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悲報テイマーの俺追放される。助けてくれたスライムが無限収納というチート能力だったので無双!~ちなみに俺のモンスターの絶対王者のお陰で今まで戦えてんだがお前ら大丈夫?~  作者: 藤村
第二章 北界の守護神アダマイトス

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メシュアと同化した

 宿に戻った俺は、メシュアの保有しているスキル、その全てを把握する作業に追われていた。メシュアは俺が想像していた以上の数のスキルを有しており、その全てを一日、ましてやたったの一晩で把握しきるのは至難の業であった。


「まさか固有スキルの複数持ちだとは思わなかったよ。前例が少ないし、なんせ固有スキルの複数持ちったらそれこそ神聖族のみに許された、いわば特権みたいなものだからね」


 俺はあえて前例が少ないという言い方をしたが、本質的な側面で考えるのであれば、事実上、スキルの複数持ちがいたという前例はない。ただし、なんらかの手段を講じることでスキルを複数有することは可能だ。


 例えばスキルギフタ―という魔道具などが一般的な例だ。

 モンスターのスキル遺伝子を魔法によって抽出し特定の物体内部に保存する。それを服用することによって、一時的にではあるが、人間もスキルを扱えるようになるのだ。


 このスキルギフタ―は今では製造を取りやめているそうだ。

 というのも、身体にかかる負荷が大きすぎるのだという。スキルギフタ―の効き目や副作用の症状、危険度などは完全に個体差に依存するが、大抵の人が、このスキルギフタ―を二つ以上同時に服用すると絶命に至る。


 俺はメシュアがスキルの複数持ちであるということを聞いて、とある可能性に思い至っていた。可能性はあくまでも可能性だが、それでもやってみるだけの価値はある。……そもそもにして、メシュアがあのスキルを持っているというのが前提だけどな。


 でも、もしも上手く行けば、そのときはきっととんでもないことになるぞ!

 なんたって、究極にコスパが削減できるんだから!




 俺はメシュアに、


「覚えている範囲でいいから保有しているスキルを教えてくれないか?」


 そうお願いした。

 メシュアは、


「ぼくは めもちょうの すきるに ぜんぶ きろくしているよ!」


 と言っていた。ぬかりないな。非常に助かる。


 こうしてメシュアから聞き出した保有スキルの総数、その数なんと【50】!!


 「無限収納」 「超粘着」 「超伸縮」 「超分裂」 「性質コピー」 「身体能力増強」 「ダメージ反転」 「魔力反転」 「膂力反転」 「焼け吐く息」 「超回復」 「超同化」 「自立行動化」 「メモ帳」 「超分析」


 俺が一晩で把握できたのは以上の15個である。残りの分は羊皮紙にメモを取っておくことにした。もちろんメシュアのメモのスキルもあるし、全てを暗記するのにはそれほど時間を要さないだろう。多分三日もあれば十分だなと俺は当たりをつける。


「これは完全に俺のミスだな。謝らせてくれ」


 メシュアはなにを言われているのか分かっていないようだった。普段の丸い形状が直角三角形のようになっている。首を傾げているつもりなのだろう。


「スキルの複数持ちなんて基本的にはありえないことだからな。特例を除いて、一匹のモンスターが持つスキルの数は一つなんだ。だから確認を怠ってしまった」


 俺は一息ついて、メシュアが理解したのを確認してから再度口を開く。


「メシュアの場合、これは「無限収納」の応用だな?」


 俺の予想が正しければ、メシュアはなんらかの要因でスキルギフタ―を複数個服用しているはずだ。それが飲食物から混じったのか、はたまた別ルートで混入したのかは分からないが。


「すきるぎふたー?」」


「まぁ、急に言われても分からないか。この件は少しずつ調べていこう。スキルギフタ―に関してもあんまりいい噂は聞かなかったしな。そんなことよりも……」


「わわっ!?」


 急に抱きつかれたメシュアはたじろいでしまう。当然だ。さっきまで「スキルギフタ―」とやらがどうのこうのと話していたのに、急に「でかしたっ!!」なんて満面の笑みで言われたのだから。


「どうしたのさ?」


「どうしたもなにもないさ! メシュア、本っ当にお前は凄くて強いスライムだよ!! いいかいメシュア、俺がこれから言うことをよく聞くんだ」




















 姿見の前に立ち、ゾイドは大きく目を見開いた。

 目の前にいる『ゾイド・ペンターク』という人間は、しかし従来のゾイド・ペンタークとは大きく違った容姿をしている。


 最も変化が顕著なのは、首の付け根程にまで伸びた黒髪の、その色の変化である。ゾイド・ペンタークの髪の色は黒である。男性にしては柔らかい質感をしていたのだが、今の『ゾイド・ペンターク』の髪質は従来のそれを遥かに上回るほどに、女性的なものへと変化していた。


 指で梳いても引っ掛かることが無く、まるで水が流れるが如くなめらかな肌触りである。黒だった髪色は薄水色の混じった白銀へと変化している。


 まつ毛や瞳孔などといった部位も髪色と同系統の色へと変化を遂げ、ただでさえ色白だった肌は、まるで透き通るかのような印象を、他の誰でもない『ゾイド・ペンターク』本人に与えた。


「……これが、俺か」


「すごいねえ まるで べつじんだ」


 『ゾイド・ペンターク』と同じ口が、別の声でしゃべる。


 はたから見れば一人二役、鏡の前で自分に語り掛けている精神異常者にも見えなくはないが、『ゾイド・ペンターク』の精神はいたって正常である。正常でないのは、むしろ肉体の方だ。


「試してみるか」


 ゾイドは「サモん!」と詠唱しアガドを呼び出した。


「一度「絶ったい王者」を解いていいぞ」


 アガドは目の前の『ゾイド・ペンターク』とよく似た人物の指示に大人しく従った。聞きたいことは山ほどあるのだが、どうやらそんな雰囲気ではないらしい。それがアガドにもひしひしと伝わっているのだ。


「つぎに、「絶対おう者」の対象を俺にしてみてくれ」


「エ? デモ 「ゼッタイオウジャ」ノスキルハ テイマーホンニンニハ サヨウ シナイゾ?」


「言い方がわるかった。「絶対王者」のスきルをメシゅアにかけてやってくれ」


 アガドは首を傾げる代わりに、自身の球体状の体を半回転させた。しかし疑問を投げ掛けられるような空気でもない。アガドは大人しくメシュアに「絶対王者」を付与した。結果――、


「こっ、これは! 凄い! えねるぎーが みなぎって来る!! これならシゃルローどにだって 負けないかも しれない! はは、ははははは!!」


 かくして、ゾイドとメシュアは「同化」した。

 二人はまさに一心同体と化し、この「同化」によって広がった戦略の幅はまさに無限!!


 今の俺ならなんだってできるかも!?

 そんな万能感が、ゾイドの心を満たしていった。

ここまで読んで頂きありがとうございます!!

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