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アイドルバスター 印税の偶像  作者: おでん信用金庫
8/12

ぐぎょぎょ、才能枯れたガール♪[作詞]

前回までのあらすじ


『New Desires』に改名



5月4日(みどりの日)

金木邸(一軒家) 真織(まおり)の部屋



真織「・・・できた」


りんね「おぉ」


ルナ「お疲れ様です!見せてください!」


真織「うん(紙を見せる)」


ルナ「どれどれ・・・」






曲名『ゆるしてください』



ごめんなさい ごめんなさい

わたしがわるかったです


もうわがままいいません いうこともききます

にんじんもたべます なんでもします


だからゆるして ゆるしてください

もうわたしをいじめないで やめて


どうしたらあなたはゆるしてくれますか

こんなにあやまっているのに






ルナ「鬱になるわこんなもん!!!」


真織「ひぃっ!」


ルナ「俺らのデビューソングだっつってんだろうが!!なにこれ怪文書!?シンガー怪文書ライターにでもなるんかお前えっ!!!?」


※『シンガー怪文書ライター』・・・歌もうたうし、怪文書も書く人のこと。


真織「だって、もう何も思いつかないんですもの・・・!」


ルナ「思いつかねぇんなら思いつかせろよ!それがお前の仕事だろ!?仕事しろよこのクソニート!!」


真織「自宅警備員(終身雇用)ですがなにか!!?」


ルナ「なに開き直ってんだアジかてめぇは!!?」


真織「あじぃ~っ!!!」


ルナ「あ?」


真織「んあぁ~~~~っっっあじあじあじあじあじあじぁぁぁっっ!!!」


ルナ「ええい人間としての尊厳すら失ったか貴様ぁ!!!」


真織「うわぁ~~~↑あぁ~~~↓あぁ~~~ん↑!!!!」


ルナ「泣くな殺すぞ!!!」


真織「泣いてないも~~~~んうわあぁぁぁぁぁぁんんん!!!」


りんね「む。なんだかDV系エロ同人誌を読んでいる気分じゃ」


ルナ「うるせぇ変態は黙ってろ!!!」


りんね「変態か・・・悪くない響きじゃの(恍惚)」




阿鼻叫喚(あびきょうかん)の真織ハウス。なぜこうなったのか、時は1週間前まで(さかのぼ)る。






4月27日

456(シゴロ)プロダクション 応接室



P「というわけで、皆さんのデビューシングルなんですが・・・」


P「実はもう()()()()んです」


ルナ「えっ?」


P「では、サンプルを試しに聞いていただきます。ぽちっとな(ラジカセON)」


ラジカセ「あ~だらこ~だら・・・♪」


ルナ「おぉ~っ」


P「とりあえずここまでがサビですが、どうですか?」


ルナ「いいと思います!とっても!」


りんね「うむ。趣深い歌詞じゃ」


真織「・・・」


P「金木さんは、どうですか?」


真織「全然ダメだ」


ルナ「っ!?」


真織「ありきたりすぎる。なんつーか・・・10年前みてぇな曲だ」


P「・・・つまり、この曲は古いと?」


真織「あぁ。まるで化石だ。こんなんじゃアイドル界に新たな風を吹かせるなんて到底無理だろうな」


ルナ「ちょ真織さん、そこまで言わなくても・・・!」


P「その通りです、金木さん」


ルナ「えっ」


P「この曲は古い。皆さんが活躍するためには、もっと未来を見据えた新しい曲を生み出さなければいけません」


ルナ「そ、そうなんですか・・・(全然わからん)」


りんね「じゃあ、どうするんじゃ?」


P「金木さん・・・お願いできますか?」


ルナ「!」


真織「・・・当然だ。それしかねぇだろ」


ルナ「えっ、お願いって・・・作詞作曲しろってことですよね!?真織さんそんなことできるんですか!?」


真織「・・・できるできないじゃない」


真織「やるんだよ―――」




こうして真織は、『New Desires』のデビューシングルの作詞作曲をすることになった。彼女らがアイドルとして活躍するため。そして何より作詞作曲に対する『印税収入』のために。



だが1週間経っても進展の気配はなく、不安に思ったルナとりんねは様子を見に真織の家を訪れた。そこには廃人のように精気を失った、真織の姿があった。


ー歌詞が思いつかないー


追い詰められた真織はそう言って2人に助けを求めた。3人体制(スリーセンマル)で作詞を初めて1時間、満身創痍(まんしんそうい)でようやく書き上げたものは冒頭で挙げたような、絶望的な歌詞であった。





ルナ「・・・どうやら、印税のことを考えすぎるがあまりにスランプに陥ってしまったようですね」


りんね「そのようじゃの」


真織「うわ~パトカーだぁ~!!(ティッシュ箱で遊ぶ)」


りんね「ついでに精神も崩壊してしまったようじゃ」


ルナ「作詞向いてないんじゃないの」


りんね「・・・いや、そういうわけでもないぞ」


ルナ「えっ?」


りんね「机の上に、弾き語り用の作詞ノートが置いてあった。前々から路上ライブで歌ってる曲の歌詞じゃろうな。先ほど拝見させてもらったが、なかなか心に響く素晴らしい歌詞じゃった。見てみるがよい(作詞ノートを手渡す)」


ルナ「ん・・・(パラ見)」


ルナ「こ、これはっ・・・!」


りんね「作詞に対するポテンシャルはある。だがそれを上回るほどのプレッシャーを、真織は感じているんじゃろう。なにせ、わらわたちのデビューシングルじゃからの」


ルナ(・・・)


ルナ「真織さん!!!」


真織「うぉ~救急車も来たぞ~~!!(ティッシュ箱で遊ぶ)」


ルナ「真織さん、もう少し頑張りましょう!」


真織「ぎぇ~っ消防車はまだかぁ~~!!?」


ルナ「真織さんっ・・・!」


真織「と、そこに霊柩車アターック・・・」


ルナ「真織いぃっっっっ!!!!(頬を殴る)」


真織「ぅぐふぅぅっっっ!!!」


ルナ「逃げてんじゃねぇぞこのボケナスがぁ!!逃げてる暇があったらさっさと書け!!歌詞をッ!!!」


真織「む、無理だ・・・。新しい風を吹かせるような歌詞なんて何一つ書けないんだ、私は・・・!」


ルナ「てめぇ、この程度のプレッシャーで押し負けるようなタマか!!?サンプルの歌詞を一蹴(いっしゅう)した時の・・・俺をアイドルに誘ったあん時の威勢はどこ行ったんだ!!?」


真織「・・・」


ルナ「歌詞が書けないから、そこで諦めるのか・・・違うだろ!?どれだけ断られても勧誘し続ける。金のために全力を捧げる・・・それが金木真織だろうが!!!」


真織「人間には限界がある・・・いくら金を原動力にしたとしても、できないものはできないんだよ・・・!」


ルナ「できるっっ!!!」


真織「なんでそう言い切れる!?」



ルナ「お前には才能があるからだよ!!!」



真織「・・・っっっ!!!」


ルナ「才能がある、それ以外に理由がいるか?お前は今、プレッシャーに押しつぶされてるだけなんだ。だが、俺たちがいる。1人で背負い込まなくていいんだよ」


真織「・・・才能」



P<あなたには、才能があります>


P<自覚していないのでしょうが、あなたには希有の才能があります。昨日の路上ライブで、身を以て実感しましたから>



真織「・・・」


ルナ「これだけ言ってまだ目が覚めねぇってんなら、もう一発いっとくか?」


真織「・・・」


ルナ「真織ぃぃぃぃっっっ!!!(真織に殴りかかる)」


真織「・・・!!(拳を受け止める)」


ルナ「!」


真織「・・・ったく、うるせぇなぁ」


りんね(目の色が変わった・・・!)


真織「ちょっと待ってろ」


ルナ「えっ」


真織「・・・(めっちゃカキカキ)」


ルナ「なにしてるんですか、真織さん・・・?」


りんね「歌詞を、書いておるようじゃぞ?」


ルナ「えっ、こんなサマーウォーズの主人公みたいなスピードで歌詞を!?」


真織「これでどうだ(紙を渡す)」


ルナ「しかも早っ!?」


りんね「どれどれ・・・」


ルナ「こ、これは・・・!」





曲名『SAY WOO…』



SAY WOO!それWA!YOUが見たFLUSH!

MEが見たHOPE!


SAY WOO!それWA!ふれあいのHEART!

HAPINESSのBLUE CLOUD!






ルナ「青雲じゃねぇか!!!」

※青雲・・・おいしいお線香





破滅的な作詞活動はまだまだ続く。

果たして『New Desires』は初ライブを成功させることができるのか・・・!?


次回、運命の初ライブ(?)

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