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アイドルバスター 印税の偶像  作者: おでん信用金庫
10/12

ススメ→根性論[初ライブ②]

前回までのあらすじ


全員、骨折



東京ドーム 関係者席

[New Desires 初ライブまであと10分]



社長「やあ竹内くん」


P「あっ、社長。いらしていたんですか?」


社長「もちろんだとも!アイドル界に一石を投じる、ウチの新生アイドルの初ライブだからな。プロダクションの社長として、新たな歴史が生まれる瞬間の立会人とならなくてはならん!」


P「そ、そうですよねぃ・・・」


社長「それにしても・・・他のアイドルのパフォーマンスはどれも凡夫だな。どれもありきたりの量産型アイドルだ。ウチのニューデザには到底敵わんよ。なぁ、竹内くん」


P「も、もちろん・・・!」


社長「・・・」


社長「どうした。何か浮かない表情をしているが、なにかあったのか?」


P「いいえ、なにも・・・?」


社長「とぼけるな。私は、何十年にわたって何百人という人間を見てきたから分かる。君は何かを隠している。一目瞭然だ」


P「ぅ・・・」


社長「言え。歴史的瞬間を前に、わだかまりを残しておくのは互いに好かんだろう」


P「・・・」


社長「それに、あくまで我々の心の問題だ。言おうが言わまいが、彼女たちのパフォーマンスに影響など出んのだから安心して・・・」


P「骨折しました」


社長「」


社長「は?」


P「New Desires、3名全員・・・骨折しました!!!」





~~~~~~~~~~~~



1時間前

メディカルルーム



真織「さっき骨折してきた」


P「」


ルナ「骨折してきたって・・・自分で折ったんですか!?」


りんね「そうじゃが?」


P「ぐにゃあっ・・・!」


ルナ「あぁっ、プロデューサーさんがカイジみたいな顔に!?」

※カイジ・・・某ギャンブラー。よく泣く


りんね「ざわ・・・ざわ・・・!」


P「な、なにやってんですかあなたたちは!?なんでわざわざ骨を折りにいくんですか!?」


真織「だって、ルナが骨折したから・・・」


P「だとしても自ら折りにいく必要がどこにあるんですか!?ていうかどうやって折ったんですか!?」


真織「私はハンマーで」


りんね「わらわは階段から落ちて」


P「仮にもアイドルが取る行動じゃない」


真織「でもなプロデューサー。これが私たちの覚悟なんだぜ」


P「えっ?」


真織「本番前に、ルナが怪我をした。だがそれはルナの怪我じゃねぇ、私たち3人の怪我だ」


りんね「うむ。同じ痛みを共有できない限り、わらわたちはライブで1つになることはできん。この痛みは、わらわたち3人が1つになるための痛みであり、3人でライブに出るという覚悟の証明じゃ」


P「・・・」


真織「だから安心しろよ、ルナ。お前は1人じゃない」


ルナ「お2人とも、私なんかのためにここまで・・・」


真織「こうでもしないと、お前が胸を張ってライブに出られないだろ?」


ルナ「うぅっ、真織さぁん・・・!!」


りんね「ふっ。ライブの前に泣くやつがあるか、莫迦者」


ルナ「りんねさぁん・・・!」


医者「ちょっ、待ちなさい君たち!なんか勝手に話進めてるけど、そんな重傷でライブに出られるわけがないだろう!?」


真織「出るから言ってんだよハゲ」


医者「誰がハゲじゃ貴さっ・・・いや、今はキレてる場合じゃないな。オホン!あのね、出るか出ないかを決めるのは君たちじゃないんだ。少なくとも、目の前で骨折しているアイドルをライブに出させるなんて、医者として許可できない!」


りんね「ちとやかましいぞ、ハゲ」


医者「ぐぁぁぁっっ一度ならず二度もハゲと・・・しかし今は落ち着け、私。まだ怒るな・・・今は冷静に、だ・・・!とにかくやめなさい!怪我が悪化して、今後に影響が出ることになるぞ!」


真織「いま大事なのは未来じゃない。『今』だ」


医者「グェェェなんじゃそれぇ・・・というか、プロデューサーさんからも言ってやりなさいよ!ライブに出るのは無茶だって!!」


P(・・・。)


P「そうですね。とてもじゃないが、3人ともライブに出られる状況ではありません」


真織「んだよ、私たちが信じられねぇってのか?」


P「当たり前です。あなたたちが言う解決策なんてものは、ただの机上の空論。現に、今あなたたちは左腕を挙げることすらできない。そんな状態でパフォーマンスになるとでも?」


真織「やるっつったら、やるんだよ!」


P「はぁ・・・理論もへったくれもない、根性論の極みですね」


医者「ほら見なさい!責任者である彼がこう言っているんだ。分かったら黙って、安静にしておくんだ!!」


真織「ぐっ・・・」


P「・・・でも、嫌いじゃありませんよ。そういうの」


ルナ「っ!」


P「後先のことなんて何も考えないで、今をがむしゃらに突き進む・・・根性論とは、あなたたちのためにあるような言葉かもしれません」


医者「な、何を言っているんだ君は!?」


P「金木さん、西覇王さん、園田さん・・・」


P「覚悟は、できているんですね?」


真織「当然だ」


ルナ「がんばりますっ!」


りんね「以下同文じゃ」


P「では、戻りましょうか。楽屋に」


医者「ま、待てっ・・・骨折している患者に無理をさせるなんて、医者として許すわけにはいかない!!!」


P「いいえ。彼女らは、患者ではありません」


医者「・・・?」


P「『New(ニュー) Desires(デザイアーズ)』です」


医者「は?」


P「では、失礼します」


医者「・・・」


医者(この道20年。医者として多くの患者を診てきたが・・・どうやらこの世界には、患者なんてカテゴリーで分類できないバカがいるんだな。型にはまっていては、見えないものもあるのかもしれない・・・)


医者[タバコに火をつける]


医者「ふぅ・・・」


医者「・・・」


医者「美味ェ」





~~~~~~~~~~~~



P「・・・ということがありまして」


社長「・・・」


P「最終的に許可を出したのは私です。もしもこのライブで何かあったら、それは私の責任で・・・」


社長「もういい」


P「っ!」


社長「今はステージに集中しろ。長々しい謝罪は、あとでたっぷり聞いてやる」


P「ですが・・・」


社長「今更何をどう言ったって、結果は変わらないだろう。我々にはもうどうしようもない。『Show mu(ショウは決して)st go on(止められない)』だ・・・!」


P「・・・」


社長「それに、君は見たんだろう。彼女たちの覚悟を」


P「!」


社長「そしてプロデューサーである君は、その覚悟を信じた。ならば、何も問題はないだろう?」


P「・・・はい!」


社長「ふっ、それでいい。君が信じたアイドルたちの姿、しかと目に焼き付けようじゃないか」


P「・・・」


P(頼みましたよ、3人とも・・・!)





司会「続いてのアイドルはぁ~~~~なんと今日が初の舞台!!!結成からわずか2ヶ月!!!456プロの期待の新星、『New Desires』だァ~~~~!!!!!」


観客「おおおおおおおおお!!!!」


真織「・・・よし、いくぞ。せ~の」


真織「金!!!」


ルナ「暴力!!!」


りんね「S〇X!!!」


3人[舞台下からステージに飛び出す]


観客「「「うぅおぉぉおおおおおおお!!!(大歓声)」」」


ルナ「ほっ(着地)」


りんね「はっ(着地)」


真織「へっ(着地)」



「グキッ」



真織「ぎゃあああああああ!!!」


観客「!?」


真織「足グネったあぁぁぁぁぁぁ!!!!」


次回、満身創痍ダンス・・・!

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