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リボルバーハート  作者: がっかり亭
第十一章:頂点
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11-1

「どうせコイツの人生にもう見せ場なんか回ってこないんだ。だったら殺してやるほうが優しさだろ」

 何を、言ってる?

 何で、笑える?

「何が、面白いんだ!!」

「面白いから殺してるわけじゃない……目障りだからどけてるだけだ。俺の人生から」

 あたまがおかしいのか、おまえ。

 そのあたま、かちわってやろうか。クソがつまってるかたしかめて――

「うああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 俺が飛び掛かる直前、その脇を猛スピードで赤い残光が飛んでいった。

 それは、ランドセルの赤。

「ぶち殺してやる!!」

 ランドセルブースターで加速したセルが、ビーム縦笛をコロナの顔面に、叩きつけていた。

 セルの攻撃は例の障壁に阻まれ、

 あのセルが、これほどまでに怒りを露わにするのを見たことがない。

 完全に頭に血が上って、怒りのままに殺傷力のある武器で殴りかかるなんて。

 それが俺の頭を冷やしてくれた。

 自分より怒っている人間を目にすると、人は冷静になれるのかもしれない。

 そうだ。冷静になれ。

 今、俺がやるべきは、あのクソ野郎を叩きのめすことじゃない!

 二億匹さんを、助けることだ!

 幸い、セルの乱打で時間が稼げている。

 地面に落ちた二億匹さんの元に駆け寄ると、やはり息がない。

 完全に心臓も止まっている……。

 そこに、おっかなびっくりもちみもやってきた。

「だ、大丈夫なんスか?」

「脈も呼吸もない……」

「そ、そんな……」

 だが、手はある。

 アイツが急に雷まで操って来たことは驚きだが、つまり落雷には違いない。

 落雷による死亡事故は、ほとんどがショックで心臓が止まってしまうためのものだと、前にTVで言っていた記憶がある。

 だったら、心臓マッサージで、息を吹き返すことができれば――

「な、何してるんスか?」

 俺は、右手を二億匹さんの胸、心臓の上に当てる。

「心臓を叩き起こす」

「え? どうやって――」

「リボルバーウェイブ!!」

 胸のチャンバーが回転、俺の心臓の鼓動が、波となって右手から叩きこまれる。

 衝撃で跳ねあがる二億匹さんの肉体。

 それは電気とは異なるカウンターショック。

 同じ心臓の鼓動だ。

 起こせない道理はないと信じる!!

 残り二発のリボルバーウェイブ、実質最後の虎の子を使ったが、悔いはない。

 起きろ、起きてくれ!

「アンタ、ここで死んでいい人じゃないよ!! 夢があるんだろ!! 天下取るんだろ!!」

 声をかけながら、今度は普通の圧迫マッサージを続ける。

「そうっスよ! 死んじゃダメっス……!」

 もちみが、二億匹さんの顎を上げ、人工呼吸の体勢に入る。

 あの人見知りのもちみが、おじさんを救うために、勇気を出している!

 最後の景気づけのためか、もちもちの両頬を、自分でパチンとはたき、

「行くっス!」

 口をつけ――

「ぷはぁ!!」

 その瞬間、二億匹さんが息を吹き返した。

「!?」

 しかし、急すぎてもちみは止まれず、そのまま唇をつけた。

「―――――っ!?」

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