跡形もなく消える卵巣
転がるように消えていく 闇夜の慟哭の名残よ
昨日の傷跡は深く 君を苦しめている
どんなに悲しい物語にも終わりが
来るとするならば いっそ一突きで
僕の心でさえも刺して 目覚めないようにして欲しい
そう 踊る 闇に堕ちた都の
悩ましい 狂騒の宴の中
君は消える 一瞬にして 魔術めいて
誰にも どこにも その痕跡を残さず
残された人々は ただ 涙して
失いしものの大きさを 嘆くしかないのさ
胸の奥底にくすぶる 嗜虐の夜の残り火よ
奴隷にまで落ちぶれた 官能の底で疼いている
それほど君を痛めつけたものは
爪を立てた僕の影の残像
願いが叶うならば せめて 記憶を炎で溶かしてほしい
そう 歌う 快楽を突き刺す都
狂おしい 迷走の宴のほとり
君は隠れ 瞬間の 魔法のように
誰にも 知られず その足跡も消える
虚空の最中 漂う人々は
なくしたものの大きさを 憂えるしかないのさ
悦楽の世紀が過ぎたあとには
人々は平静を装って
ただただ自分を守るためだけに
その資材と時間を費やした
ある者は 白痴に身を潜め
ある者は 賢者を名乗り
ある者は 君子を語り
最後の一人は道化師を 演じ
痙攣的な笑いを引き起こすしかなかったのさ
夜の遠吠えに宿る残滓 醜く姿を変えながら
跡形もなく消えた君の 面影を這いずり探してる
君の口づけのあととともに
そう 騒ぐ 退廃の「残り火」の都
艶めかしい 色欲の宴のあと
君の姿 瞬く間に消える 魔術
誰も触れず 触れられず 宙空の先へ
虚無の感覚で踊りつかれては
仮面を被る人々は 泣くしかないのさ
今 哀れな道化師が 焼き尽くされ
今 嘆かわしい賢者も 審問にかけられ
今 救いを求める白痴も 裂かれて
今 君子は その卓上から 引きずり降ろされた
今 そう 君の目に見えるものは何?
ララララララ……