12-1
「あはははははははは!! 思い通りだ!! 狙い通りだ!!」
あの常識を超越した超スーパーガールの力を、コピーされてしまった。
「お前のAS能力は……コピーか!!」
異常に多彩な能力。
カバネやハガネと全く同じ力。
思い至らなかった自分の愚かさに、内臓から絞り出すような声が漏れた。
「はははははは!! そうだよ!! 最初から、最強の能力者をコピーすること、それだけが目的だった!!」
そんな、馬鹿な。
じゃあ、ハガネもカバネもソルティも、壊された街も、奪われた命も――
「クラウレンはこのために! テロもこのために!! 強い奴を呼び出せれば、それでよかったんだよ!!! ちょうどいいのが来てくれて助かるよ!! ははははははははははは!!」
だから、長官は最強の超スーパーガールの出動に慎重だったんだ。
最強だからこそ、呼ぶわけにはいかなかったんだ。
コピー能力者が現れたら致命的だから――
倫理観を持っていない相手に、あの力が渡った――
全身が総毛立つ。
どんな修羅場でも味わったことがない、寒気が全身を貫いていく。
そろそろ立ち上がれるほどには、体の機能は戻ってきている。
しかし、恐怖が体を震わせて、ついたままの膝が起き上がろうとしてくれない。
「それでも、ゴカクってことでしょ!! だったら気合で勝つ!!」
確かに、これで五分になっただけだ。
彼女になら、まだ打てる手がある……か?
超スーパーガールが強烈なパンチを放つ。
「対策してないとでも思った?」
コロナが目を見開いた。
「えあっ!?」
すると超スーパーガールが後ろに吹っ飛んだ。
そのまま倒れて動かない。
「きさま、何をした……?」
「念動力で脳を揺らしたのさ。肉体が無敵でもそこは強化されてないからね」
そん、な。
最強の超スーパーガールが、こんなにあっさりと……。
「まだだ!! 諦めるな!!」
ビルの外壁に叩きつけられていたバケツ長官が、そのビルを蹴ってコロナに突っ込んで行く。
超スーパーガールにも引けを取らない凄まじいスピード。
全身を弾丸にしたバケツ長官のパンチが、コロナの腹に突き刺さる。
威力の余波で、長官の頭のバケツにも亀裂が入っていた。
「ぐっ、案外やるね……! だけど、これもコピーすればいい――」
コロナの目が、全てを射貫くように鋭くすぼめられる。
しかし、その目が今度は驚愕に見開かれた。
「なんだ、なんだお前……!! 人間じゃないな!!」




