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ラウンド・ツー

「あはっ! あはっ! そらそらそらそらぁ!!」


 コイツ、遠距離攻撃もできるのか!


 フリードリヒを覆う真っ赤なオーラは幾本もの蔦のように派生し、波打った。鞭のようにしなるオーラは凄まじい轟音とともに土煙を巻き上げる。


「解き放たれた魔力の形状や質感を自由自在に変化させることが出来る。これも僕に備わっている能力の一つさ。見てごらん、こんなことだってできる」


 フリードリヒはゾイドを指差した。次の瞬間、紅蓮のオーラは弓矢と化して放たれた。


 ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!!


「なるほど。奴を覆うオーラそのものが武器庫みたいなものなのか」


 音速にも達する無数の弓矢をゾイドは難なく避けていく。フリードリヒの攻撃を回避しながら着実に距離を詰める。


「今だっ!!」


 フリードリヒの懐に潜り込んだゾイドは、渾身の一撃を放った。だが――。


 ……固いッ!?


「言ったろ? 質感をも変えることが出来るって。僕を覆う魔力は無限の武器であり無限の防具でもあるのさ。君の攻撃は通らない」


 ズガガガガガガガガガガッ!!


 ゾイド目掛け無数の攻撃が浴びせかけられる。だが、ゾイドは既に遥か後方へと退いていた。


「流石に早いな。だが避けているだけではどうにもならないよ? そもそも僕の目的は君の足止めにあるんだからねぇ。このまま時間を稼いで思い通りの展開が進めばその時点でゲームセットさ」


「別にただ避けてるワケじゃない。こっちにも作戦ってものがあるからね」


「ははっ、面白い。では見せてもらおうか、その作戦とやらを!!」


 攻撃は苛烈だった。フリードリヒは邪悪な笑みを浮かべながら今にも踊りだしそうな様相だ。


 本当に気持ちの悪い奴だ。何がそんなに楽しい? 何がそんなに嬉しい?


 ……考えるだけ無駄か。アイツは自分で自分を人間ではないと述べた。メシュアの「真偽判別」はその言葉を真実であると判別した。奴は人の皮を被った化け物。理解などできるはずもない。


「あひゃひゃひゃひゃ!! ほらほらほらほら、とっとと刺し貫かれてしまえ!! 君に許されているのはただそれだけ! 弱者は弱者らしく強者の道具となるのが世の摂理!!! 矮小なる一人類が、世界の摂理に逆うなよ」


 ゾイドは攻撃を避け続ける。ただむやみやたらに避けているわけではない。フリードリヒを倒すための作戦、その第一段階は既に始まっているのだ。


「――ッ!!」


 ズシャッ!!


 フリードリヒの攻撃は、その一撃一撃が音速にも達し得る規格外の速度。ゾイドは目で追えない分は勘で補っていた。だが、いつまでもその攻撃を避け続けることは不可能だ。


「あははははははッ!! ようやくようやくようやくようやくよぉぉおおおうやくダメージを受けたみたいだなぁ!! 小蠅みたいにちょこまかと逃げ回っていたが、もう限界でしょ」


 ゾイドの左肩から先が切断されいた。フリードリヒの攻撃によって吹き飛んでしまったのだ。


「流石はあのヒメト・ヨリシロにダメージを与えた男だ。正直言って、まさかここまでやるとは思ってなかったよ」


「いやいや、君も有象無象にしてはよく頑張ってると思うよ? あっ、有象無象なんて言ったらゼロス君に怒られちゃうな。撤回撤回。雑魚にしては、に言い直すよ」


 両者、距離を取って睨み合う。


 戦況は明らかに僕の方が有利。両腕が無事の状態でさえ僕の攻撃を捌ききれなかった人間が今や片腕しかない。もう勝機は無いはずだ。だが……。


 フリードリヒは真剣な眼差しでゾイドを見据えた。

 あの表情――。一体全体何を企んでいる?


「何を企んでいる? そう勘繰ってる顔だな」


「さあ、どうだろうね?」


 ゾイドは一瞬、フリードリヒから視線を外した。


 よし、これならいける!


「サモン!!」


 叫ぶと同時に、ゾイドの右手から赤い光が発せられた。ゾイドがサモンしたのは幼火竜(ベビー・ドラゴン)のヒドラである。


幼火竜(ベビー・ドラゴン)か!」


 フリードリヒの注意が一瞬だけヒドラに逸れた。その一瞬の隙にゾイドはフリードリヒとの間合いを潰し、目一杯の蹴りを顔面にお見舞いした。


「ォア”ッ! ぐ、ぐギ……。な、なるほどね。まさかテイマーの基本能力であるサモンそのものを視線誘導に使うとは。だがこの程度の攻撃をいくら積み重ねたところで僕を倒すことは――」


 ゾイドはフリードリヒの真下を二度指差した。


「あぇ?」


 そこにあったのは、フリードリヒによって切断されたゾイドの左腕であった。手の平は真上を向き、そこからは何故か莫大なエネルギーが解き放たれようとしていた。


「バカな! 切断された腕にどうやって魔力を――」


「最初から、かな?」


 ゾイドが言うと、切断された左手から膨大なエネルギー波が解き放たれた。そのエネルギーの輝きはまるで地平線に沈みゆく夕陽の美しさを彷彿とさせた。


 残照の拳(ヴェロニカ・キャノン)――!!!!!


 それはかつて、メシュアがヴェロニカから受けた破壊のエネルギーである。メシュアと同化した今、切り離された腕の中にも、メシュアの無限の空間が広がっている。


 メシュアの体内には数多の物体が、そしてエネルギーが蓄積されている。フリードリヒが万の武器と防具を用いたとしても、メシュアの前では圧倒的なまでに手数不足なのであった。


「ぐ……ァ、なんだ、この、エネルギーは……、ぐぎぎ、ギギ、ギェアアアァアアアアァ!!! ァァァァァア”ア”、ギギギギギガガッギャガヤガア!! ァアアアアアア”ア”ア”ア”ア”~~~~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!!!!!」


 圧倒的なエネルギー波を直撃したフリードリヒが断末魔の雄叫びを上げた。


「言っただろ。完全に消し去ってやるって」


 ゾイドは切断された腕を復元し、『マハの黒龍』の元へと飛び立った。

ここまで読んで頂きありがとうございます!!

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