表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リボルバーハート  作者: がっかり亭
第一章:装填
2/59

1-2

 いや、6つの心臓は、別に普段の生活には支障はない。

 激しい運動をしたり興奮したりすると一度に鳴り出して体内でツーリング集団のアイドリング状態みたいになってしまうが、それも慣れだ。

 一気に血流が増えて、血栓による脳梗塞などのリスクは人よりあるので、血液をサラサラにする納豆ばかり食べているが、これも好きだし別にいい。ベジタリアン気味の食生活ではあるが、肉だってたまには食べる。

 それでも、俺の人生は地獄だった。

 問題が顕在化したのは、中学になり、部活を始めた時だ。

 それより前にも、幼い頃から通っていた古武術道場の師範に――


「かわいそうだが、お前は生まれてくる時代を間違えた。才能が有りすぎて、自分も周りも不幸になる」


 と言われたことがあったが、その意味は理解できていなかった。

 才能があるのが悪いことというのはどういうことだろう?

 やっかみかな、でもこの道場、師範しかいないし何でだろう……なんて思っていた。

 だが、師範の言う通りだと気づいたのは、部活を初めてほどなくしてからだった。

 俺は、その時サッカー部に入っていた。

 周りは小学生の頃から始めた子ばかりだったから、最初はボール一つ前に蹴れなくて、ひどく出遅れたものだ。

 しかし、ドリブルが出来るようになると状況は一変した。

 誰も俺についてこれないのだ。

 俺の心臓は、人の6倍ある。

 その並外れた血流に慣れた肺も、6倍とは言わないが、非常に効率のいい肺になっているそうだ。

 つまり、俺の心肺機能は、常人のそれを遥かに超える。

 ハツカネズミの心拍数は1分間に600から700回だという。

 ゾウは約20回で、だからゾウとネズミでは流れる時間の速さが違う、なんていう話を聞いたことがある人も多いだろう。

 それはあくまで比喩だと思うが、俺の場合はあながち比喩でもなかった。

 激しい運動をしていても酸欠にまずならないので、トップスピードを常に維持できる。

 また、心臓の負荷が6分の1なので、6回全力を出すことができる。

 そう、意識的にどの心臓に全力を出させるか、俺は選択できるのだ。

 流石に6つ全部を使い切ると、倒れる恐れがあるので5回までしか使わないが……。

 いずれにせよ、5回もトップスピードを出すことができるので、ドリブルをしていても誰も追いつけないし、逆にチェイスをすれば必ず追いつける。

 俺は、あっという間にエースになった。

 だが、孤立した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ