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何をされたか、わからなかった。
ただ脳天から衝撃と激痛が全身に走り、膝をついていた。
体から噴いた煙で雷が落ちたのだと理解する。
「な、によ、コレ……」
「言ってなくて悪かった? クラウレンの【天】に能力を頂いたの。フフッ」
視界がチカチカしてまだ戻っていなくても、性格の悪さ丸出しの笑い声はわかる。
能力を頂いた?
そんな、ふざけたこと……!
「私の新たな能力は雷撃。そう、クラウレンの上級幹部である【雷】に選ばれた私にふさわしい!!」
自慢してくれているのはありがたい。
内容は聞くに堪えない自画自賛だけど、回復の時間が稼げる。
今、距離を詰められて触られたら終わりだ。
「アンタ、焼かれて死ぬのがいい? それとも塩の柱になりたい? ああ、それか、塩漬けのローストにしてあげましょうか。ははっ!!」
「例えがつまんないのよ。芸人に汚え笑い顔を向けるなばか」
完全回復まで喋らせてたらいいのに、我慢できなかった。
わたしが見たい顔は、わたしが見せたい顔は、そんな歪んだものじゃない。
心から笑ってほしいのだ。
緻密な伏線改修だろうが、一発ギャグだろうが、ドッキリだろうが、風刺だろうが、下ネタだろうがなんでもいい。
笑ってくれさえすればそれでいい。
だけど、人を苦しめてヘラヘラする笑いだけは違う。
そんなもの、プロの芸人として絶対に許さない。
「ホンット、ウザすぎ!!」
帯電で髪を逆立てながら、雷撃を放とうとするソルティ。
けど、遅い!
「ふっ!!」
ビーム縦笛の吹き口に息を吹き込む。
すると、笛のお尻からビームが放たれた。
「なっ、ぎゃあっ!?」
距離があることで油断していたソルティの顔面にビームが炸裂する。
仮面に命中し、そのまま後ろに吹っ飛ぶ。
こっちだって、触れたら塩にされる奴に対して、遠距離で戦う手段くらい用意してる。
怪力が活かせないから、メインウェポンには出来ないけど、隠し武器としてなら充分だ。
もちろん、殺傷力は極力弱めの設計になっている。
ビームの飛び道具は、貫通力を考えるとあまりに危険だし、わたしだって人殺しにはなりたくない。
厳密にはビームそのものじゃなくて、わたしの身体能力で吹き込んだ息を、ビームで熱して射出したものだ。
いわば、アツアツの空気砲だ。
だから、物理的な破壊力はそこそこあるけど、命を奪うほどじゃない。
その証拠に、ソルティも起き上がろうとしている。
回復させたら雷を落としてくるに決まってる。
このまま追撃!
縦笛をビーム剣の状態にして、突っ込む。
「よくも! よくもォッ!!」
自分の周りに、めったやたらに雷を落としまくるソルティ。
これでは近づけない。
「ひとの商売道具に傷をつけやがってえええっ!!」
商売道具?
そう思ったけど、さっきの衝撃で仮面は飛んでいて、下から血のにじんだ素顔があらわになっていた。
整った顔立ちなのは間違いないし、普通に美人だ。
その言いようからして、モデルか何か――
「あ」




