表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新世紀の殉教者

跡形もなく消える卵巣

作者: keisei1

 転がるように消えていく 闇夜の慟哭の名残よ

 昨日の傷跡は深く 君を苦しめている


 どんなに悲しい物語にも終わりが

 来るとするならば いっそ一突きで


 僕の心でさえも刺して 目覚めないようにして欲しい


 そう 踊る 闇に堕ちた都の 

 悩ましい 狂騒の宴の中


 君は消える 一瞬にして 魔術めいて

 誰にも どこにも その痕跡を残さず


 残された人々は ただ 涙して 

 失いしものの大きさを 嘆くしかないのさ



 胸の奥底にくすぶる 嗜虐の夜の残り火よ

 奴隷にまで落ちぶれた 官能の底で疼いている


 それほど君を痛めつけたものは

 爪を立てた僕の影の残像


 願いが叶うならば せめて 記憶を炎で溶かしてほしい


 そう 歌う 快楽を突き刺す都

 狂おしい 迷走の宴のほとり


 君は隠れ 瞬間の 魔法のように

 誰にも 知られず その足跡も消える


 虚空の最中 漂う人々は 

 なくしたものの大きさを 憂えるしかないのさ



 悦楽の世紀が過ぎたあとには

 人々は平静を装って 

 ただただ自分を守るためだけに

 その資材と時間を費やした


 ある者は 白痴に身を潜め

 ある者は 賢者を名乗り

 ある者は 君子を語り

 最後の一人は道化師を 演じ

 痙攣的な笑いを引き起こすしかなかったのさ



 夜の遠吠えに宿る残滓 醜く姿を変えながら

 跡形もなく消えた君の 面影を這いずり探してる


 君の口づけのあととともに


 そう 騒ぐ 退廃の「残り火」の都

 艶めかしい 色欲の宴のあと


 君の姿 瞬く間に消える 魔術

 誰も触れず 触れられず 宙空の先へ


 虚無の感覚で踊りつかれては

 仮面を被る人々は 泣くしかないのさ



 今 哀れな道化師が 焼き尽くされ

 今 嘆かわしい賢者も 審問にかけられ

 今 救いを求める白痴も 裂かれて

 今 君子は その卓上から 引きずり降ろされた


 今 そう 君の目に見えるものは何?


 ララララララ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ