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リボルバーハート  作者: がっかり亭
第十三章:流転
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13-1

 甚大な被害を出した一連の事件は、クラウレンというテロ組織による愉快犯的犯行として報道された。

 俺たちの知らないクラウレンの構成員が多数逮捕されたと聞く。

 街じゅうで暴れていた奴らだろう。

 だが、AS能力については、全く報道されていない。

 やはり、それを公開したら、世代間対立となり、魔女狩りが起こる可能性があるからだろう。

 多数の死者を出したやりきれない事件だったが、街は少しずつ復興している。

 ところで、AASでも事件の調査が行われた結果、太陽コロナについてもその素性が明らかになってきた。

 コロナはもともと超能力者として一部メディアでもてはやされていたらしい。

 しかし、インチキであるとレッテルを貼られ、SNSで叩かれていたそうだ。

 それが原因で世の中を恨んだのだろうか。

 人格こそ歪んでいたが、アイツが超能力者なのは間違いがない。

 本当に能力があるのに、社会に認められなかったのか……。

 やりきれない話だ……。

 一方、良かった話で言えば、りりんが全快したことだ。

 脳を揺らされても、全く後遺症がなかったのは素晴らしい。

 起きてすぐ――

「ママ!」

 と、きららさんに言ってしまい、めちゃくちゃ赤面していたが。

 あと、きららさんが、なんかまんざらでもなさそうなのが印象的だった。

 もちみはそれを見ながら「1本描ける気がする!」と言っていた。

 何をだ。

 だが、決して教えてはくれない。

 そんなもちみだが、二億匹さんとちょっとイイ感じらしい。

 ぽっちりゃり好きだという二億匹さんのアプローチに「あんな冴えないおっさん……」と言いつつ、ちょこちょこ食事に行くようになっているとか。

 二億匹さんと言えば、あの事件を受けて、心肺停止から蘇生したことがメディアで取り上げられ、一躍時の人となっていた。

 そんな形でテレビに出ても嬉しくはないだろうが、それをきっかけに「俺は死んでも生き返るから大丈夫や」と言って過酷なロケを受けまくるようになり、その大声のリアクションでお茶の間の人気者になりつつある。

 人生何があるか、本当にわからない。

 ところで、長官も修理が終わり、元のバケツに戻っていた。

 なぜバケツなのか聞いたが、「ユーモア」と言っていた。

 AIの考えるユーモアはわからない……。

 ともあれ、バケツ長官は全てを話してくれた。

 初めてシンギュラリティに達したAIであること。

 自分の存在がAS能力者を生み、それが社会を乱したことに責任を感じていること。

 だからAASを作ったこと……。

 ちなみに、AASの資金は投資によるもので、彼の計算力を利用すれば簡単に莫大な利益が得られるらしい。ずるい。

 今まで黙っていたのは、AS能力者がシンギュラリティAIを認識したときに、その能力がどう反応するか未知数だからということだ。

 確かに、構造を考えれば影響を受けておかしくない。

 それは超AIでも見通せないことなんだろう。

 ところで、なぜコロナとの戦いで連絡がつかなかったかと言うと、自身の能力への制限を一時的に解除するよう政府と交渉していたのだそうだ。

 確かに、AIに兵器を扱わせることは、政治的な問題が付きまとう。

 相当に苦労したようだが、青鮫市の被害の大きさが伝わると、許可が下りたそうだ。

 もっと早く説得できていれば、と俯く長官。

 さらに、長官は隠し事をしていたことや、全ての元凶であることを陳謝してきたが、もちろんそんなことは気にしていない。

 どう考えても、長官が悪いわけじゃない。

 そんなこと、AIの計算能力なら、すぐに至る合理的帰結だ。

 なのに、頭を下げるのだ。

 その責任感は、人間より人間臭い。

 おかしな話だが、俺に人の道を教えてくれたのは、AIだったわけだ。

 だが、そこに後悔はない。

 俺から言えるのは、「ありがとう」だけだ。

 それを告げると、あのバケツ顔でぽかんとしていたが。

 さて、AASのみんなの話はこれくらいにしておこう。

 今の俺の話をしておきたい。

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