9-2
またアイツか!
だがそれはわかっていたこと。
「援護するぞランドセルガール!!」
「ダメ! リボルバー! こいつは私に任せて!! 火を放ってる奴がどっかにいる!! ソイツを頼んだ!!」
「そうか……! わかった!」
やっぱり俺は頭に血が上りやすいらしい。
短絡的に動いてしまっている。
りりんのことは言えないな……。
もっと冷静になれ。
「ふぅ」
煙を避けて一呼吸。
あたりを見渡し、敵を探し――
「!」
次の瞬間、強烈な寒気を感じ、ほとんど反射的にその場を飛びのいた。
すると、直前まで自分のいた位置から炎の柱が噴き上がった。
判断が遅れていたら、黒焦げだったかもしれない。
しかし、明らかにランダム攻撃じゃなかった。
つまり、俺の位置が見えるところにいるはずだ。
煙が朦々と上がる中、俺の位置が見えそうなのは……すぐ側のバスセンターの屋上か!
煙から頭を出している屋上の角に――いた! 人影がある。
爆発や火炎が噴き上がる中、呑気に野次馬してる人間がいるとは考えにくいし、野次馬ならスマホを掲げて良そうなものだ。
奴が敵の可能性は高い!
俺はブラッドスーツの血流制御で底上げされた身体能力で、バスセンターのひさしからひさしへ飛び移って行く。
そして、屋上へ跳び上がると、そこには男が立っていた。
だが――
「カバネじゃ……ない!?」
パーカーのフードを目深にかぶり、その下に見えるのは髑髏の面。
丈の会っていない真っ黒なコートが地面に尾を引いているが、手足などは非常にスリムで、ハガネより縮んだカバネよりも更に細く、モデルのような体型だ。
それに何より、纏っている空気が、まるで違う。
その場だけ、黒い絵の具で塗りつぶされたような、異様な空気とともに、肌がヒリつくような圧迫感を覚える。
一つだけ確かなのは、野次馬なんかでは絶対にないということ。
「お前は、誰だ!」
「俺は、クラウレンの【天】」
天だって!?
それは確か奴らの最高位のはず……!
つまりコイツは――
「俺がクラウレンの首領、太陽コロナだ」




