9-1
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「うわあああああああああああああああああ!?」
悲鳴が駅前に響き渡る。
特設ステージだったはずのそこは、椅子が放射状に飛び散り、煙が吹き上がっていた。
そこにいた人たちが、絶叫しながら逃げまどっている。
あちこちで炎が噴き上がり、逃げるに逃げられない人たちもいた。
駅前交番もごうごうと燃え上がっており、明確な意志を持ったテロ行為なのがわかる。
それどころか道路上では車が急に燃え上がり、玉突き事故を引き起こして地獄の様相をチしている。
これでは緊急車両も近づけないぞ……。
「くそっ! カバネは捕まってるはずだろ!! なんで火が……!!」
「わかんないっスよ!!」
よくよく注意して見れば、爆発は駅周辺だけじゃない。
遠くの方でも起こっているのがわかる。
「まさか、町中で……?」
「悪者の仕業か! よーしぶちのめしちゃうもんね!!」
りりんが飛び出して行こうとするのでその肩を掴む。
「ダメだ!!」
「なんで!!」
「お前しか、怪我人を運べない!!」
爆発炎上の影響で、たくさんの人が倒れている。
運び出そうにも、数が多すぎてとても一人ひとりやっていたのでは間に合わない。
光速移動できて規格外の馬鹿力を持つ超スーパーガールにしか救えないのだ。
「そ、そっか!」
「とにかく、みんなを頼む!」
「おっけー! 倒れてるみんな、病院に連れてくね!!」
戦いたいとゴネるのではと思ったが、成人とは思えないほど素直に、りりんは頷いた。
「顔だけは隠してな」
「おっけー! そこはちゃーんとするよー! へーんしんっ!!」
変身とは言うが、取り出した仮面を被るだけだ。
だが、今回は本来の仮面ではなかった。
屋台で売ってた、顔の上半分だけを覆う狐面だ。
ツッコむ間もなく、りりんは金色のオーラを放ち、光速で救助を開始した。
あっという間に倒れている人が消えていくので、瞬間的に連れて行っているのだろう。
ステージ周辺だけじゃなく、あちこちで炎が噴き上がっているので、如何に超スピードでも、しばらくはそっちで手一杯だろう。
セルも無事だといいが、煙が凄くてよくわからない。
「よし、俺たちは突っ込むぞ!」
「ムリムリムリムリっス!! ボク、戦闘用じゃないっスから!」
首が一回転するんじゃないかというくらい首を振るもちみ。
確かに言うとおりだ。連れて行くわけにはいかない。
「わかった。じゃあ長官に連絡を頼む!」
「お、オッケーっス!」
俺は胸を叩いてブラッドスーツを起動。
一気に煙の中に突っ込んだ。
一酸化炭素中毒の危険があるが、俺の肺活量なら、これくらい無呼吸で行ける。
煙を突っ切り、爆心地へ飛び込んだ。
すると、そこに居たのは――
「なにしてくれてんだぁ!!!」
縦笛で誰かに殴りかかっているランドセルガールの姿だった。
「あははは。怒った怒った!!」
相手は、ゴスロリ姿で仮面をした女性――ソルティだった。




