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アイドルバスター 印税の偶像  作者: おでん信用金庫
6/12

いちゃラブの、その先へ[園田 りんね②]

前回までのあらすじ


万引き犯に逃げられた



カトーナノカドー 東桜ヶ丘店



店長「じ~っ・・・(店外刮目)」


P「・・・何をしているんですか、京極(きょうごく)さん」


店長「お、アニキじゃないっすか、お久しぶりっす!お買い物っすか!?」


P「はい、コールスローを買いに。で、何をしているんですか。店の前をなめ回すように凝視していましたが・・・」


店長「あっすんません。万引きの常習犯が来ないか見張ってたんすよ」


P「あぁ、前に言ってた例の・・・まだ捕まっていなかったんですね」


店長「1回は捕まえたんすけどね、逃げられちゃったんすよ」


P「逃げられた・・・?」


店長「えぇ。きのう、緑一色(リューイーソー)女学院の風紀委員長に邪魔をされまして」


P「What do you mean?(は、どういう意味?)」


店長「まぁ簡潔に言うと、『園田 りんね』っていう風紀委員長が・・・」


りんね「(わらわ)の名を呼んだか?」


店長「ぎぃぇっっ!!!?」


りんね「よう京極。昨日ぶりじゃの」


店長「おまっ、急に背後から出てくんじゃねぇ!!」


りんね「む。客が来店したらまずは『いらっしゃいませ』と挨拶するのが定石じゃないのか?」


店長「うるせぇお前なんか客じゃねぇ!この万引き犯逃走幇助(ほうじょ)女が!!」


P「・・・京極さん、この人は?」


店長「えぇ。こいつのせいで、万引き犯に逃げられたんです」





店長室



りんね「そうか、あのあと盗人(ぬすっと)女に逃げられたのか。はっはっは」


店長「笑い事じゃねぇよ!!お前のせいで逃げられたんだからなぁ!?」


りんね「む、他人のせいにするのか。失敗を他人のせいにしているうちは、まだまだヒヨッ子じゃの」


店長「ああ言えばこう言うなお前・・・(戦意喪失)」


りんね「・・・ところで、そちらの男は誰じゃ?」


P「あぁ申し遅れました。竹内と申します。456(シゴロ)プロダクションでアイドルのプロデューサーをしている・・・」


店長「あぁっっ!!!?」


P「っ、どうしました京極さん!?」


店長「来たんすよ、例の万引き常習犯が!(防犯カメラ映像を指さす)」


りんね「おお、昨日の女子(おなご)じゃの」


店長「ちょっと行ってきます!!!」


P「私も行きましょう」


店長「いいえ、ここにいてください!アニキのお手を(わずら)わせるわけにはいかないっすから!!」


P「しかし・・・」


りんね「・・・では代わりに妾が同行しよう」


店長「え、なんでお前が」


りんね「昨日の詫びじゃ。構わんだろう?」


店長「・・・そうかい、じゃあ来い!!」


りんね「承知した」





惣菜コーナー



万引き犯「・・・(周囲を見渡す)」


万引き犯「そ~っ(惣菜をカバンに入れる)」


店長「・・・!」


りんね「よし、盗ったぞ」


店長「あぁ・・・」


りんね「ん。どうした、捕まえんのか。現行犯じゃぞ?」


店長「捕まえるさ。しかしそれは、会計をせずに店を出てからだ。今ここで捕まえたら、周りのお客さんに迷惑がかかっちまう」


りんね「ふっ、本当に優しい男なんじゃの」


店長「ちげーよ。俺はただ店長としてだな・・・」


万引き犯「・・・(入り口に向かって歩き出す)」


店長「動いた、やはり今日もレジを通さずに逃げるつもりだな。追うぞ園田ァ!」


???「やあ、京極くん」


店長「っせぇな、なんだよ。いま忙しいからまた後で・・・」


店長「って、スーパーバイザー!!!?」





~すこやか小売業界解説~


スーパーバイザー(以下『SV』)とは、店舗の運営が正しく行われているかどうかを指導・監督するために本社から度々視察にやって来る管理職のこと。店舗の販売時点情報管理(以下『POS端末』)から集められたデータを本社で集計し、店舗への改善事項の提案を行う。


別名『地域(エリア)管理者(マネージャー)





店長「すっ、すみませんSV!!!とんだご無礼をぉぉぉ!!!」


SV「ふっ、相変わらず元気そうだね。で、お取り込み中だったのかな?」


店長「いえっ、従業員がしっかり働いているかチェックしていただけですよぉ~!!」


SV「ほう。良い心がけだね」


店長「え、えぇ!」


店長(あぶね~。この店で万引きが横行しているなんてSVにバレたら、最優良店舗への地位が遠のいちまうからなぁ・・・)


SV「で、ちょっと時間いいかな。先月の顧客情報について報告したいことがあってね」


店長「はい、大丈夫っす!!」


店長「悪ぃ園田、俺の代わりに万引き犯を追ってもらえるか・・・」


りんね(こつぜん)


店長「・・・っていなくなってる!?」


SV「ん、どうしたのかね?」


店長「いぇっっなんでもありやせぇん!!!さぁ顧客情報の報告をッッッ!!!」





商店街 裏通り



万引き犯「はぁっ・・・はぁ・・・!」


万引き犯「ふんっ、ここまでくれば大丈夫だろ・・・」


りんね「残念じゃが、そうはいかんの」


万引き犯「なっ、てめぇは昨日の!?」


りんね「『てめぇ』ではない、『園田りんね』じゃ。お主の悪行をこれ以上見過ごすわけにはいかぬ。観念せぇ」


万引き犯「ふんっ、捕まえられるものなら捕まえてみろってんだ!!(逃走)」


りんね「甘いわっ((むち)で右足をはたく)」


万引き犯「ひやぁっっ!?(転倒)」


りんね「ふん。妾から逃れられると思ったら、それは大きな勘違・・・」


万引き犯「かかったなアホが!!!(スタンガンを放つ)」


りんね「ぐぁぁぁぁっっ!?(感電)」


りんね(ス、スタンガンじゃと・・・!?)


万引き犯「じゃあなクソ風紀委員長!!!(逃走)」


りんね「ぐっ、待て・・・!」


りんね(まずい、また逃げられてしまう。また同じ過ちを繰り返してしまうのか、妾は・・・!!!)


万引き犯「ぎゃっ!?(人にぶつかる)」


ルナ「あひゃっ!?(ぶつかられる)」


りんね「っ!?」


ルナ「あいたた・・・」


万引き犯「いってぇなぁ!!チンタラ歩いてんじゃねぇぞアホが!!(逃走)」


ルナ「なんだぁ、テメェ・・・?(足首をつかむ)」


万引き犯「なっ、なにしやがんだコラァ!?」


ルナ「『なにしやがんだ』、だと・・・?」


万引き犯「ひぃっ・・・!?」


ルナ「お前からぶつかってきといてその態度はなんだ虫ケラがぁぁぁぁぁ!!!!(キャメルクラッチ)」


万引き犯「あびゃぁぁぁぁっっっっ!!?」


りんね「なっ・・・!?」


万引き犯「ギブっ・・・ギブギブ!!!(超タップ)」


ルナ「うるせぇ!!この世にギブアップなんて存在しねぇんだよ!!!」


万引き犯「知らんぞそんなラジカルな世界!!」


P「西覇王(にしはおう)さん!!!」


ルナ「・・・はっ!?」


P「そこまでです。その人を放してください」


ルナ「プロデューサーさん・・・ってあぁっっ、ごめんなさい!!大丈夫ですか!?」


万引き犯「死ぬこと以外は、かすり傷・・・」





10 minutes later




店長「大人しくしろやオラァ!!!」


万引き犯「今めっちゃ大人しいはずだが(手足拘束)」


ルナ「・・・なるほど、万引きの常習犯だったんですか」


P「えぇ。京極さんも手を焼いていたようで。ですが、西覇王さんがキャメルクラッチで足止めしておいてくれたおかげで捕まえることができました。お手柄ですよ」


ルナ「そっ、そんなことないですよ。私はただ、誰かがぶつかってきたからキャメルクラッチをしただけで・・・」


万引き犯(いや、過剰防衛が過ぎるだろ)


りんね「・・・お主、緑一色女学院の生徒じゃな」


ルナ「へっ、はいそうですが・・・」


りんね「プロレスでもやっておるのか?」


ルナ「や、やってないですよ、そんな凶暴なもの」


りんね「なっ、凶暴を嫌っておきながらキャメルクラッチを・・・」


ルナ「いえっ、あれはその、たまたまですよ」


りんね「たまたまでキャメルクラッチが発動するものか!何をしたらそこまで強くなれるのじゃ、教えろ!!」


ルナ「ひぃっ・・・!?」


P「強いて言うなら、彼女はアイドルをしています」


りんね「!」


ルナ「って言っても、まだ発足前でアイドルらしいこと何一つしてませんけどね」


りんね「・・・アイドルをすれば、強くなれるのか?」


P「なれます」


りんね「そうか・・・む、たしかお主はアイドルのプロデューサーをしていると言ったな」


P「はい、そうです」


りんね「妾も仲間に入れろ」


P「・・・!」


りんね「妾のことを、プロデュースするのじゃ。竹内」


P「あなたは・・・」


ルナ「あの、待ってください!」


りんね「ん、なんじゃ?」


ルナ「あの、私は別にアイドルになったからこうなったわけじゃないというか、元からこんなだったというか・・・あんまり参考にならなくて申し訳ないというか・・・!」


りんね(・・・)


りんね「つまり、お主はアイドルになる以前から強かったから、お主に習ってアイドルをしたとて強くなれる保証はないと言いたいのじゃな?」


ルナ「そうですっ!強くなりたいのなら、アイドルじゃなくてもっと他のことをやったほうが、あなたのためになるというか・・・」


りんね「安心せい。なにも妾は、強くなりたいためだけにアイドルをやろうと申しているのではないぞ」


ルナ「えっ、じゃあどうして・・・?」


りんね「彼から、新たな可能性を感じるからじゃ」


ルナ「何のですか?」


りんね「いちゃラブ」


ルナ「・・・へ?」


りんね「『強姦(ごうかん)』の意味すら知らぬ純粋無垢な京極店長が『アニキ』と慕う存在・・・それはきっと、『いちゃラブ』を凌駕する新たな領域へと妾を導いてくれるじゃろう」


ルナ「・・・???」


P「・・・」


P「なるほど、深いですね」


ルナ「えっ、何が分かったんですか!?」


P「私も、あなたから何か光るものを感じます。こちらこそ、よろしくお願いします」


ルナ「えぇっ、2人ともいいんですかそれで!?」


りんね「無論じゃ。()()()()に二言はない」


ルナ・P「えっ」


りんね「ん、そういえば名を名乗っておらんかったの。園田りんねじゃ。園田組の組長・園田 銀丸(ぎんまる)の娘じゃ。よろしくの」


ルナ「園田組って、あの特に凶暴なヤクザ集団の・・・!」


P(またカタギじゃないのが増えた・・・!?)



こうして、役者は揃った。金の亡者1人・カタギじゃないの2人による『プロジェクト・リベリオン』が産声を上げたのだった。


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