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プロローグ
静まり返った夜にサイレンが鳴り響く。
これ以上ないひどさで、野次馬の一人も見当たらなかった。
「一同! 消火にかかれ!」
辺りは真っ赤に染まっていた。
科学技術が進んできた最近ではめったにない大火事だった。
必死に救助活動を行う者。消火活動を行う者。少年は全てを見ていた。
数時間にもわたる活動の末、ついに火は消し止められた。しかし火事の発端となった高層マンションの住民は全滅だった。一人の少年を除いて。
少年は後に無傷で発見された。消防隊も警察も目を丸くして驚いた。
「君。大丈夫なのかい?」
「……ああ。そうみたいだな」
一番驚いていたのは少年自身だった。