1話 6歳の魔王
今まで書いた中で一番面白い作品になる自信がある
魔界歴19876年、魔王が死んだ。
そうなると新魔王を選ばなければいけなくなる。
そして新魔王の選別砲。魔界の中での強さランキング一位が勝手に魔王になる。
なぜ強さが分かるかは魔王補佐のご都合主義な能力のおかげだ。
そして新魔王に選ばれたのは私、ノエル・アスタロト。当時四歳。
四歳にして膨大な魔力を保有しており、暇つぶしに道場に行ったり魔法や魔術の練習をしていた。おかげで相当強くなり、選ばれてしまった。そして六歳になったころ――
「疲れたー、もう働きたくない!」
「そうはいきません。書類の整理も―」
私は決めた。魔界を出る!
やり方は分からないけど感覚で――
「出来た⁉」
感覚でやってみると意外と成功した。
書類を投げ捨てて急いでそのゲートに入り、私はゲートを閉じた。
暗い空間の中を少しさまようと光が見えて来たのでそに近づき、その光の中に入ってみると森の中に出た。
木々の隙間から差し込む光がきれいだ。
「ここは……」
魔界ではないせいか、力が弱まった気がする。
魔力は半分以上残ってはいるが、なぜか魔法をうまく扱える気がしない。
試しに魔法を撃ってみると――
「うわぁっ」
力がうまく制御できず、魔力が少し暴走してしまった。
しかも運の悪いことに使った魔法の属性は火。髪が少し焦げ、服がところどころ焼けて穴が開いてしまった。
「はぁ、なんでこうなったんだろ」
これも全部魔王になったのが原因だ。
「この森広そうだなぁ……出られる気がしないよ」
とりあえず飛べば何とかなる気がする。
普段治めている羽を出し、飛ぼうとしたが、少し体が浮いただけだった。
「あれ?」
いつもなら自由に飛べるはずなのに今日は少し浮くことしかできない。
上から見ればどこに行けばいいのか大体分かるけどそれが出来ないと何をすればいいか、どこに進めばいいのかわからない。
魔界では部屋に籠りっぱなしで聞いたことしかないけど、森には魔獣がいるらしい。魔界でなら倒せるけど今は確実に食べられる。
さすがに野宿は出来ない。
もう魔界に戻って素直に働くしかないのかと絶望していた時、ローブを羽織ったお姉さんが現れた。
「君、一人?」
お姉さんは私に目線を合わせて話しかけて来た。
「うん」
「迷子になったの?」
「ううん。魔王のしごとつかれたから」
「こんな幼女を魔王にするなんて、魔界もついに狂っちゃったのかな?」
そしてお姉さんは何か考えて、にやけた。
「君さ、私の家に居候してもいいよ?」
明らかに裏がありそうだが、悪い人には見えないので即答で「する!」と言ってしまった。