4話 学校案内
授業が終わり、放課後になった。
「階段掃除があるから、教室で待っていて。」
と櫻田さんにそう伝え、僕は階段掃除に向かった。
階段掃除は、すごくシンプルで4階から、1階までをモップや箒でゴミを取り、ゴミ箱を捨てるというものだ。
僕はとにかく、長くしようとゆっくり掃除をした。
理由はあまり早いと本当に掃除をしたのか思われるのは、嫌だったからだ。
だが、他のメンバーが
「やっべ、部活遅れる」
だとか
「早く帰らないと限定のアイスクリームが無くなっちゃう」
とかで、いつも以上に早く終わってしまった。
はぁーと僕はひとつため息をついて、教室に向かった。
教室に着き、扉に手をかける。開ける。窓が空いていた。その窓側の1番後ろの席に座っている女の子。
窓から風が吹いた、以外と風が強かったのか、髪を押さえている。
「すごく、きれいだ」
と僕は見とれてしまった。
そこで、僕が入ってきたことに気づき、笑顔でこちらを見てくる。それを僕は笑顔で返した。心臓は、ドックン、ドックンと音を立てて、動いている。櫻田さんに聞こえてないよなと心配になるくらい、大きな音だった。
「もう掃除は、終わったの?」
と首をかしげながら聞いてくる。
僕はこれ以上櫻田さんを見ると心臓の鼓動が早くなりすぎて死んでしまうと思ったので、目を少しそらしながら
「う、うん終わったよ。」
と僕は言った。
「じゃあ、早く行こう?」
と櫻田さんが言ってきたので
「うん、行こうか。」
と答え教室を出た。
僕のクラス2年3組は、3階にあり、4階が1年生、2階が3年生、1階は、職員室がある。
僕はとりあえず、今いる階、3階の説明をした。
「ここが数学教室、で、あっちが物理教室。」
と説明して、櫻田さんが、うんうんと頷いている。
次に4階に上がった。
「4階は、主に1年生の教室と部活の部室があるね。」
と歩きながら説明していると、櫻田さんが
「愛くんは、1年生の時、何組だったの?」
と言われて、僕はびっくりして後ろを向いた。軽く流そうとしたが無理だった。「愛」と名前を読んできたからだ。
朝から、最後の授業まで「渡良瀬くん」と呼んでいたからだ。
すると櫻田さんが
「もしかして、愛くんって呼ばれの嫌だった?」
と言ってきた。
「嫌なら、渡良瀬くんって呼ぶけど。」
と言った瞬間、
「愛で!愛で、大丈夫です!家族と今のクラスにいる早海ぐらいにしか名前で呼ばれたことなかったので、びっくりして。」
と僕は言った。
「じゃあ、愛くんって呼ぶね。私のことも祭って呼んで?」
と言い出したのだ。
僕はまた、びっくりした。会って2日目で、それも中1の時のあの女の子の名前で、呼べるなんてと考えていた。
すると、櫻田さんには、それが迷っているように見えたのか
「呼んでほしいなぁ~」
と顔をを近づけて言ってきた。
僕は、顔近い!!と思い少し後ろに下がりながら
「じゃ、じゃあ、祭さん?」
と言うと
「はい、祭です。」
と笑顔で言ってきた。
僕はまた、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「で、愛くんは、何組だったの?」
と櫻田さんが話してきた。
「えっとね。1組だったよ。」
と言うと
「ねぇ、1組の教室に行ってみない?」
と提案されたので、
「別にいいけど。」
と答えると
「やった!じゃあ行こう!」
と祭さんは、笑顔で歩き出した。
1組の教室について、中に入る。
(まあ、去年この教室で、授業を受けてた時と変わってないな。)
と僕は思う。
「愛くんは、どこの席だったの?」
と祭さんが聞いてきたので
「あそこの席だよ。」
と窓側の1番後ろの席に指を指した。
すると、祭さんが、その席まで行って
「わたしの今の席と一緒なんだ」
とボソッと呟いた。
「ん?なんか言った祭さん?」
聞こえ無かったので、訪ねたが
「いや、なんでもないよ。」
と祭さんは、言った。
僕は不審に思ったが、まあいいかと思った。
4階を見終わった後、2階、1階と細かく教室を説明した。
学校内のすべての場所を案内し、その後、祭さんと別れて、帰った。
「今日は、ありがとう!」
とお礼を言われ、
「また、わからない場所があったら、聞いてね。」
と言った。
「うん、じゃあまた明日!」
「また、明日」
という感じで、別れて帰ったのだ。
家への帰り道、
「はぁ~、今日は、楽しかったなぁ~。名前で、呼んでくれたし
祭さんって呼んでいいって言われたし、いや~最高だったなぁ~」
と上機嫌だった。
だが、ふと思い出してしまった。
「うわーー!來叶が、言ってたこと、聞き忘れてたー!」
とガクッと下を向き、そのまま家に帰って行った。
「いつ聞いたら、いいんだろう?」
なんて思いながら。
その頃、家に着いた祭は、部屋に入り、ベッドに倒れ
「はぁ~楽しかったな~。愛くんって呼んじゃたよ。」
と嬉しそうに笑っている。
「中1の春のことか~忘れるわけないじゃん。愛くん。」
と櫻田 祭は笑って言った…。
少し、投稿が遅くなって申し訳ございません。
4話目、いかがでしたでしょうか?
二人だけで学校の中を回るなんて、ドキドキですね。
さて、櫻田 祭は、なぜ、渡良瀬 愛に嘘をついたのか!
明らかにしていこうと思っています。
次は、5話目です。どんな展開になっていくのか、お楽しみに!
読んで頂きありがとうございました。