ロンリエスト・フィスト[西覇王 ルナ②]
前回までのあらすじ
暴力はいいぞ
放課後
緑一色女学院 1年3組
生徒「ねー西覇王さん、よかったら一緒にお茶いかない?」
ルナ「あぅっ、そ、その今日は用事が・・・」
生徒「そっかー残念、また今度ね!」
ルナ「は、はい・・・」
ルナ(せっかく誘ってくれたのに断っちゃった。もう、ダメだなぁ私。なんでこんなに人と喋れないんだろう・・・)
真織「に~しは~おうさぁ~~~ん・・・」
ルナ「ひぐぅっっ!!?」
真織「ちょっとお話、いいかなぁ?」
ルナ「だっ、誰ですかあなた!?」
真織「え、金木 真織だけど?」
ルナ「『なんで知らないの』みたいなノリで言われても・・・」
真織「HA・HA・HA!!面↓白い↑こと言うねぇ君~!!(アメリカの笑い方)」
ルナ(あ、これヤバイ人だ)
ルナ「ごめんなさい、ちょっとこの後用事が・・・」
真織「お話、い・い・か・なぁ?(満面の笑み)」
ルナ「ひぃっ・・・!」
西覇王 ルナ's history
幼稚園年長:学芸会の劇で「森の木B」を務める
小学3年生:夏休みの自由研究で銅賞を受賞する
小学6年生:カルタ大会で予選敗退
中学2年生:食あたり
中学3年生:暴力事件を起こす
ルナ(なんだ。今ゴミみたいな走馬燈が流れたぞ!?)
真織「とりあえずウチさぁ、屋上あんだけど・・・来てくんない?」
ルナ「は、はひっ」
ルナ(まずい。拒めば殺される・・・)
何故か解放されている屋上
ルナ「え、えと・・・話ってなんでしょうか」
真織「アイドルやらない?」
ルナ「えっ、やりませんけど」
真織「お金がもらえるよ」
ルナ「そりゃあそうでしょうけど」
真織「じゃあやろう」
ルナ「金以外にアピールポイントはないんですか」
真織「あるわけねぇだろうが!!!(激怒)」
ルナ「ひぇっ、ごめんなさいっ!」
ルナ(わたし、なんで怒鳴られたんだろう・・・)
ルナ「というか、どうして私をアイドルに誘うんですか。私以外に、もっとアイドルに相応しい子いると思いますけど・・・」
真織「見た目は大人しそうなのに少年院入ってたっていうギャップが面白いから(直球)」
ルナ「そんなギャップ面白がらないでくださいっ!!」
真織「いいじゃん頼むよぉ~~!!この通りだから!!(棒立ち)」
ルナ「せめて何かしらのボディランゲージをしてくださいよ!」
真織「そう言わずにさぁ~!アイドルはいいぞおじさんからもなんとか言ってやってよ~!」
アイドルはいいぞおじさん「アイドルはいいぞ」
ルナ「突然知らないおじさんが出てきた!?」
真織「このように、アイドルは多くの人に愛されています」
ルナ「多くの人って、アイドルはいいぞおじさんしかいないじゃないですか!」
真織「愚か者!このアイドルはいいぞおじさんはなァ、日本全国津々浦々のアイドルはいいぞおじさんの思いを代弁してんだよ!!」
ルナ「そ、そうなんですか?」
アイドルはいいぞおじさん「アイドルはいいぞ」
ルナ「ダメだこれ破滅的に話にならない!」
真織「おかしいな。これほどアイドルの良さを伝えても全然アイドルになろうとしてくれないよこの子」
アイドルはいいぞおじさん「どないなっとんねや最近の若い子は」
ルナ「アイドルはいいぞおじさんが『アイドルはいいぞ』以外の言葉を発した!?」
真織「仕方無い。おじさん、彼女にアイドルの良さを伝える講義をしてやってくれ」
アイドルはいいぞおじさん「まかしときぃ、3時間で伝えたるで」
ルナ「えぇっ、3時間ってそんな勝手に・・・!!」
アイドルはいいぞおじさん「ほら行くで、アイドルの良さを教えたるさかいに(ルナの手を引く)」
ルナ「嫌ぁっ、放してくださいっ!」
アイドルはいいぞおじさん「まずなァ、アイドルっちゅうんは見た目も大事やけどな・・・」
ルナ「放せや!!!(顔面を殴る)」
アイドルはいいぞおじさん「ぎゃあああっっ!!」
真織「!?」
ルナ「俺に気安く触ってんじゃねぇぞ気持ち悪ぃキモオタが!!!(顔を踏みつける)」
真織「大丈夫かぁーーーっっっっ、アイドルはいいぞおじさぁぁぁぁんんん!!!」
アイドルはいいぞおじさん「我々の業界ではご褒美です」
真織「ならいいや(静観)」
真織(ていうか、この西覇王・・・急に凶暴になった。まるで、アイツの中にもう一人の誰かがいるかのような・・・!)
P「・・・あれは、二重人格ですね」
真織「っ、プロデューサーいつの間に!?」
P「電話を切ってからずっと屋上でスタンバってました」
真織「アンタの不審者ばりのフットワークの軽さには尊敬を通り越して吐き気がするよ」
P「ありがとうございます」
真織「いいえどういたしまして」
P「なるほど。先ほどから観察している限りでは暴力事件など起こすようには全く見えませんでしたが、人格が2つあるとなれば納得できます。クク、これは面白い・・・」
真織(なんか怖い顔してる、この人)
P「西覇王さん!」
ルナ「あぁ、なんだァ。てめぇもアイドルはいいぞおじさんかァ?」
P「いいえ。私はただの、アイドルのプロデューサーです」
ルナ「じゃあ死ねや!!(顔面を殴る)」
P「っっっ!(直撃)」
真織「プロデューサーぁぁぁっっっっ!!?」
P「ふっ、なかなかのパンチですね」
ルナ「なっ・・・!?」
真織「すげぇ、顔面を思い切り殴られたってのに表情一つ変えずピンピンしてやがる!なんてタフなんだ!!」
P「学生時代、茶道部に所属していたので」
真織「おかしいな、茶道とタフさの因果関係が微塵も分からねぇんだけど。お椀で殴り合いでもしてたの?」
P「はい」
真織「千利休に謝れ」
※千利休・・・むかしお茶をよく飲んでた人。木属性
ルナ「ちぃっ、猪口才な!!!(みぞおちを殴る)」
P「っっっ!(直撃)」
ルナ「どうだ、これは効くだろクソ茶道部が!!」
P「いいえ、まだまだ弱いですね」
ルナ「なん、だと・・・!」
P「あなたの拳には魂が込められていません。ただ衝動のままに殴っているだけです」
ルナ「魂だと・・・お前に何が分かる!?」
P「分かります。あなたは、強くなりたいんでしょう?」
ルナ「・・・っ!」
P「あなたは追い詰められるともう一つの人格が顔を見せる。あなたという存在を守るために」
ルナ「・・・」
P「そうやってこれまで、西覇王 ルナは自分を脅かそうとする者を潰してきた。1人残らず」
P「ですが、それではダメなんです。それはあなた自身の強さではない」
ルナ「・・・うっ、うぅっ」
P「ど、どうしました、西覇王さん!?」
ルナ「ごめんなさい、わたし嬉しくて・・・」
P「嬉しい・・・?」
ルナ「私には、凶暴で暴力的なもう1つの人格があります。それが私の本性なんだって、みんなから誤解されてきた。でも、初めて誰かに分かってもらえた・・・誰かを傷つけたいわけなんかじゃない。私はただ、強くなりたかったんです・・・」
P「・・・」
ルナ「プロデューサーさん・・・アイドルになれば、私は強くなれるでしょうか?」
P「なれます。アイドルに不可能はありませんから」
ルナ「・・・はいっっ!!」
こうして、西覇王 ルナはアイドルになることを決めた。もう1人の自分に頼らなくてもいいくらい、強くなるために・・・
そして、顔面を思い切り殴られたアイドルはいいぞおじさん、もといアイドル追っかけの化身は、ルナがアイドルになることを決断するのを見届け、天へ還っていったのだった。
<『プロジェクト・リベリオン』、結成まで残り『1人』>
真織は帰りました