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2話 冒険とおっぱい

 そして、ギルドを設立して一週間。

「あら? 新規さん?」

 ギルドハウスを建てて、そこに移り住んだ。そのギルドハウスに初めて見る女の子がいた。

「あのっ、初めまして。フィリアです! ギルドに加入したくて――」

「もちろん大歓迎だよ!」

 まさかギルド設立からたった一週間で幼女が入ってくれるとは思ってもみなかった。

 フィリアちゃんを部屋に入れ、改めて自己紹介してもらった。

「フィリア・コロナリア。一四歳。支援魔法が得意です」

「じゅ、十四歳……」

 身長はリエルと大して変わらない。ただ、胸はとても発達している。いわゆるロリ巨乳だ。

「ん?」

 十四歳、ということは私とは一歳しか違わないということ。背は低い。けど胸は明らかに私より大きい。

 謎の敗北感を感じた。

「それは分かるけど、まずは自己紹介したら?」

 お姉ちゃんは私の考えていたことが分かったみたいだ。

 わからなくてもいいのに。

「そ、そうだね。ノエル・アスタロト、一五歳、横の二人は一応契約武装(アームジュラメント)

「ヴィーシェ――風聖剣・ヴィーシャルシェルヴィスだよ~」

「リエル――光を喰らう暴食の魔剣(ダークグラムグリードソード)です」

「…………」

 これを言うと大体みんな同じ反応をする。

 フィリアちゃんもまた、驚いているような何が何だかわからないような顔をしている。

「け、契約の時の条件って――」

「妹になってもらった」 「養ってもらう」

 フィリアちゃんは本当に何が何だかわかっていない。

 お姉ちゃんもリエルも成り行きで契約したようなものだし、正直どうすごいのかいまだ理解できていない。

「なんで、そんな簡単にできるようなものじゃないのに……」

「なんかピンと来たんだよね。この子だって」

 確かに最強クラスの聖剣との契約条件が妹になるというのは特殊なのだろう。だが、私はそれで満足しているしそれでいい。

 

 いろいろとあったが、無事自己紹介を終えた。

 そしてそれから一週間。

「そろそろダンジョン行かない?」

「そうですねー」

「剣術だけで行ける所ならどこでもいいよ?」

「私はマスターについて行きます」

「なら決定だね」

 私がギルドを立てて初めてのダンジョン探索になる。

 ダンジョンなら何度も言っているので慣れている。が、慣れているからと言って楽に攻略できるというわけでもない。いくら聖剣と魔剣を使っているからと言って何にでも勝てるというわけではない。

 おかしな話ではあるが、四歳の頃に比べれば体力は衰えている。

「それじゃ」と言ってお姉ちゃんは転移魔法陣を展開し、ダンジョンまで転移した。

 いきなりダンジョンの中に転移したせいで、びっくりしてしりもちをついてしまった。

 ダンジョンの中は真っ暗で何も見えない。

 水滴の落ちる音と、魔獣の足音が響いて怖さが増している。

 私悪魔だけどこういう怖いのは苦手。

「うぅ、ここ怖いよぅ」

「わ、わたしもこういうところ苦手です」

 フィリアちゃんは私の後ろに隠れていった。

 お姉ちゃんもリエルも剣の状態なので、後ろに隠れることは出来ない。

「フィリアちゃん……手つなご?」

「は、はい」

 フィリアちゃんと手をつないで暗い中を少し歩くと、大きな部屋に着いた。

 部屋に中心に立ったからか、部屋に明かりがついた。

「よく来たな小娘たち」

 いや急展開過ぎるでしょ!

 と心の中でツッコんでおいて、とりあえず状況を整理しよう。

 整理……しよう……と思ったが、リエルちゃんが声にびっくりして私の腕にしがみついてきた。

 胸が当たって考えることに集中できない。

 フィリアちゃんの胸の柔らかさは私の知る限りではトップだ。夜這いして揉みし抱きたい。

「フィリアちゃん何食べたらそんな大きくなるの?」

 私の思考は完全に胸のことだ。まぁフィリアちゃんの巨乳を押し付けられたのだからこうなるのもしょうがない。

「これと言って特別なものは食べてないですよ?」

「そ、それなのにこの差……やっぱり遺伝なのかな」

「無視するでない! この少女がどうなってもいいのか⁉」

 誰かが「よく来たな小娘たち」と言っていたが、完璧に忘れていた。

「だれ?」

「だれですか?」

「そんなことを聞いてもお前たちはどうせすぐ死ぬのだから無駄だと思うがな。まあ冥土の土産に教えてやろう。我が名はフィーヴィス・ウヴァル。ソロモン七二柱、序列四七番の悪魔だ!」

 私の腕にしがみついて震えていたフィリアちゃんが、それを聞いた瞬間物凄い殺気を放った。

「悪魔…………」

 殺気を放ったフィリアちゃんは、私の腕から離れて杖を構えた。

「あなたは悪い悪魔?」

「我がいい悪魔に見えるのか?」

「そう……ですね」

「ふぃ、フィリアちゃん?」

「抹消せし万象の炎よ その大いなる力を以て敵を焼き払え」

「劫火を打ち消す神水よ その力を以て我が敵の劫火を消したまえ」

「ちょっと待って!」

 魔術が発動した後に叫んだのでもう遅かった。

「旋風よ 我らを守護したまえ」

 剣の状態でお姉ちゃんが詠唱し、私たちの周りに風の結界が展開された。

 二人の魔術はぶつかって、その場で大爆発を起こした。

「あなたみたいな悪魔が私の両親を殺した」

「……あぁ、反魔王軍のことか」

 反魔王軍、聞いたことがある。

 ちゃんと仕事をしているときにメフィストが話していた。

 人間界に出て悪事を働き、悪魔、そして魔王のイメージを下げるという子供みたいなことをしている軍だ。最近反魔王軍の活動が活発になったのは私が働いてないからだろう。

 よし、働こう。

「すぅ~~、はぁ~~――。魔王ノエル・アスタロトの名において命ず。フィービス伯爵よ、魔界に帰りなさい」

「なっ⁉ こ、これは……体が勝手に?」

 魔王の特権で強制的にフィービス伯爵を魔界に帰らせた。

「ふぅ」

 戦闘が終わって安心したが、すぐに不安になった。

 悪魔に両親を殺されたフィリアちゃんの前で自分が魔王と宣言してもよかったのだろうか?

「フィリアちゃん?」

「大丈夫ですよ。ノエルさんが悪い悪魔じゃないってことくらいわかりますから。それより少女がどうとか言っていましたけどそっちは大丈夫なんですか?」

「あぁ、そうだったね」

 広い部屋を見渡してみると、奥に純白の翼の生えた女の子が横たわっていた。

「大丈夫ですか?」

「うーん、魔法で眠らされているみたいだね。フィリアちゃん、解除してあげて」

「はい――目覚めよ」

「ん、んぅ」

 フィリアちゃんが解呪の魔法を使うと、女の子はすぐに目を覚ました。

「ここはどこです?」

「えーっとね、ダンジョンの中」

「はっ! 私なんでこんなところに?」

「それは私たちもわからない」

(待ってくださいマスター。この少女は天使です)

(いいよ別に。何かされたら斬るまでだし)

(ま、まあマスターの力なら問題は無いと思いますが……)

「あなた……悪魔ですね」

 早速ばれてしまった。

 一応剣を強く握って「そうだよ」と答える。

「悪魔が天使を助けていいです?」

「あ、いや~……どうだろ?」

 この天使は無害そうだ。だが、私の地位が危うくなるかもしれない。

「助けてくれてありがとうございます」

「だ、大丈夫? 立てる?」

 天使が立とうとすると、すぐに態勢が崩れて倒れこんだ。

「あらら」

「ノエルちゃん、今日のダンジョン攻略は早いけどここまででいい?」

「うん。とりあえずこの子を連れて帰ろ」

「そうだね」

 お姉ちゃんが剣の姿のまま転移魔法陣を展開し、私たちを家に転移させた。

 家に付くと、お姉ちゃんもリエルも人間の姿に戻った。

「君、名前は?」

「フィーリス・ラファエルです」

「ラファエルってほんと⁉ お兄さん元気?」

「はい。いつも通り元気です」

「そかぁ、ならよかった」

「ん? お姉ちゃん知ってるの?」

「うん。フィーリスちゃんのお兄さんを助けてからちょくちょくあってたんだよ。だからフィーリスちゃんとも面識はあるんだよ。見たことあると思ったら、わからないくらい成長しててびっくりしたよ」

 そう言ってフィーリスの胸をもんだ。

「ひゃぁ⁉」

「うへへ、フィーリスちゃん成長したね」

「や、やめるですヴィーシェ姉!」

 お姉ちゃんが危ない目をしてフィーリスの服を脱がして下着も外した。

「うわぁ、おっきい」

 フィーリスは服を着ていたらあまり大きいようには見えなかったのに、服を脱いだら結構大きい。なぜか裏切られた感じがする。

「うぅ、私の見方はもうリエルちゃんだけだよぅ」

「はい。私はマスターの味方です。でも今のはあまりいい意味な気がしません」

 リエル以外みんな巨乳。お母さん巨乳だったのになんで私は貧乳なのだろう。

 ギルドでの初めての冒険の成果は私とリエル以外みんな巨乳と分かったことだけだった。


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