時間を過ごした事に少し苛立っていた為、しおりを少々乱暴に掴んでそこら辺に捨てようとした瞬間、またもや強烈な頭痛が彼を襲いそのまま前に倒れてしまう、そして同時に誰かの記憶を思い出す、
期待の眼差し、親友、仲間、家族、そして最期、親友にトドメをさせずそのまま、亡者として動き回っていた時突然自分の体が分解され吸われていく光景、謎の人影。
『痛ってぇけどッ、だいぶ慣れてきたな。あー、なんかフラフラする。』
先程より回復が早くすぐに起き上がる少々フラフラしているがお構い無しに今見た記憶を確認する。
『さっきのでかいヤツとは違う記憶…。なのに最後何かに吸われて終わっている。一体何に吸われたんだ?最後の奴は誰だ?』
疑問は尽きない、もっと情報が欲しいが一先ずはこの辞書を読み進めることを優先する。
『ふむふむ、ん?自分の能力を確認…
【ステータスオープン】?ってうわぁ!!! 』
彼が書かれていた言葉を口にした瞬間目の前に半透明の板のような物が出現する、突然の事に彼は驚きそのまま後ろに倒れてしまう。
『痛ってぇ! もう何なんだよさっきから。俺が一体何をしたって言うんだよ…。』
後頭部を右手で擦りながらブツブツと文句を言う。
しかし他には誰もいないため、反応は帰ってこず少し寂しくなる。
『えーっと、この数字が俺のステータスって奴か?』
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名前 error
種族 error
性別 error
能力 error
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『何も分からないんだが、一体どうなってんだよ。
ステータスオープンできてないじゃねえか』
ステータスの一覧を見る事は出来たが、何もかerrorで大した情報を得る事は出来なかった。
少しイラついて目の前の半透明の板に対して文句を言うが返事が返って来ることは無く、そのまま辞書を見て、この半透明の板を閉じる方法を探す。
『えーっと?閉じる場合は心の中で閉じろと念じれば勝手に消える…か。じゃあなんでわざわざステータスオープンなんて言わなきゃいけないんだよッ。』
失敗続きでイラついているのか、何もかもに文句を垂れる。
『そういやあっちの方に鏡があったな、自分の顔とか確認したいし行ってみるか。』
イライラが止まらない為、何が別の事をして何とかイラつきを抑えようとする。