5-1
ゴスロリ姿の女――ソルティは酷薄な笑みを浮かべていた。
ランドセル姿の私と向かい合うと、なかなかシュールだ。
だけどコイツから目を切るわけにはいかない。
少し離れたところではリボルバーハートがハガネから逃げ回ってるけど、いま助けに入る余裕はない。
「ふぅん、AASにも知られてるんだ」
明らかに見下した言い方。
「でもAASが小学生を雇ってるなんて知らなかったわ」
普段なら、芸風的になり切れてることを喜ぶべきだけど、こいつの言い方にはトゲがあった。
カチンと来たよ。
「あんたこそ、どっかで見たようなカッコで、奇をてらってるくせにオリジナリティがないって最悪じゃない?」
「ああそう、挑発してくるんだ」
「挑発してきたのはそっちが先でしょ」
「対等みたいな言い方されるとむかつくんだけど」
ソルティは手をかざす。
その手が、ほのかに輝いている。
さっき、中で戦ってる時に、投げ飛ばしたらガラスを塩に変えてたやつだ。
一応、「保険」はかけているけど、それも気休めだ。
あれに掴まれたら終わりだ。
「そんなにビクビクして可愛い」
ソルティはまた嘲笑う。
そんなのは、「もう」どうでもいい。
掌に視線を集中する。
その掌が、残光を引きながら地面に触れた。
「*ソルティドッグ*」
触れられた地面が、塩に変わって行く。
まるで雪原のように見えるそれは、全て塩だ。
流石に、靴まで侵食してこなくて助かった。
だけど、その塩の平原から、鍾乳石のように塩の柱が立ち上がってくる。
「どこがドッグなの」
「あははははははは!!」
私のツッコミに、狂ったように笑いだすソルティ。
「何がそんなにおかしいの。何でおかしいかはちゃんと説明してくれないと仕事にも響くんでちゃんと教えてほしいんだけど」
「あはははははっ、何言ってるの? ソルティドッグのドッグは犬じゃないし。船の甲板のことだし。あはははははははははは!」
「――っ!!」
天然っ!
こんなとこで天然出してる場合じゃないのよ!!
狙ったボケならともかくっ!
「あっそう! あっそう!! いいし、やろうじゃん!!」
ランドセルから縦笛を引き抜く。
縦笛を両側に引っ張ると、中央が割れて鎖が現れる。
リコーダーヌンチャク!
「なめんなし。リコーダーだけにね」
「……ギャグのセンスあるかと思ったけど、そうでもないのね」
ぶちっ。
頭の血管が切れる昭和の効果音がした気がした。
「ぶっ飛ばす!!」




