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長官の叫びに俺は耳を疑った。
こんな次元の戦いで、俺に出来ることがあるとは思えない。
いまさら心臓が人より多いだけの俺なんか――
「まだチャンスはある!! こいつには、超スーパーガールの力はコピーしきれない!!」
「はははっ、くだらない嘘をついて!」
「いや、お前に超スーパーガールの力はコピーできない。なぜならあれは【幼児特有の全能感】から来る能力だからだ」
は?
「なんだって?」
「彼女は、20年近く昏睡していた人間だ。だからその精神は幼児そのまま。だからあれほど常識外の力が出せる」
ちょっと待て。
りりんはどう見ても20代半ば。
だったら、彼女は体が大きいだけの幼児――
高校に行っていないというのは強がりで、そもそも小学校にすら――
「だが、お前は違う。常識、社会通念、科学知識。様々な枷がお前を縛る。彼女ほど自由な思考を持っていないお前に、あの力は使いこなせない!! あれは誰より優しい彼女にしか使いこなせない力だ!!」
そうか! 長官がなぜ、りりんを戦わせなかったのか。
コピーや洗脳を恐れていただけじゃない。
彼女が幼い子どもだからか!!
「……俺は」
両の拳を地面に叩きつける。
「何している……っ!!!」
震える脚を無視して拳を軸に体を起こす。
小さな子が戦っていて。
そんな小さな子を戦わせないために戦っている長官がいて。
ここで立たなきゃ男じゃない。
長官が、抑えてくれている間に、何とか体を起こしていく。
「舐めるなよ。僕の能力をただのコピーだと思っているのか? ははっ、超AIの計算能力はその程度なのか」
「なんだって?」
「僕の力は、純粋な超能力だ。相手の脳神経を透視とテレパシーで読み取ってその構造を解析し、念動で脳を作り変えて能力をコピーする……! 誰がソルティの脳を作り変えて能力をくれてやったと思ってる!」
「まさか、キミは!!」
「そうだ! 自分の脳を作り替えればいい!! 常識なんて海馬から消してやるよ!!」
コロナの目がぐるんぐるんと回り出す。
頭を、自分でいじくっているのか!?
「はははははは! 俺の望む世界を作り出せるチャンスだ! 邪魔させるわけがない!!」
やばい。
時間がない。
立て、立て、立て――
「もう、しょうがないんだから」




