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リボルバーハート  作者: がっかり亭
第四章:進展
21/59

4-4

「だ……だからと言って、犯罪に使うのは駄目だろう!」

 動揺が声に出て、自分でもこんなことが通じるなんて思えなかった。

「では逆に聞くが、力の無い人間は犯罪をしないのか?」

「それは詭弁だ」

 いくら俺が動揺してたって、流石にそれは通らない。

 力の無い人間だって罪を犯す。

 だからって力のある人間が犯罪していいわけじゃない。

「だいたい、その筋肉があるなら、ボディービルで活躍すればいいだろ」

「なに?」

 ハガネの表情が一気に険しくなる。

 まるで破裂寸前の風船のように、張り詰める。

「よく知りもせず軽々しく口にするんじゃねえ! オレはな、もとはボディービルの選手だった。だが、オレの筋肉を恨んだ奴らが、ドリンクに薬物を混ぜたんだ!」

「なっ」

「おかげでドーピングしたと追放よ! オレが、ドーピングなどするかッ!! 鍛えに鍛えて出来たのがこの体だ!!」

 巨体が地団太を踏むと、地面がきしみ、周囲の木々が一斉に揺れ出す。

「この世が公正でないならば、オレも好きにやらせてもらうだけだ!!」

「くそっ……!!」

 身勝手な理屈とともに、体を硬化したハガネが突進してくる。

 この勢い、止めれるのか。

 リボルバーウェイブはあと4発……いや3発しか撃てない。

 

「リボルバーウェイブを使えるのは一日に5発までだ。最後の一発を使えば、すべての心臓の機能が一時的に停止してしまう。そうなれば、後はわかるね?」


 ASSに入った初日に、バケツ長官がそう言っていた。

 ムダ弾は打てない。

「おぉら!!」

 もはや巨岩の落石のようなショルダータックルをぎりぎりでかわす。

 だが相手は人間。すぐに体勢を立て直して突進し直してくる。

 こんなもの、闘牛だ。

 そして俺は闘牛士なんかじゃない。いつまでもかわし続けられるわけがない。

 一人じゃまともに攻撃に転じることも――

 いや待てよ。

 セルはどこだ?

「セルっ! 加勢してくれ!」

「それどころじゃない!! 自分でなんとかしなさい!!」

 恥も外聞もなく叫んだが、切迫した声が返ってきた。

 次の瞬間、窓ガラスが割れ、黒い影と遅れてセルが飛び出してきた。

 その窓ガラスの破片が空中でサラサラと粉になって消えていく。

 着地したセルの前に、こうもり傘でふわりと舞い降りて来た黒い影。

 ゴスロリのミニスカートのドレスに、ヴェネツィアのカーニバルのように目元を覆う仮面。

 ぞっとするような冷たい目線のその美女は、どこか映画の吸血鬼のようですらあった。

「出たな……ソルティ!!」

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