既得権益にふれたよ[改名]
前回までのあらすじ
役者は揃った
4月下旬
456プロダクション 応接室
P「それでは本日より、この3人で『プロジェクト・リベリオン』として活動していってもらいます。皆さん、よろしくお願いします」
真織「うぃーす」
ルナ「よ、よろしくお願いします」
りんね「うむ」
P「これから今後のスケジュールについてお話します。皆さん、メモのご準備を・・・」
真織「・・・ちょっといいか、プロデューサー?」
P「おっ、どうしました?」
真織「その・・・『プロジェクト・リベリオン』ってユニット名、もうちょっとなんとかならねぇか?」
P「えっ?」
真織「なんかもうちょっとスッキリした名前がいいというか・・・」
りんね「うむ、よくぞ言った真織。わらわも同じ意見を抱いておったぞ。その名前は少々風情がない」
ルナ「実は、私もちょっと・・・」
P「・・・」
P「そうですね。ではまず、新たなユニット名を考えてみましょうか」
30 minutes later
P「じゃあ皆さんが考えたユニット名を一斉にオープン!」
真織「マネタリズムレイディズ!!」
ルナ「Death Force」
りんね「いちゃラブお庭番」
P「「「あダーメだこりゃ!!!」」」
真織「んだよ、なにか問題でもあんのかよ!?」
P「ありありです!みなさん自分の主張をユニット名に出しすぎです!マネタリズムとかDeathとかいちゃラブとか!」
ルナ「ダメなんですか?」
P「ソロユニットならよいですが、皆さんは3人組です。それぞれの主張が激しすぎるのも問題なんです」
りんね「なるほど・・・では『金・暴力・SEX』というのはどうじゃ?」
P「よくもまぁそんなもの提案してくれましたね」
りんね「ダメ、か・・・(落胆)」
P「何故そんな真剣に落ち込めるんですか」
ルナ「まぁたしかに、アイドルのユニット名に『暴力』ってワードはよくないですよね」
P「まぁその後のワードもダメなんですけどね。いや、むしろそっちのほうがアウトなんですけどね」
ルナ「え、『SEX』のことですか?」
P「一応全年齢対象の作品なので、そのワード二度と発言しないでください」
りんね「では、『金・暴力・性交』というのはどうじゃ!?」
P「園田さん、あなた当分なにも回答しないように」
りんね「む・・・わらわのスーパー人志くん人形が・・・!」
真織「う~んそうだなぁ。アイドル界に新たな風を吹かせるんだもんな・・・」
真織「じゃあたとえばさ、『ニュージェネレーション』みたいな・・・」
P「ダメです」
真織「えっ?」
P「既にそんな感じの3人組ユニットあるんでダメです」
真織「そ、そう・・・」
ルナ「あっ、じゃあこういうのはどうですか。『リリーホワイト』」
P「世界線違うけどそれもあります!訴えられかねないので、むやみに既存のアイドルユニット挙げるのやめてください!」
真織「んなこと言われても知らねぇしな。じゃあトライアド・プリム・・・」
P「あります!!」
ルナ「プランタ・・・」
P「あります!!!」
真織「ポジティブ・パッシ・・・」
P「金木さん!!!」
ルナ「ギルティ・キ・・・」
P「西覇王さん!!!」
りんね「SEX ZONE」
P「「「園田ァァァッ!!!!」」」
30 minutes later
真織「大東亜共栄圏ズ」
ルナ「HOT MOTTO」
りんね「前々々戯」
P「これひでぇな」
真織「悪ぃ、朝シリアル2杯しか食ってないから頭回らなくて」
P「頭回るに足るレベルの摂取量だと思いますが」
りんね「わらわも、今朝はラザニアしか食しておらんの」
P「朝から食べるものじゃない」
ルナ「わ、私はえっと・・・えっと・・・」
P「無理に朝食大喜利に参加しなくて大丈夫ですよ、西覇王さん」
真織「よし、明日までの宿題にしようぜ。明日もっかい、候補を出し合うんだ」
りんね「うむ、それがよいな。では、失礼する」
P「ちょ、待ってください!まだ今日の本来の目的を果たしていないんですが・・・!」
りんね「悪いの。そろそろ新着エロ同人誌の更新時間じゃから、早く帰らねばならんのじゃ」
P「ゴミみたいな帰宅理由やめて」
真織「私もそろそろ路上ライブしてこないといけねぇしな」
P「路上ライブしてる人に殺されますよ」
ルナ「食パン700枚!!!」
P「ようやく捻り出した解答がそれですか、西覇王さん」
ルナ「あれっ、他の2人は?」
P「もう帰りましたよ。エロ同人閲覧と小銭稼ぎのために」
ルナ「・・・?」
???「お疲れさまで~す」
ルナ「っ!?」
P「あ、お疲れ様です形無さん」
???「あっ。もしかしてこの子が、例のプロジェクトの?」
P「えぇそうです。西覇王さん、彼女はアシスタントの『形無ゆとり』さんです」
ルナ「はっ、初めまして・・・西覇王ルナと、申します・・・」
ゆとり「はじめまして、形無ゆとりです。よろしくねルナちゃん」
ルナ「・・・」
P「どうしました、西覇王さん。顔色が悪いようですが・・・」
ルナ「へっ、いやなんでも・・・ないです!」
P「そうですか」
ルナ「・・・」
ルナ(ゆとりさんが部屋に入ってきた瞬間、あの人からとてつもない殺気を感じた気がするんだけど・・・気のせいだったのかな?)
ゆとり「で、こんな時間までなにやってたんですか。今日はスケジュール確認のだけのはずじゃ?」
P「実は・・・新しいユニット名を考えていたのですが、なかなか決まらなくて」
ゆとり「なるほど」
ゆとり「じゃあたとえば・・・『New Desires』ってのはどうですか?」
P「・・・えっ?」
ゆとり「真織ちゃんは金。りんねちゃんはいちゃラブ。あなたは力。それぞれアイドルとは程遠いものを求めてアイドルになった。だから『New Desires』・・・直訳で『新たなる欲求たち』」
ルナ「新たなる、欲求・・・!(めっちゃかっこいい!!)」
ゆとり「えぇ。あなたたちのプロフィールを読んで、まっさきに思いついたんです。あ、ごめんなさい余計な口挟んじゃって!」
P「いや・・・それでいきましょう」
ゆとり「え」
P「シンプルですが、しっかりと彼女たちのことを表現している。ですがこのシンプルさが、我々には思いつけなかった。客観的な視点から生み出された、素晴らしい名前だと思います。それに・・・」
ゆとり「・・・それに?」
P「これ以上のユニット名が、彼女らから出てくるとは思えないので!!!」
こうして、『プロジェクト・リベリオン』は『New Desires』に改名した。略して『ニューデザ』、どこかから苦情が入りそうな略称であることを、プロデューサーは気付いていなかった。