ヤンデレを送りました。もちろん返品不可です「短編」
小説の更新ペースは月一とさせていただきます。
短編は暇なときに投稿しようと思います。
以上、お知らせでした。
それでは本編どうぞ!
青春なんて、廃れた。
そう告げたのは、ある1人の男だった。
毎日スマホを片手に寝転んでいる。
5時50分自宅。
僕は何をするわけでもなく、この夏休みを過ごしている。
友達も少ない。
しかし、問題はない。
「本読むか」
そう言い暗い部屋の中、本棚に手を伸ばす。
ドサッ
そう音を立て、僕の足元に本が落ちる。
本を拾い上げて元あった場所に戻そうとした瞬間、その空間が歪んでいた。
「う、嘘だろ」
歪んだ空間を見つめていると、不思議と落ち着く気がした。
ふと、目線を奪われていると背後に気配があるのに気づく。
すぐ後ろを見るが何もいない。
「なーんだ、気のせいか」
そう思った矢先、ベッドを目にするとさっきより膨らんでいる気がした。
「な、何かいるのか?」
急いでそれをめくるが、誰もいない。
「ふぅ」
落ち着きの余りため息が出た。
「ねえ、どこ見ているの?」
恐る恐る後ろを見ると、知らない女に抱きしめられていた。
「な、なんだ、君は?」
「ねえ、覚えていない私を?」
そう言って彼女は僕の耳元に口を寄せる。
「ねぇ~わ・た・しの事、本当に覚えていない?」
「ふ、不法侵入」
「もう、固い事言わないの」
彼女に頭を撫でられる。
彼女に気づかれないように携帯を取り出そうとする。
バンッ、グシャッ。
次の瞬間、持っていたスマホがグシャグシャになっていた。
「な、何すんだ」
「…」
彼女は、無言のまま立ち尽くす。
冷たく、重苦しい雰囲気になった。
「私って、そんなに怪しい?」
「怪しいというか、不審者だよね」
「しかも俺のスマホ壊しといて謝りもしないの?」
そもそもこんな奴とあった事がない。
その上会って早々、スマホ壊されたのだけど。
不審者以外の何者でもない。
「ふふ、おかしな事言うのね?」
「私達は恋人よ?」
「彼氏の部屋に遊びに来るのは当然でしょう?」
「いや、お前とは恋人になった覚えはない」
「そもそも、君のこと知らないし」
「というよりスマホ代弁償して欲しいのだけど」
「ふふ、まあいいわ、これからじっくりと教えてあ・げ・る。
ドンッ
彼女が出てきたと思われる歪んだ空間に突き飛ばされた。
上を見ていると暗い空間が続いている。
黒い空間に、一つの光が見えた。
それを追っていると光はだんだん近づいてきた。
もっと走って追ってみる。
すると、光はさらに近づいた。
もう、あと一歩で…。
光の根源に着くと光に覆われ、目の前が真っ白になった。
何だろう、優しいピアノ音が聞こえる。
その旋律はとても美しく聞き惚れてしまった。
ぼやっと、聞き惚れていると光は消え、女の人が奥から現れた。
綺麗とはちょっと違う感じの人だ。
言葉で表すなら美しいが当てはまる人だ。
「あなたは人生楽しいですか?」
彼女は、唐突に話しかけてきた。
というよりテレパシーのような物で問いかけてきた方が近い。
「楽しくないですね」
というより学校でも友達いないし。
楽しくないですか…。
少し悲しそうな顔をしていた。
「それより、さっきの女はあなたの差し金ですか?」
「さっきの女って」
「やだなー、そんなわけないじゃないですかー」
彼女は棒読みで言葉を吐き捨てる。
「ほんとになんなんですか、あの女?」
「勝手に入ってきたと思えば僕のスマホまで」
「考えただけでも腹が立ってきた」
「あなたはまず人の気持ち」
「いや、人情を学ぶ必要がありますね」
「本当は、普通の女の子であなたの暮らしを良くして上げようと思ったのですが」
「これは、あの子に任せっきりの方が良いかもですね」
彼女は淡々と話していく。
「それより、ずっと気になっていたのですけど、あなたは何者ですか?」
「私は、あなたを幸せに導く、神様みたいな物です」
あなたは、幸せについてちょっと掛け違えている用でしたので。
私が、その考えを変えさせようと思いあなたに××××を送ります。
もちろん返品不可です。
幸せを知った時また…。
そこで言葉は途切れ、真っ暗な空間に戻りそして吸い込まれるように後ろに引きずりこまれた。
ドスッ
ベッドに体が打ち付けられた。
正直、腰にきた。
すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「話し合いは終わった?」
「…」
僕は、妙に苛立ちが募ってくる。
スマホを壊されいくら寛容の心を持っていたとしても、わざと壊されては苛立ってもしょうがない。
「お前さぁ、人のもの壊しといて謝りもしないの?」
「それって、人としてどうかと思う」
「その上、俺の事彼女呼ばわりしているけど、実際会った事がないし」
「はっきり言って迷惑でしか無いのだけど」
「そ、そんなに怒らなくてもいいじゃない」
「私がスマホ買ってあげるから」
「じゃあ、データはどうしてくれる?」
「えっと、まあなんとかなるでしょ」
「なんともならないんだよ」
思わず叫声をあげてしまう。
「いいか、お前は俺の彼女なんかじゃない」
「今すぐ出て行け」
「二度と俺の前に現れるな」
「う、うぐ、グスッ、うわぁぁぁあ。」
彼女はその場に泣き崩れた。
「うわぁぁぁあ」
彼女は、それから小一時間ほど泣き続けた。
罪悪感が僕に心に芽生え始めたが謝るのが気恥ずかしく、その場から立ち去ろうとした。
バシッ
彼女の手が、僕の服の袖を掴んでいた。
「どこにも、いかないで下さい」
震えながら上目遣いで見てくる。
「お、お願いします」
「貴方が望む事なら何でもしますから」
そう言って彼女は打ち震えながら涙を零す。
女性の涙は心痛いが気恥ずかしさが先行して言葉が出ない。
思わず僕は彼女の手を振りほどき部屋の玄関のドアから出た。
マンションのロビーを抜け、道路に出た。
その道路は雨が降った後で少し湿っていた。
どこに向かうでもなく歩み始めた。
そしてふわふわと妄想の世界に酔いした。
っく、こんな感情初めてだ。
素直に謝りたいだなんて思った事。
俺は昔から嫌われ者だった。
言いたい事を何でも言ってその度に人が傷つくことも知らずに。
(幼少期)
「ねぇねぇ、この漫画面白くない?」
「はぁ、どこが?」
「う、うん、ごめん」
そう言い彼は離れていった。
そう話していくうちにまた1人1人友達が離れていく。
気づけば1人も友達がいない。
そんな、廃れた学生ライフだった。
「っく、どうして素直に言えないのだろう」
道路を歩きしばらく経つと橋が見えてきた。
妄想を中断し、その橋の川沿いの道に腰かけた。
緑が生い茂るように生えるそこは何か落ち着く。
不安、怒り、悲しみさえ忘れさせてくれる。
川の対面には一本の大きな木が咲いていた。
あいにく木には詳しくないのでわからないので説明出来ないが、見ていると落ち着く。
その木はなにも話すわけでもなく、凛としている。
そして木をじっと見つめていると語りかけるように木がざわめいた。
突風が吹き散らした。
思わず目を塞ぎ、風が止むのを待つ。
風が止んだ。
そして、次に目を開ける。
すると、目の前にさっき泣き散らしていた女がいた。
目は泣きすぎて腫れ、手には一本の傷が見られた。
リストカットだろうか?
批判するわけではないが、自分の身体を傷つけるのは、痛々しいのであまり好きじゃない。
でも自分のせいでその傷をつけてしまったのだろうか?
そうこうしているうちに彼女は一言吐いた。
「私の事好きじゃないですか?」
返答に戸惑うが、彼女を傷つけてしまった。
そう思うと答えは一つしかない。
「好き...」(小声)
「嫌いですか?」
彼女は僕の返答が聞こえていなかったようだ。
「嫌いか、彼に嫌われた、まあそうだよね、顔も普通、喜ばせることも出来ない」
「こんなの好きになるわけないよね」
「でも、あなたに嫌われたら、ゾクゾクするの」
彼女はだんだんおかしくなっていった。
「アハ、あなたが私のものにならないのだったら監禁して、動けない様にして、目も口も塞いで、私なしじゃ生きられない身体にしてあげる」
「あは、あはぁははははは」
彼女はしばしの間笑い続けた。
それに気を取られて、動けなくなっていた。
彼女の狂乱した姿を見て腰を抜かしてしまったからだ。
気づけば彼女はキスできるぐらい近づきその後真っ暗な深い闇へと落ちていった。
「ふふ、ファーストキス奪っちゃった」
口を押さえキスの感覚を思い出す。
「これであなたは私だけの物」
「ガハッ」
咳き込み、目を開けるとそこは俺の部屋だった。
「なんだ、夢なのか?」
そう思い身体を起こそうとする。
ジャラッ
甲高い音がした。
そして気づく、腕には手錠足には足かせがつけられていた。
「っく、動けない」
周りを見回すと暗い空間が広がっていた。
普通に不自由なく暮らせる程度の広さだった。
扉はベッドから見て右正面にあった。
壁は四方に囲われ、窓はない。
つまり地下だろうか?
そうこう考えていると扉が開く音が聞こえた。
錆びついているのか扉は異様な程にうるさい。
扉の開け入ってきたのは1人のさっきの少女だった。
「…」
異様な静けさと不穏な雰囲気を漂わせていた。
彼女は不穏なほど静かに僕が横たわっているベッドに腰かけた。
何を話すわけでもなくただジッと僕の方を見つめてきた。
恥ずかしいさで目を逸らし、俯く。
「ねぇ、なんでこっち見ないの?」
「私魅力ないかな?」
「ねえ答えて?」
そう言い胸ぐらを掴む。
「私の事嫌い?」
気恥ずかしさで何も答えられない。
「…」
「そう嫌いなのね」
「じゃあ、仕方がない私がもう一回眠らせてあげる」
そう言い彼女は口を近づける。
近く顔に驚き思わず肩に手を置く。
近づかせない為に力を入れるが、彼女は押し返す。
そしてついにはキスされてしまった。
「むぐ、チュッ」
「はぁ、はぁ」
彼女の口元から一縷の糸が僕の口とつながっていた。
彼女は不穏な雰囲気から一転、どこか恥ずかしげに顔を赤らめていた。
しばし2人はそのままで気恥ずかしさに固まっていた。
「…」
「ねぇ、本当に私の事嫌い?」
「す・・・き」
疲れに僕はベットに横たわった。
彼女にファーストキスを奪われた。
言い方を変えれば女の子と初めてキスできた。
嬉しさとともに、狂気的な感情も芽生えた。
そう感じた。
「この気持ち…」
「ねえ、私の事好き?」
「好き」
「やっと言えたね…。」
彼女の周りに光が満ちてそれが天高く登った。
そして僕は光を追いかけようとするが、届かない。
初めての恋はそこで儚く散った。
初めて人に認められ、その人を好きになれた。
ピアノの音がする。
その音の方向に振り向くがそこには何もない。
しかし音がする。
次に振り向くとそこには歪んだ暗い世界が広がっていた。
見たことがある空間だ。
ここはさっきの場所か。
光が満ちている方へからが自然と動いた。
ピアノの旋律が聞こえる。
だんだん近くなる程音は大きくなる。
光の源に着くとピアノと大きな真っ白な壁に覆われ、天井はなく上は吹き抜けになっていた。
「幸せ、いや好きという意味がわかりましたか?」
「私は恋愛成就の神です」
「貴方にはきっとまたいい人に出会えるでしょう」
「ではまたどこかで」
「あ、ちょっと待って」
「?」
「あ、あの子は」
ああ、それなら会えると思いますよ。
あの子は、一時的に神力を使って生き返らせたので。
だから、またどこか会えるはずです。
そう、あの子は元々親御さんのいない家庭で育ちました。
なので、少し病んでしまった様です。
あの子が、ここに迷い込んだのは恐らく半死状態に陥っているからだと思います。
このままじゃかわいそうなので、貴方と出会せ人の温もりを感じて欲しかった。
だから、貴方2人を合わせました。
彼女は自分から人生を断ち切ってしまいました。
でも、またどこかで生まれ変わって会える。
そう私は思います。
私が、ピアノを弾く理由は弔う為でもあり道を謝りそうなもの正す。
その為に弾いているのです。
「あなたは、好き感情を知れたと思います」
「その気持ちを大切にしてくださいね」
そう言うと、彼女はピアノ旋律とともに吹き抜けの上へと消えていった。
街の出ると春の桜が咲く頃、僕は駅にいた。
電車で、会社に通っている。
そして、電車が入線して電車に乗った。
乗ってしばらく窓を見つめていた。
しばらく、電車に揺られていると駅員に特別列車の切符の確認を迫られた。
「切符をなくしちゃって」
「では切符を…」
駅員は、それを言いかけ固まった。
僕は、疑問に思い正面を向く。
「…あ」
2人の声がはもる。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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それでは!