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リボルバーハート  作者: がっかり亭
第九章:荒天
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9-4

 コイツの言葉は全部否定したかった。

 だが、それは本当だ。

「存分に使える今は楽しいだろ? 楽しいよな? 楽しいに決まってる!! 同じ穴のムジナなんだよお前は」

「だとしてもお前がクソ野郎なことに変わりはねえだろうが!!」

「そういう月並みな正義感って、コスパ悪くない?」

 何を言ってるんだ?

 なんでコスパなんて言葉が出て来るんだ。

「どうせ、世界は主観でしか見れないんだから、自分が楽しければそれでいいのにね。好きに楽しもうよ。世界がぐちゃぐちゃになったってさ」

「イカレ野郎が……!」

 コイツは駄目だ。

 コイツを野放しにしちゃいけない。

「クラウレンに誘おうかとも思ったけど、やめとくよ。つまんない奴だし。よっぽどつまんない人生送ってきたんだろね」

「ひと様に迷惑かけてるヤツよりマシだ!」

「迷惑? 低スペックの奴がくたばろうがそれはそういうもんだろ。あんたもそうかな」

 コロナが目を細めた瞬間、衝撃波が襲い掛かって来た。

「ぐっ!」

 ブラッドスーツの強化外血管が膨張し、衝撃を緩和する。

 頭にさえ食らわなければいける……!

 外血管の圧力で加速。

 浮遊する懐に飛び込む!

「うらあっ!」

 拳を叩きこむが、当然、波動に防がれる。

「無駄なんだよ。さっきのが100%の力とでも思ってた?」

 念動力の壁は、高高度から落ちた水面のように、流体なのに硬い。

 かまうもんか。拳は囮だ。

「死になよ」

 再び目が細められ、横殴りの念動力が襲って来る。

「がっ」

 すぐそばの雑居ビルの壁に叩きつけられる。

 だが、こっちの本命は脚だ!!

 くらいやがれクソ野郎!

 その壁を蹴って跳ぶ。

「リボルバーキック!!」

 胸のチャンバーが回転し、腕の三倍の筋力を持つ足が、唸りを上げて加速する。

「無駄」

 脇腹を狙う渾身の左蹴りを、障壁で受け止めるコロナ。

 いくらパンチより強くても、それだけでは念動の壁を破れない。

 織り込み済みだ。

 それでも、念である以上、意識をそっちに集中せざるを得ないだろう。

 左足に気を取らている隙に、右手を叩きこむ!

 チャンバーが回転、炸裂したエネルギーが拳を加速する感覚。

「リボルバーウェイブ!!」

 拳が頬に刺さったように見えたが、しかし、そこにも壁がある……!

「くそっ!」

「考えが甘いよ。全身に予め障壁を纏っておけばいいだけの話だ」

 せせら笑うコロナ。

 だが、その顔が急に歪む。

 え?

 俺自身、全く何が起きているのかわからなかった。

「ちっ!」

 初めて焦りの色を浮かべたコロナが飛んで後ずさる。

 明らかに、嫌がっている。

 何が起きた。

 何が効いた?

 攻撃は、全部念動の壁に防がれて、アイツには届くことなく、その前の空間に波紋しか残せていない――いや、そうか!

 波紋が消えていない!

 それどころか、広がり続けている!

 波紋は攻撃を受けた余波で、念動の壁がたゆたっているものだろう。

 だったら、攻撃が止めば収まるはずだが、顔と脇腹の前で激しく揺れている。

 いや、その両方がぶつかって、跳ね返って波紋が広がり続けているのだ。

「同時攻撃が共鳴している……?」

「くそっ、面倒な処理をさせやがって――」

 処理?

 そうだ。超能力だとしても、脳の指令で出している力のはずだ。

 あんなに波が反響しまくっている中で、人間が正しく処理できるはずがない。

 どこが破れそうかすら、まともに把握できないだろう。

 処理の重さに参っているのか、浮遊も出来ずに着地している。

「行ける!!」

 使ったリボルバーは3発。

 1発は残すとしても2発は行ける。

 だったら、共鳴でアイツの障壁を、きっと貫通できるはずだ!

「おおおおおおおっ!」

 コロナに向かって飛び掛かって行く。

 両腕から同時に共鳴リボルバーを食らわせてやる……!!

 コロナが人差し指と中指を持ち上げて何かを呼び込むような動きをしたが、もう遅い。

 その顔面にリボルバーウェイブ――

「!?」

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